ヒトリゴト

ヒミツのヒトリゴト。まったり読んでください。

2016-11-22 14:16:05 | 日記
トリノさんが亡くなった。
うちの古くからの門徒さんで元総代長の家で
近所だし長い長いおつきあいだった。
入院されたというのを聞いて徳中へお見舞いに
行ったら緩和病棟におられた。
伊東先生のお顔がみえたので挨拶したら
「あれーどうした、誰かお見舞い ?」
「はい、トリノさんの」
「あーそう、ちょっと聞いてくるから」
そこで初めて緩和病棟は面会謝絶で
本人か家族の許可がないと入れないことを知った。
トリノさんはすごく元気そうで私を見た途端に
「まー、あーた、忙しいのにこんなとこまで来て。
来んでええのにー」と嬉しそうに言ってくれた。
それから私の手をぎゅっと握って
「最後のお願いだから、いいかね、私は最後は
トクオウジの阿弥陀様の前で一晩過ごしたいのよ、
病院からまっすぐお寺へ連れて帰ってちょうだい、
頼みましたよ」
「わかった、大丈夫、安心して、まかせて」
「あーよかった、これでもう思い残すことはない、
あーたのお父さんとお母さんが待っててくれてるから
お浄土へ参るのも何も怖くないよ、ようここまで
生きたよ、苦労したけどねぇ」
昔の話を20分もしゃべり続けて本当にガンなのかと
思うくらいだった。
「ここは本当にいいよ、強い薬だろうけど
全然痛くないようにしてくれるし、何食べてもいいし、
いちんち好きなテレビみて寝ころんでて。
ゴハンはあんまりおいしくないけどね^^;」
トリノさんの好きなおまんじゅうをふたつ、
サイドテーブルにおいて「おやつで食べてね」と言うと
「まーうれしー」と子供みたいな笑顔になった。
帰るときも「もう絶対来るんぢゃないよ、いいかね、
もう来んでいいよ」と手をふってくれた。

最後にいろんな話が出来てよかった。
トリノさんは私の第二の母といってもいいくらいの人で
自分の親の葬儀でも泣かなかった私が涙が出た。
長い間、本当にありがとう。
いっぱい怒られて本物の鬼姑みたいだったけど
一番お世話になりました。
私の祖父、父、おやぢ、げむの四代の住職の
法話を聞いたというのがトリノさんの自慢だった。
享年九十才。合掌。
コメント
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