岸壁の標語を思い出しながら、濃霧のため出港を見送る。
まあいがべ まあいいんでねーの 心配すっことないって (そっだね)
これでいがべが こんなもんでよかんべ こんくらいだっしょ (そっだね)
事故には、それの引き金になる要因が必ずある。それは、準備不足、見切り発車、計画不備、不完全な機材、目的意識の欠如、注意散漫、手順の不履行、体調不良、考え事、思い違い、初動判断ミス、悠長な対応、技術や力量不足等々である。今思えば、それらのことは仲間からアドバイスされていたものである。言うなれば、目先のことばかり考えて全体像が吹き飛んでいるのだ。心に余裕がないとトラブルの前兆を見過ごしてしまう。後でやればいいと言って忘れてしまう。
ならばどうする。
「まあいがべ これでいがべ」を厳に慎むことである。