『カウントダウン・メルト ダウン(上・下)』
船橋洋一/文藝春秋/各 1680円
☆東電は、官邸にも、規制機関の保安院にも
☆「何が起こったかは知らせない。
☆ただ、何が起こらなかったかは熱心に伝えようとした」という。
☆しかも事故から三日目、東電の清水正孝社長から来た連絡は
☆「事故現場から撤退したい」という人を喰った申し出だった。
☆メルトダウンを相手にしてなお居直る
☆官僚的思考にページをめくる手が止まらなかった。
☆まるで太平洋戦争指導部の内幕に通じていると思えるほどだ。
☆関東軍の体質を持つ東京電力、
☆権力を振り回すものの
☆現実を制御できない大本営に似る政府と政府関連の原子力機関。
☆日本的システムが一気に雪崩を打ったように崩壊していく。
☆その中で、東電の吉田昌郎元所長が示した勇気や決断、
☆「日本のことは日本が守る」との主体性を自覚した
☆若手の官僚、政治家たちの使命感は特筆に値する。
☆2年を経てなお残る課題に、
☆この使命感はなぜ生かされないのだろうか。
『カウントダウン・メルトダウン 上』(船橋 洋一・著) | 単行本 | 書籍情報 | 文藝春秋
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163761503
2013年3月23日(土) NEWSポストセブン
岩瀬達哉(ノンフィクション作家)より
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■原発事故 「最悪の事態」がいかに回避され たかを明かした書
【書評】『カウントダウン・メルト ダウン(上・下)』
船橋洋一/文藝春秋/各 1680円
【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)
二年前の三月十一日。福島原発は地震と津波ですべての電源を失った。
翌日、 第一原発一号機の建屋が爆発、ついで三号機、四号機の建屋も吹き飛んだ。
誰もが恐れた「最悪の事態」は、いかにして回避されたのか。
その内幕を克明に明かすドキュメントである。
東電は、官邸にも、規制機関の保安院にも
「何が起こったかは知らせない。
ただ、何が起こらなかったかは熱心に伝えようとした」という。
しかも事故から三 日目、東電の清水正孝社長から来た連絡は
「事故現場から撤退したい」という人を喰った申し出だった。
菅直人首相は、
「このままじゃダメだ。東電に統合本部をつくるぞ」と
号令をかけたものの、
民間企業に官邸が乗り込む際の
法的担保を探して官僚はもたついた。
その様子は、法律に思考を縛られた
彼らの生態を浮き彫りにして余りある。
何よりゾッとさせられたのは、事故から二週間目にして、
はじめて「最悪のシ ナリオ」を作成していたことだ。
もし福島第一の原子炉と使用済み核燃料プール が、
つぎつぎと「メルトダウンの並行連鎖危機」に陥った場合、
二五〇キロ以遠の東京も避難区域となる――。
このシナリオは、事故の対応に当たった日米両国政府の幹部を、
むしろ奮い立たせたという
(東電の酷さとは対照的に、救われる 思いがするくだりだ)。
外部に漏れてはならないこのシナリオはすぐに破棄されたが、
「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調)が、
三〇〇人以上の事故関係者にインタビューするなかで、
図らずもその存在を明らかにすることになった。
民間事故調のディレクターでもあった著者が、
この資料のなかに、
「危機にさらされ、取り組んだ人々の個々のストーリー」
を読み取ったおかげで、
読者はあの事故を「もう一度、追跡」しながら
「国家とは何か」考える機会を得たことになる。
メルトダウンを相手にしてなお居直る官僚的思考にページをめくる手が止まらなかった。
※週刊ポスト2013年3月29日号
2013年3月23日(土)NEWSポストセブンより
http://s.news.nifty.com/item/detail/postseven-20130323-177361_1.htm
カウントダウン・メルトダウン上・下 [著]船橋洋一
- 保阪正康(ノンフィクション作家) - 書評・
■日本的システムの崩壊克明に
3・11時の東京電力福島第一原子力発電所の事故は、
いつの日か当事者がどのように行動したのか、明確に記録されるべきであった。
それは次代への誠実な申し送りとも いえた。本書はその役を担った書である。
上下巻を一読したあとに、すぐに3点の読後感が浮かぶ。
第一、事故の発端からひとまずの危機回避までを俯瞰(ふかん)。
第二、当事者・関係者への濃密な取材でその言動、心理を克明に描写。
第三、平易な記述でより深まる理解。
この3点によって「同時代史の証言」となった。
本書によって改めて多くの事実を知る。
つまるところ、「木を見て、森を見ることが苦手」な菅元首相、
「言われたことを仕方なくやる組織文化」の東電など
当事者たちの 体質はいかにも日本的システムそのものだ。
当時の自民党とて曖昧(あいまい)な情報をもとに
政争を仕掛けるなど挙国一致体制などとうてい無理。
1号機の水素爆発から始 まり、その後の海水注入、
3号機の爆発以下、2号機、4号機と危機が迫ってくるなかで、
日本的システムが一気に雪崩を打ったように崩壊していく。
国民への情報発表、住民の避難をどの範囲に決定するか、
その住民保護に苦悩する市町村長たちの怒りと涙、
こうして現実が明らかになってくると、
まるで太平洋戦争指導部の内幕に通じていると思えるほどだ。
関東軍の体質を持つ東京電力、
権力を振り回すものの
現実を制御できない大本営に似る政府と政府関連の原子力機関。
ルース米駐日大 使ほかアメリカ側は、情報開示の不徹底に、
「日本は支援される作法を知らないのではないか」と不満を漏らす。
その中で、東電の吉田昌郎元所長が示した勇気や決断、
「日本のことは日本が守る」との主体性を自覚した
若手の官僚、政治家たちの使命感は特筆に値する。
2年を経てな お残る課題に、この使命感はなぜ生かされないのだろうか。
◇ 文芸春秋・各1680円/ふなばし・よういち 44年生まれ。
日本再建イニシアティブ理事長。元朝日新聞社主筆。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013031000004.html
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