スーパーで季節の果物を見かけたので買ってみた。
びわ、あんず、すもも、ライチ、いちじく。
さくらんぼや桃もあったが、ふだん食べないものを選んでみた。
びわは表面の皮を剥(は)いで食べると、みずみずしい果液がひろがり、淡い甘味とほのかな酸味がさわやかだ。果肉と種の離れが良くて、果肉の味だけではない食べ心地の良さを感じる。
あんずは皮を剥(む)かずにそのままかぶりつく。果肉はややふんわりした感じで甘さも酸味もほのかだが、果肉の柔らかさと穏やかな甘酸味で独特の味わいがある。皮は桃の皮に似た触感で表面がかすかに毛羽立っており、この触感も味わいに一役買っている。また果肉と種がきれいに離れるので食べ終わりが心地よい。あんずはドライフルーツで食べることが多いが生食も、いや生食が楽しい。
すももは皮を剥いて食べる。桃よりも酸味が強いが甘味も十分あり実にみずみずしさがある。種のまわりは酸味とえぐみが強くなるがさわやかでキュートな味わいだ。
いちじくは2週間ほど前に買ったものを冷蔵庫で放置したため変な色になっていて味も正しい熟し方ではなかった。
ライチは表面が固い皮でおおわれていて、それを剥くと乳白色の実が露出する。かぶりつくとさらりとした甘い液体が口の中に広がる。それとともに乳酸菌飲料のような(カルピス的)味わいや杏仁豆腐を食べた時のような玄妙な香りがあり、なかなか複雑な味わいである。実は厚くなく種が大きい。少しコツは要るが果肉と種はきれいに離れる。ひとつの実の量は多くない。後を引くタイプではなく、一つ食べると結構満足してしまう。これは味の複雑さとともに皮を剥いたり実と種を離すときに気をつかうなど食べるのに労力を要することにも起因すると思う。
枇杷(びわ)、杏(あんず)、李(すもも)、無花果(いちじく)。ライチは茘枝(レイシ)という植物の実。
枇杷はバラ科で原産は中国南西部。日本には古代に伝来したという。
杏もバラ科で原産地は諸説あるが中国が有力で英名アプリコット。カラモモという別名もある。
李もバラ科で原産地は中国。日本には古くに中国から渡来。モモより酸味が強いことが和名の由来となっている。英語でアジアン・プラム、ジャパニーズ・プラムと呼ばれることもある。
無花果はクワ科イチジク属で西アジア原産。日本伝来のルートは諸説ある。「無花果」は花を咲かせず実をつけるように見えることに由来する中国名で日本ではこれに「イチジク」という熟字訓を与えた。「唐柿(からがき、とうがき)」「南蛮柿」という呼び名もある。
ライチは茘枝(レイシ:ムクロジ科レイシ属)という植物の実である。中国原産。wikiには、
≪中国では紀元前から栽培されていた果樹で、上品な甘さと香りから中国では古来より珍重されたが、保存がきかず「ライチは枝を離れるや、1日で色が変わり、2日にして香りが失せ、3日後には色も香りも味わいもことごとく尽きてしまう」と伝えられる。唐の楊貴妃がこれを大変に好み、華南から都長安まで早馬で運ばせた話は有名である。≫
とある。私が購入したものは皮の色が黒ずんでいたが実の鮮度は保たれていたように思う。
今回購入したくだものは産地は以下の通り。
枇杷…愛媛県産
杏…長野県産
李…山梨県産(大石早生プラム)
無花果…愛知県産
ライチ…台湾産
こういうくだものたち、ふだんあまり食べない、ある意味マイナーなくだものたち。味わいに派手さはない。しかし独得の、個性的な香味がある。あまり広く食べられないのには、栽培の難しさのほかに、食べにくさや高価さ、ちょっとお高く留まったイメージなどもあるのかもしれない。
私自身は日本酒の味わいを表現する時にこういった淡い味わいのくだものを引き合いに出すことが多い。だから本体のくだものの香味やその違いを確かめたいという思いがあった。今回テイスティングしてみて、日本酒を飲んだ時の口中への液体の広がり方が、くだものの汁の口中への広がり方といかに酷似しているかということが確認できた。とてもおだやかでさわやかですずしげなのである。
また、くだものの食べ方として、一種類のくだものをたくさん食べ続けることはできないが、いくつかのくだものを少しずつ食べることは意外にできるし、それは楽しいということだ。これは発見だった。ちょうど日本酒を飲むときと同じで、数種類の日本酒を味わいのちがいを楽しみながら飲むのは、一種類のお酒を飲み続けるよりも楽しいのである。(これは日本酒の楽しみ方としては、お酒本意の楽しみ方で、料理と合わせる飲み方はまたちがってくるだのが。)
最近は休みの日の朝はレモンをしぼった野菜ジュースとカフェオレをいただいている。この日は野菜ジュースとカフェオレの間にフルーツまつりを催した。くだものたちのさわやかな味わいの共演は梅雨の憂さを晴らすことにもなった。
20230702 フルーツまつり
付記1
三年連続大腸ポリープ切除と医師から大腸がん予備軍だから十分注意するようにとのアドバイスを受けたことを記念して現在禁酒中である。お酒だけでなく脂っこいもの、特に生クリームなどの脂肪分の多いお菓子などは極力避けている。もともと私の内臓は脂肪の分解能力が低いらしく、背中には二十年前から脂肪塊なるものもできている。お酒と脂肪分を極力摂らないことで体質改善を図っているというところである。お酒を我慢することはそれほど難しくはない。お酒を飲むと大腸の調子が悪くなるのが明らかに分かるからだ。それより問題なのは甘いもので、ケーキやクレープなど生クリームをたくさん使った洋菓子はなかなか断ちがたいものがある。禁断症状が出ている時にコンビニなどに入るともうダメである。ミニストップのチョコバナナクレープなどどうしても食べてしまう。
付記2
カフェオレを飲むときに少量入れている蜂蜜。九州は大隅半島産の原生林ハチミツ。濃厚でローヤルゼリー的な風味を感じる甘味が美味である。
付記3
最近の奇観(雲)。
久々に都立多摩図書館(国分寺市)に行った帰りの夕雲。
近所でみかけた梅雨の雲。
付記4
最近はビートルズをよく聴く。アンソロジーやインタビューなどで情報が豊富になり、以前と異なる楽しみ方ができることがある。一回りして、何周りもしてまた戻ってくる感じもある。
ビートルズの最高傑作のアルバムといえばかつては「サージェント」だったが、最近のアンケートでは「リボルバー」だそうだ。私自身も最も尖がったこのアルバムが好きである。特にジョン・レノンが録音開始時に「今回のアルバムはこれでいくゾ」と言ったこの曲はアルバムを象徴している。
プロデューサーのジョージ・マーティンも間奏部分を埋める音源のためにアップルの倉庫から目当ての楽器の演奏テープを持ち出し、そのまま使うと盗用になるのでテープをバラバラに切って空中に放り投げそれを拾い集めて繋ぎ合わせて使ったりしたという。今でいうサンプリングの先駆けのようなことをやっていたことになる。
ビートルズが他のグループと決定的に違う点にコーラスの美しさがある。その極致が Because だが、ジョンがべートーヴェンの「月光」のレコードを逆回転させて聴き、そこから発想を得た前衛の曲でもある。
ビートルズ最後の録音となった「アビーロード」の「ジ・エンド」はリンゴの唯一のドラムソロだけでない。途中のギターソロがポール、ジョージ、ジョンの競演であることがわかり、その観点から聴きどころになった。ジョージが「ギターソロだろうな」といいジョンが「そうなるわな」と返答し「いいアイディアがある」と言った1時間後に録音は完成したという。解散直前の確執、不和、軋轢の極限下、彼らがかつての彼らに戻り最後の輝きを放った一瞬だった。各自のパートは以下の通り。
00:53〜 ポール
00:58〜 ジョージ
01:02〜 ジョン
01:05〜 ポール
01:09〜 ジョージ
01:13〜 ジョン
01:18〜 ポール
01:21〜 ジョージ
01:24~ ジョン
01:47〜 ジョージ
各自の個性が発揮された超絶のパフォーマンス。私にはジョンのドスの効いた野性的で暴力的とも言えるパフォーマンスが印象的だ。
2019年mixはギターソロのステレオ位相を各パートに分けたものになっている。
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