ゆるふわ屋。 - 鏃キロク・若林浩太郎のブログ -

シナリオライター若林浩太郎のblogです

キャットストリート 6巻 花より男子は読んでなかったけど…

2007年05月04日 00時03分52秒 | レビュー
キャットストリート (1)

集英社

このアイテムの詳細を見る



キャットストリートの1・2巻が同時発売され
興味を持って買ってから。

作者の神尾葉子さんに、非常に興味を持ちました。
しかしウィキペディアには全く情報ナシ。

まあそれはいいんです、作品が面白ければ。


この作者の描く主人公は、本当に読者へ感情移入しやすく
作られているなあ……と感心してしまいます。

ざっくばらんにあらすじを書きますと…。

天才的な売れっ子子役の主人公・
青山恵都(あおやま けいと)は舞台の途中に
親友に裏切られたショックから人前で演じることが
出来なくなってしまった。

半ば引きこもって部屋で過ごす毎日。
そして数年、小学校にも行かず漢字も満足に読めない
ケイトがそこに居た。

そんな或る日、ケイトはフリースクール
「エル・リストン」の学長に出会う。

「うちに来てみないか」との誘いにいぶかしむものの、
様々な境遇でそこに通う人々との出会いが彼女を変えていく。

中でも、親友と呼べる友人に出会ったことにより
ケイトは大きな成長を果たしていくことになるのだが……。


漢字が読めなくて、久しぶりに手にした台本の
台詞をどう言っていいのか分からなかったり。

漠然と「なんとなく演技がうまい」という、読者からは
見えない部分での共感ではなくエピソードに沿って
主人公の魅力を描き出していたりします。

難しい用語とか使わず、そういった境遇の
主人公からでも分かるように物語が展開していくので
置いてけぼりにされることは少ないでしょう。

特別に萌え、みたいなものを感じるような存在でないけれど
とても身近に感じられて親近感を覚える距離感。
出そうとして、なかなか出せるものではありません。


そしてこのコミックには、
力強い言葉が溢れているのです、
私はそこを賞賛したい。

6巻では、たとえば。


ほんとうに
いつも

一瞬で何もかも
壊れる

いちど
何かがあると

悪いほうに
悪いほうに
向かってゆく

いつも
それを
つなぎとめられない



ここに通う
人たちは
普通の子より
持ち物が ひとつ
少ないんです

でも
そのかわり
人が持たないものを
持ってる

━━━━
私は

死んでしまった自分の息子の
それに
気付いてあげる
ことが出来なかった

ケイト
幸せに
なりなさい



いつだって
そうだ

大切なものと
ひきかえに

神様は
贈り物(ギフト)を
くれる



この世界
こっからが
長いよ

地獄の
スパイラル

(うん わかってる)

童話の
赤い靴の
少女みたいに

踊り続ける

あの場所には
かえれない

自分を
許せるとき
まで



みんなが

あんたのこと
なんて
言ってるか
知ってる?

(場面をこえて)

どこにでも
いるけど

どこにも
いない女優


何より、
言葉よりも……
間の取り方が、最高にうまい!!

本屋で少女マンガのコーナーの前を通ると、
最新刊が出ていないかどうか必ずチェックする作品です。

半年に1冊ってのがファンには堪える!
大先生、ここに一人待ってますよ~!