goo blog サービス終了のお知らせ 

田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

長崎へ(下)

2021年11月19日 | 日々の出来事

   斎場に着くと、娘が待っていました。そばでは小学生と中学生の孫が記帳の受付をしています。彼らはいつも身近にいるので我が子のように思っていますが、今日の私は弔問客です。

 式が終わって市電で街なかへ出ました。降りたのは出島停留所。目の前にオランダ商館跡があります。このあたりの市街地は、江戸時代は海の中でした。

 表門橋が出来るまでは、この門が入場口でした。

 中島川に架かる出島表門橋です。江戸時代、陸地とつなぐ旧出島橋があった所に最新工法でつくられました。当時、海上からの荷揚げの他は人の出入りはこの橋からだけでした。

 柵の隙間から中を覗いてみました。出島は数年前に家内と見学したことがあります。その時の投稿はこちらです。クリックで別窓が開きます。異国への唯一の窓口だった長崎の面影を偲ぶことが出来ます

 昼食は近くの出島ワーフへ。以前来たときに気になっていた場所です。埠頭に飲食店が並んでいます。

 暖かいいい日和です。テラスで食事をすることにしました。

 ぼんやりと港を眺めています。海はいいですね。開放的な気分になります。長崎には和華蘭という言葉があります。日本と中国と西洋の文化が入り混じったという意味です。街にはそれぞれの建築物や文化遺産が残っており、料理でいえば卓袱料理でしょうか。そういえば何でも混ぜこぜにすることをチャンポンにするとも言いますね。狭い街ですが長崎のまちには華があります。

 桟橋に軍艦島クルーズ船が舫っていました。軍艦島は通称で地理上の島名は端島といい、世界文化遺産に登録されています。廃墟になった島の町には関心があるのですが、予約制で荒天の場合は上陸できません。並んでいるのは黒船の再現船でしょうか。稲佐山の山頂には電波塔と展望台が見えます。山頂へはロープウェイで登ることができ、長崎の美しい夜景を見るスポットとして観光客で賑わっています。

 帰りの列車は午後も早い便にしました。写真は長崎にほど近い諫早駅です。見えているのは島原行きのプラットホーム。ここは島原鉄道の終着駅でもあるのです。駅の管理はJR九州がしていますが、島原鉄道はバスやフェリーも運行する別の私鉄です。

 島原鉄道は雲仙の麓にある島原市まで延びていて、景色の良い有明海沿いに走るので鉄道ファンに人気があります。

 走行する列車からの手撮りなので画面がぶれています。長崎本線は諫早から鹿島まで海沿いを走っていて、作業船がある小さな港や船溜まりなどを車窓から眺めることが出来ます。

 入り江をまわる国道207号。長崎へ行く時は高速道を使わず、景色の良いこの道を通っていました。列車は国道と並行して走ったり、岬をトンネルや切通しで通過して出来るだけ直線で走り抜けます。

 佐賀県に入りました。道の駅太良です。この辺りはミカンの産地です。いつもは道の駅から長崎本線を走るかもめを眺めています。

 線路沿いに建つミカン低温貯蔵庫です。変哲もない景色ですが、こうした情景を見ると気持ちがほぐれるのを感じます。工場や倉庫群のバックヤード、繁華街の店の勝手口や物置、民家の庭先にある菜園や物干しの洗濯ものなど、幹線道路から見る表の澄ました顔ではなく、飾らない普段の生活の表情を垣間見ることができます。街なかを走る在来線の旅の楽しみの一つです。

 列車は海岸から離れて佐賀平野に入ってきました。収穫後の稲わらのロール巻がころがっています。最近、稲わらは畜産飼料や畑の敷きわら材料として、ロールに巻いて利用されるようになりました。

 佐賀駅を発車したところです。昭和33年の松竹映画「張込み」では田舎の駅として佐賀駅が描写されていました。その後、大規模な区画整理事業により駅は移転して高架になり、周りの田圃はビル街に変貌し県庁所在都市らしくなりました。城内公園や昔の街並みは駅の南に静かに残っています。

 乗り換えの鳥栖駅です。小さな町ですが、かつては機関区や操車場があった分岐駅で、いまも6番線までのホームがあります。

 鳥栖駅は明治44年建設の駅舎です。ホームの屋根を支える支柱には外国のレール古材が使われています。標識によると、この支柱は明治29年のドイツ製。

 久留米に帰ってきました。小旅行でしたが、自動車よりも鉄道の方が旅をした気分になります。

 葬儀ではパネルに故人の思い出をたどる写真が流れていました。その中には里帰りした時の娘孫たちと一緒の写真も。彼らには先方の祖父母との、私が知らない団らんのひと時があったのです

 

 

 

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 長崎へ(上) | トップ | 久し振りに太原のイチョウを... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
長崎 (赤い風車)
2021-11-19 10:22:19
初めまして。
ずいぶん前の話になりますが、母の葬儀で長崎に帰った時、車の中で軍艦島が世界遺産になったってニュースが流れておりました。
それ以降長崎との関係がなくなってしまいまして、行っておりませんが、こうやって人さまのブログで近況を知れるのは素晴らしいなって 拝見しながら今更のように思っております。
ありがとうございました。
返信する
お疲れ様でした (徒然)
2021-11-19 10:27:19
長崎よりの帰路 車窓からの雰囲気が伝わってまいります ありがとうございました

張込みの撮影は田舎の木造駅舎でしたね
同級生が エキストラとして駅でラムネを飲む子供役で登場でした

モノクロ印象に残る作品でした
返信する
赤い風車様 (九州より)
2021-11-19 18:24:32
こんばんは。
長崎が郷里でいらっしゃるのでしょうね。
長崎は学生時代を過ごしたところなので、
時どき訪問していました。
港や駅周辺など昔と変わった風景もあります。
長崎はいい町です。
いまでも数年に一度は訪れています。
コメント有難うございます。
返信する
追加です。 (九州より)
2021-11-19 18:27:19
長崎に住んでいたのは私ではなく娘です。
返信する
徒然様 (九州より)
2021-11-19 18:35:12
こんばんは。
「張込み」はいい映画でした。
お友達が出ていたのですね。
いかにも地方都市らしい、佐賀駅と佐賀の街の雰囲気が出ていました。
佐賀は田園都市だと思っていたら、
いまでは海に面した町でもあるのですね。
コメント有難うございます。
返信する

コメントを投稿

日々の出来事」カテゴリの最新記事