女として大阪で暮らす2

初心にもどり、ちゃんとブログをつくりたいですね。
たまに、読んでください。誤字脱字は、ご容赦くださいね。

好きなあなた(文鳥花子作)

2015-07-02 15:11:44 | 日記
僕は、ある女をすきになった。
その女は、長い間一人暮らしで、村のはずれにすんでいた。

小さな僕の心は、どきどきしていつもその女を想うのだ。
なにをしたいわけではない、その女と話をしたいそれだけなのだ。

僕は、君に恋をしたできるなら、一度お話がしたい。
心の中では、いつも言えるのだが、ほんにんのまえではいえないのだ。

その女は、貧乏でいつも貧しい身なりをしていて、びじんではないのだ。
どうしてその女を好きになったのかは、わからない。

只、すきになった、はじめてみたときから、ひとめぼれというやつなのだ。
でも僕は、やがて遠くの町に行かなくてはいけないときが来た。

それでも、一度もいえないまま、去っていくのはさびしかった。
おもいきって、一度告白しようと、女の家の前にいった。

女は、不思議そうに、何かを感じたように、男にいった。
「わたしは、もう実が熟すような激しい女でないのです」

女は、暗い過去と、暗い人生を送るたびに年をとっていってしまった。
そばで見る女は、老婆のように、しわがより、悲しく腰が曲がっていた。

男は驚き、あとずさりして、かえっていった。
あの女が、あんなに年寄りだったとは、とても驚いた。

そして、男はその女をあきらめることにした。
やがて、その男は旅立っていった。

その女は、好きになる男たちをどうにかして、さけたかった。
恋愛は、あきあきして、ひとりがすきだった。

男が尋ねてきたときは、知り合いのおばあちゃんに頼んで玄関にでてもらった。
自分によく似た、老婆をしかけたのだった。

「おばあちゃん、ありがとう、きょうもたすかったわ」

「あんたも、たいへんだね、もう恋はしないのかい」

「私は生きるだけで精一杯で、人を愛するだけの余裕がないのね。またおねがいね」

女は、覚めた目をして一人暮らしを続けていた。
男たちは、いつもだまされて、しょんぼりと帰るのだったが、それは、仕方のない運命だったのだ。

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