社説:ものづくり再生 日本の生存に不可欠だ
毎日新聞 2012年06月14日 02時30分
半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、グループ従業員の約3割に当たる約1万2000人の人員削減を柱にした経営再建に取り組んでいる。
半導体大手は、エルピーダメモリが2月に経営破綻している。かつては世界を席巻した「日の丸半導体」の凋落(ちょうらく)は、国内製造業が抱える構造的な問題の象徴ともいえる。日本の「ものづくり」再生は、待ったなしの状況だ。
ルネサスは、日立製作所と三菱電機の半導体部門を統合したルネサステクノロジとNECの半導体子会社が合併し、10年4月に設立された。「マイコン」と呼ばれるコンピューター制御装置部門は黒字で、自動車向けでは世界シェア約4割を占める最大手だ。しかし、デジタル家電向けのシステムLSI(大規模集積回路)事業で韓国勢に後れをとり、最終赤字が続いている。
優位な事業に経営資源を集中できず、価格競争が激しい分野でアジア勢の追い上げを受ける。これは、日本の製造業に共通する問題といえる。テレビ事業で韓国勢に追い越され、主要家電メーカーが軒並み大幅赤字を計上したのも同じ構図だ。
足かせになっているのは、かつては強みとされた研究開発から組み立て、販売までの一貫体制だ。組み立て部門で、アジア勢に比べ割高な人件費や地価、超円高などが、とりわけ大きなハンディになっている。だから日本での育成は中小企業から大企業に組み込まなければならない。
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