大文字屋の憲ちゃん (当面は 石巻 地震) 

RIP 親父 けんちゃん 石巻 地震

20230807-9 石巻川開き祭り帰省05 ―遠くへ行きたかった 前編―

2023-09-24 07:37:50 | 日記

 遠くへ行きたいと思っていた。本当は別の所に行こうと考えていた。諸条件を勘案した結果鳴子温泉へ行くことにした。帰省の一週間前になって一通のメールが届いた。宿泊日程の確認のメールであった。1か月前なかなか思うような宿が見つからず苦慮していた時にとりあえずキープのために予約していた宿だったらしい。「らしい」というのはほとんど記憶になかったつまり忘れていたからである。見直してみるとそう悪い宿ではなかった。それにやはり遠くへ行きたかった。それで急遽(きゅうきょ)予定を変更してそちらに行くことにした。それが鰺ヶ沢であった。旅程を練り直し鉄道のチケットも取り直した。初めての青森への旅である。

 朝の石巻の撮影を終え重い荷物をセブンイレブン鋳銭場店から発送し同店でコーヒーと野菜ジュースとサンドイッチとヨーグルトを購入し宿で朝食をすませるとチェックアウト(宿泊代はチェックイン時に先払いのシステム)。10時48分石巻発JR仙石東北ライン快速仙台行に乗車。11時52分に仙台着。12時17分仙台発JR東北新幹線はやぶさ19号新函館北斗行に乗車。東北新幹線でも初めての風景である盛岡以北の車窓に目を凝(こ)らす。田圃(たんぼ)や畑が少ない。 

仙台ではちょうど七夕祭り。

新幹線はお盆前だがかなり混んでいた。予約サイトを見ると9割方埋まっていた。

 13時57分新青森着。仙台から新青森までの所要時間は1時間40分であった。ここで14時08分JR奥羽本線弘前行に乗り換えて川部という駅でJR五能線リゾートしらかみ4号秋田行に乗り換える予定であった。しかし奥羽本線の列車が遅れリゾートしらかみ4号が先に着いてしまった。そこで駅員さんに確認のうえ新青森からリゾートしらかみに乗ることにした。リゾートしらかみは全席指定の観光列車でありはじめ新青森から奥羽本線内を通り川部を通り越しいったん弘前まで行ってからスイッチバックして再び川部にもどり五能線へ入るので奥羽本線に乗り川部で五能線に乗り換えるのに比べ結果的に時間がかかってしまうため新青森では時間的に利用不可能な便だったのであるがこの日はたまたま奥羽本線が遅れしらかみが先に来たので指定席の空きもありしかも私の指定券なら追加料金が発生しないということで新青森からリゾートしらかみに乗ることができた。奥羽本線の列車は普通列車だったので指定席がなく座れるかどうか分からなかったのでこれはラッキーだった。

 リゾートしらかみは昨年郡上八幡へ行く際に乗ったJR高山本線特急ひだと同様ハイデッカータイプ(座席が通路より一段高い設計)なので眺め乗り心地共に良かった。

前面展望を楽しめる席があるというのは初めて見た。指定席ではないと思うが子供や鉄道ファンは喜びそうだ。

 新青森を出ると車窓はりんご畑が目に付く。りんご畑といっても人の身長ほどの高さのりんごの木が立ち並んでいるのである。これを畑というのかと新鮮だった。

 15時35分鰺ヶ沢着。新青森からの所要時間は約1時間30分。乗り換え時間を含めても石巻から5時間以内で着くというのはなかなか便利だ。仙石線で1時間・新幹線で1時間40分・特急指定で1時間30分という時間を長く感じない乗り換えのリズムがよかった。ところで鰺ヶ沢がどんなところかほとんど知らないで来たので着いてから白神山地があると知り驚いた。とにかくなるべく早く現地に着きたいというのでアクセスはどうなっているのかというのと海が近いなら海水浴場はあるかなと調べた程度なので着いてからのインパクトが強かった。

 駅からは無料送迎バスで移動(要予約)。宿の名前は「グランメール山海荘」。到着すると9階建てぐらいの洋風の建物で敷地も広く海辺の少し高台に立っているので見晴らしがよさそうだ。エントランスからフロントに入ると同じ送迎バスに乗ってきた客が一斉にチェックインするので番号札を渡され順番待ちとなった。フロントもロビーも広々していてウエルカムドリンクも利用してよいということだしアンティークな調度もあったのであちこち見物しながら待った。家族連れやリピーターが多いように見えた。暇を持て余した子供が備え付けの塗り絵セットで遊んでいた。チェックインはフロントの担当者からホテルのシステムや施設利用についてのけっこう細かい説明があったので10分近くかかった。それによるとこのホテルは「オールインクルーシブ」(「全部込み」)というシステムを2022年10月から採用しており飲食とイベント参加の費用は基本的に料金にすべて含まれていて追加料金が発生しないというのである。だからロビーの軽食やドリンクやバイキングでのアルコールを含んだ飲料も食べ飲み放題とのこと。(それでもコース外料理や貸切風呂は追加料金が発生するものもある。)なお近くの五所川原・弘前でねぶた祭りがあるのでそちらへ行くなら駅まで送迎バスに乗れるという話もされたがねぶたを見るならそういう心構えで気合を入れて来るつもりなのでそちらの方は断った。フロントの人の説明には丁寧さとぎこちなさがあった。忙しさに追われる感も。新しいシステムを採用したということは昨今の宿泊業の状況から必要に迫られた経営上の判断であろうことは察せられた。鰺ヶ沢という町がどのようなところかよくは知らなかったがおそらくこのホテルは観光の一翼を担い町の雇用の一端を担いここで働く人たちは毎日がサバイバルなのだろう。接客業でもあるからあまりそれが表に出てはいけないのだろうがそういう緊張感というか懸命さのようなものは感じた。それは決して不快ではなかった。

 ロビーからは緑の芝生の向こうに青い空と海が見え開放的な眺めだった。

なぜか敷地内に船があるので宿の人に訊くと創業者が友人の漁師さんからもらい受け飾ったのだそうだ。

リゾート感満点の眺め。ここでボーッとして座っているだけでも気分が良さそうだ。

謎の張りぼて。

 館内の共用部は洋風だが部屋は和室のようだ。ドアはオートロックではない。普通の温泉旅館のようだが建物はしっかりしており清潔なので安心感はある。尚普通のホテルや旅館などでは部屋にお茶やお菓子が用意されているものだがこちらではそれらを先程のロビーから自分で調達してこなければならない。地元特産のミネラルウォーター(たしか白神山地の水)も飲み放題だがロビーから蓋つきの容器で持ってこなければならない。このあたりは正直客としてはツライところだ。まあ経費節減の徹底ということで百歩譲るとしてもそれならばロビーのお菓子のクオリティをもう少し上げてほしいかな。それはさておき部屋はオーシャンビュー(窓から海が一望できる)で眺めは最高である。

 少し疲れもあったので休憩してから夕食へ。バイキングである。私はバイキングは好きではない。部屋食でなくともお膳で食べたいクチなのだ。しかしこちらのバイキングは悪くなかった。案内係の人にお薦め料理をきくとビーフシチューとステーキ(要は牛肉を使った料理)とのこと。たしかに牛肉は美味しかった。特にビーフシチューは独特の風味で肉の旨味が生きていたい。調べると鰺ヶ沢ではジャージー牛を自然豊かな環境でストレスなく育てており肉本来の旨味を活かした赤身肉が特長になっているとのこと。たしかに肉自体も美味いが調理も良いと思う。山菜の「みづ」は当地の特産で見た目は細めの「蕗(ふき)」か「エンドウマメ」のように見える。これの醤油漬けがさっぱりして美味しい。「すしこ」は蒸した糯米(もちごめ)とキャベツや胡瓜の漬物とを混ぜて発酵させたもので津軽地方の日本海側で主に食べられてきたとのこと。かなり独特の味わいで少し馴れ寿司的な趣があって面白い。昔からの保存食なのだろう。ほかにも平目のヅケ寿司。ご飯にのっければ即席の海鮮丼ができそうな刺身の鉢。雲丹椎茸(うにしいたけ)。ドリンクも飲み放題(ビール・ワイン・ウィスキー・焼酎・日本酒etc)。日本酒については尾崎酒造の「安東水軍」の特別純米・純米吟醸・大吟醸のほかなかなか美味しいところを揃えていた。最近お酒を控えている私もこの日は安東水軍の上記3種をお猪口(ちょこ)に1杯ずつチビリチビリといただいたのだ。因みにスイーツも美味しかったがアップルパイに関してはりんごの国なのだからもっと美味しくてよかったのではないかと思った。(食事会場は混雑しているし自分が何を食べるのかで頭がいっぱいでほとんど撮影できなかった。)

 大満足の夕食後は毎晩8時から30分程行われる津軽三味線の生演奏を鑑賞。ただ聴かせるだけでなくお客を演奏に参加させて一緒に楽しむなどベテランらしい味のある演出。

温泉に入って疲れを癒(いや)しこの日は床に就(つ)いたのである。

*    *    *    *    *

翌朝6時頃。廊下から岩木山が見える。津軽富士ともいわれる。

朝食をいただく。朝カレーなんてものもあって興味をそそる。

左下は「とう漬け」。シソの実の入った漬物で鰺ヶ沢の郷土料理。筍に胡瓜に「みず」も入っているだろうか。左上は雲丹椎茸。

 売店。雲丹椎茸はやはり名物のようだ。問題はあのロビーの張り子にもなっていた犬だ。土産物にも出てくるので調べてみると「わさお」という秋田犬である。よくわからないが全国的に人気を博し土産物屋でラーメンとかクッキーにまでなっている。犬の味がするのだろうか?

海に面した前庭を散歩する。この地も30度を越えていて暑いは暑いが眺めがいいのであまり暑さを感じない。

 東奥日報は聞いたことがあるが陸奥新報は初めて知った。またこの8月7日は青森・弘前・五所川原で軒並み「ねぶた祭り」が行われていたようだ。東北の三大祭りの中では最も魅力を感じるのでいつか行きたいと思っている。それぞれに違いがあるようでどれを見に行くかちょいと迷うが。

 散歩で腹ごなしをした後は温泉である。海を眺めながらの露天風呂は初めて。絶景露天風呂。タモリじゃないけど気分は最高! 因みにこちらの温泉の湯は見た目がかなり黒っぽくかなりしょっぱいつまり塩辛い。これはこちらの温泉が約30年前の化石海水が湧き出したものだからだそう。これはなかなか面白い。温泉フリークとしては新しい湯を体験できたと得した気分である。

 少しを仮眠をとった後近くの海水浴場へ。ホテルのそばには海水浴場が2か所ありいずれも徒歩で行くには大変なのでタクシーを利用。ホテルにタクシーを呼んでもらい「海水浴場へ行ってください」と言うと女性(おばちゃん)の運転手さんは遠い方の海水浴場へ向かう。私は近い方(そしてそちらの方が小さい)でよかったがまあどちらでもよいと思っていたので事実上運転手さん任せである。運転手さんは観光客相手に慣れた感じでこのあたりのことをいろいろ教えてくれた。相撲博物館のある「道の駅」が近くにあることも教えてくれた。結果的に遠い方で正解であった。遠い方がその「道の駅」にも近かったのである。そうしてやってきた海水浴場。予想していた以上に広く松林もあり海水浴場らしい風情。海に入るのは3年前ぐらいに渡波で泳いだ時以来かしら。この日はこの地も暑く歩くと砂が熱くてゆっくり歩けない。水に入ったり上がったりしながら20分程泳いだ。浜はあまり遠浅ではなく途中から急に深くなったり凸凹(デコボコ)があったりする。伝説の雲雀野(ひばりの)海岸状態である。それでも快晴での海水浴は最高に気持ちが良い。尚(なお)海水は温泉の湯と同様しょっぱっかった。太平洋に比べて日本海の海水は塩辛いのだろうか。

 海から上がり道の駅に向かう。歩いて7、8分であろうか。道の駅「わんど」がある。「わんど」はこの地の方言で「われわれ」「私たち」の意。敷地の入り口付近になぜか童謡「赤い靴」の家族の像がある。モデルの女の子の義父が鰺ヶ沢出身ということだがかなり無理があるような……。そしてまたしても「わさお」の今度は銅像がありました。この犬どんだけ偉いんだ!?

 この海の駅1階は普通の地元の特産物を中心としたマーケット・土産物屋であるが2階に「鰺ヶ沢相撲館」なるものがある。「舞の海相撲桟敷(さじき)」とあるように舞の海記念館的な趣があるが名力士を輩出している青森県の出身力士の紹介と相撲全般の紹介と鰺ヶ沢の町の紹介の3つの役割を兼ねている。丁寧に見ればかなり時間のかかる展示で相撲ファンには堪(こた)えられないだろう。鰺ヶ沢出身力士には舞の海に以外にも誉富士らがいて鰺ヶ沢高校出身ということでは安美錦・海鵬がおり青森出身としては横綱だけでも栃ノ海・初代と二代目の若乃花・鏡里・隆乃里・旭富士といるのでなるほど名力士輩出の地である。

なぜか酒の激安ショップが隣接している。青森は津軽の地酒を中心になかなか良い品揃えである。

 タクシーを呼んで宿に帰る。行きのタクシーの領収書にあるタクシー会社の電話番号に電話して車を呼ぶと往路と同じおばちゃんドライバーが来てくれた。予約していた貸切風呂に入ってみる。バリアフリーで悪くなかったが露天でなかったことと西陽の当たる位置なので浴室内が暑く湯温も普通なので暑過ぎて長く入っていられなかったのが残念であった。このあたりは工夫が必要でしょうか。

 夕食。この夜のおすすめは青椒肉絲(チンジャオロースー)とのことでしたが鰺ヶ沢産「みず」の土佐和え・郷土料理「すしこ」・「鱸(すずき)のネギ味噌オーブン焼き・ホタテの稚貝ガーリック焼き・五目ビーフン炒め・冷製穴子茶碗蒸し・台湾風カステラ・オリジナル縄文クッキーなどメニューも変化に富み楽しい食事となった。

日本海に沈む夕日を撮りたかったのですがこの日は雲が多くかないませんでした。しかしこの眺めも一興。

※ 文字数が上限を超えたので後編に続きます。文字数といっても記事の引用やリンクのための文字情報を含めてのものだと思いますので文章そのものはそれほど長くはないのですが(苦笑)。

※ フォトチャンネル及び動画はすべて後編に掲載します。 

 

(後編につづく)


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