ヒトリゴト

ヒミツのヒトリゴト。まったり読んでください。

弔辞

2006-07-13 14:40:03 | インポート
ひろこさんへ

祐子さんは美人で真面目で頭がよくて、
それでいて可愛くてちょっと天然で、
姉のいない私にとって本当の姉のような
お手本のような坊守さんでした。
はじめて会った頃は、二人とも新米坊守で、
私が「直子のおねえさん」というつもりで
「おねえさん、おねえさん」と呼んでいたら
「急に妹が二人になったみたいでうれしい」と
言っておられましたね。
しばらくして実の妹が「おねえさん」と
呼んでいないことに気づいてみんなと同じように
「ひろこさん」と呼ばせていただくようになって…
かれこれ30年近くなります。

2年前に突然「胸にしこりがあるの」と
あなたの口から聞いたとき、表面では
「すぐお医者に行って」と言いながら、
なぜか本能的に、
「あ、祐子さん死んじゃうんだ」と思いました。
予言とか予知とかではなく、はっと頭に浮かんだ
この思いは、きっと祐子さんも一緒だったと思うのです。
誰でもいつかは死ぬんだけど、ちょっと早いかも
しれないけど、しかたないね。
こう言って祐子さんは笑っておられましたね。

実際にお棺に入った祐子さんは美人のままで、
眠ってるようにおだやかな顔で、
覚悟はしていたはずなのに涙がとまらなかった。
ご家族の顔も見られませんでした。
私の尊敬する人が、
「世の中には、絶対に話の通じない相手、がいる」と
書いておられました。
祐子さんのまわりには、やたらとその
「絶対に話の通じない相手」が多くて、
若い頃から苦労ばかり、話を聞いても、
何の力にもなれない自分を悔しく思うだけでした。
病気は長年のそういうストレスから
きたものだと私は思っていますけれど、
祐子さんはいつも「いいのよいいのよ」と
我慢しておられましたね。
私たちまわりの人間のほうが怒って、
口汚く罵っていたものですが、そんな私たちの
恨みや愚痴を祐子さんは全部お浄土へ
一緒に持って行ってくれました。
ありがとう祐子さん。
子供たちにも良くしてくださって本当にありがとう。
彩乃ちゃんのことは私が責任持って見守ります。
朋恵ちゃんにも何とかお見合いしてもらうように
話をしてみます。
志保ちゃんはもう立派な坊守さんですから
若院さんと共に昭爾さんの面倒を見てくれますよ。

ありがとう。
また近々お会いするのを楽しみにしています。
                      合掌
                 下の妹しょうこより

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