「千日回峰行」。 最初の3年間は、1年のうち100日だけ行を行うことが許されていて、1日30Kmを休まず比叡山中255ヶ所の霊場を巡拝して歩くのだ。 それも急峻な山々を跳ぶが如くに走る姿に度肝を抜かれたものだ。 行は夜中の12時に出発、足元は草鞋なので怪我だって付きものの筈だ。 続く2年間は1年に200日、最初の3年と同じ行を行う。 この5年間まででトータル700日。ここまでの700日の行は自分自身のための「自利行」と呼ばれている。 行者のいでたちは、未開の蓮の葉を象った桧笠をいただき、白装束に草鞋ばき、死出紐と宝剣を腰に、もし行半ばで挫折すれば自ら生命を絶つ掟のもとに、自らを高みに上げていく。 実際これ以上継続出来ないと自分で判断した際に、首を吊る紐と短剣をいつも携帯している。
そして9日間 飲まず 食わず 臥さず 眠らず 真言を10万回唱える 「堂入り」 と呼ばれる行に入るのだ。 これは不動明王と一体となることを目指し、この行を修めないと次の行に進むことは許されないらしい。 通常、人間が断食・断水状態で生きられる生理的限界は3日間とされていることを考えれば信じがたいほどの苦行である。 脱水症状の為 2日からは唇が裂け、5日目からは幻覚症状なども現れ、喉の痰さえも切れなくなるらしい。 堂の外からは閂(かんぬき)が掛けられ、深夜2時にお供えをする水を汲む、お水取りに外に出るだけなのだ。 6日を過ぎると魚が腐ったような死臭が自分からしてくるというのだから、どれだけ凄絶な行か分かる。
☆普通は、堂入りのようなことをしたら、死んでしまうし、9日しかもたない修行だ。