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プロが教える!リコーダー上達講座 その5 低い音域をきれいに鳴らすには Tutorial: How to hit the LOW NOTES

2017-05-16 21:30:00 | リコーダー/音楽 あれこれ

高い音域をきれいに出すコツに続き、今回は低音域の鳴らし方のコツを教えてもらいましょう。

動画はこちらです。

 

 

 低い音域が不安定な理由

リコーダーに吹き込まれた空気はどこかの穴から出ていくわけですが,開いている穴の多い音,アルトで言えばミやレなどは,空気が逃げる穴がたくさんあるので,音程がかなり安定します。目一杯息を吹き込んでも,音は汚くはなりますが,違う音程になったりはしませんね。

一方,より多くの穴を塞ぐと,それだけ息の逃げ道が少なくなります。全部塞ぐとどうなるでしょう。唯一の逃げ道は底の8番穴だけになりますね。すると,比較的簡単に負荷がかかりすぎることになるため,音が裏返りやすくなるのです。

では,楽器,指,息の3つの観点から,低い音域をきれいに出す秘訣を探っていきましょう。

  

 リコーダーの確認

基本的なことですが,楽器を組み立てたら,すべてのジョイントがきっちりはまっているか,頭部管のアライメントが自分の演奏姿勢にあった位置になっているかを確認しましょう。

チェック! ウィンドウェイに汚れや食べ物かすなどが詰まっていないか

私の経験では,楽器がちょっとヘタってきたりしばらくクリーニングされていないと,特に樹脂製リコーダーでは最低音が少しぼやけた感じになり,あまりうまく音が出なくなります。定期的にクリーニングを行うようにしましょう。

窓に向けて管を覗いてみて,もし汚れなどが見つかったらクリーニングしましょう。樹脂製のリコーダーならばぬるま湯で洗えますし,木製ならばアルコールでクリーニングします。

チェック! キーの状態は正常か

キー付きのリコーダーであれば,キーを使わない最低音(ヤマハのテナーであればレ)を鳴らし,誰かほかの人にドのキーを押してもらいます。これはほかの指が確実に穴を押さえたまま動かないようにするためです。

このようにしてそれでもまだ音がおかしいようであれば,キーのパッドが交換時期に来ているか,キーのアライメントの調整が必要になったことを示しますので,リペアに出して直してもらいましょう。

 

 指・構え

穴を正しく閉じることは低音域では不可欠です。低音域がちゃんと出ないのは,ほとんどは指で穴をきちんと閉じていないことが原因です。

チェック! 手の構えは正しいか

まず正しい手の構えを確認しましょう。手と手首がリラックスした線を描いて,手首が下がったりしておらず,指が自然な形になっているでしょうか。肩,背中,首はリラックスしていますか。

 

次のステップとして,指の腹で穴を塞いでいるかチェックしましょう。指の側面や指先ではなく,指の腹です。これは当たり前のことで,指の腹は硬い指先などと違って軟らかいので,穴を塞ぐのにずっと適しているわけです。

よくあるのは,手首を下げてしまうため人差し指が指の側面で押さえるように回転する例です。

こうして人差し指の側面でちゃんと穴を塞ぐのはものすごく難しいことです。もし手首が下がって手が回転しているようなら,正しい構えに直しましょう。

もう1つあるのが,低音域を吹く時にそれまでは良い姿勢だったのがまずい構えになってしまう例です。よく見るのは,下にかがみ込むような姿勢ですね。

これを直すコツとしてお勧めなのは,鏡を見てチェックすることです。腕や肩がおかしな動きをしたり,ある指使いの時に指が変に回転したり,意味のない動きをしたりしていないか確かめましょう。

チェック! どの指に原因があるかを調べるには

一番上の指から順に,どの指に問題があるかを探っていきます。ソプラノならばシ,アルトならばミから始めます。そして、息を通常より少し強く吹いて,倍音にきしまないかチェックします。音がオクターブ上がってしまうようならば,その指の押さえに問題ありで息もれが生じていることを示します。これを1つずつ順番に下に向けて行っていきます。

忘れていけないのは,下のほうの指を気にするのはよいのですが,問題が上のほうの指にある場合も多いことです。

  

 息の加減

低音域の息づかいは,高音域とは逆で,遅くて温かい息で,はぁ~とリコーダーの中を満たすような感じです。

手を口の前にかざして温かい息を吹きかけてみましょう。次にその温かい息でリコーダーを満たすように低音域を吹きます。雑音が混じらないよう,豊かに響くちょうどよいところをよく意識して狙いましょう。

チェック! 息の調節の練習法

息を完全にないところから次第に強めて弱めていきます。こうして音を試していくと,一番良い息の加減がどのあたりなのかがわかるようになります。リコーダーでは適切な息の圧や速度は音程によって著しく異なります。ソが美しく出る息の速度で最低音のファを吹いてもちゃんと鳴りません。

また,オクターブなど,跳躍音を練習しましょう。おすすめなのは,ファソ,ファラ,ファシ,ファドなどのように,最低音に戻るスケールの練習です。ここで大切なのはいかに速く吹けるかではなく,音が正しい音程で出ているかです。練習にはTelemannのFantasia No.9が最適ですが,最低音から始める「Happy Birthday」も,すべてのレベルの人のウォームアップにおすすめです。(・・・「かえるのうた」も使えますね)


[記:べ]

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