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いよいよ今日から5月ですね。昨日の五月晴れと打って変わり今日は草木に取っては恵みの雨にありました。
昨日の奈良デザイン協会主催の「観光をデザインするフォーラム」での市長のプレゼンテーションを掲載します。
『平城遷都1300年祭と文化観光集客都市づくり』
平城遷都1300年祭は、平城京、藤原京を舞台として、日本に律令制度が確立し日本の社会制度が動き出し、都市文化が華開いたことを祝い、日本の社会のはじまり、日本人の心のはじまりに、今改めて現代を生きる日本人が思いをめぐらすことをめざす。
舞台は、平城京地域を中心地域として、遷都に関わる藤原京、斑鳩、明日香等の地域で広く展開される。併せて、多くの地域における連携するイベントが、広く県内外にて取り祖まれる。
中心地区である奈良市の催事は平城宮会場を主会場とするが、平城京遷都であり平城京すなわち奈良市域を包み込んで展開される。特に、世界文化遺産であり往時を彷彿とさせる寺社仏閣が平城京の重要なイベントの舞台であり、さらにそれらを取り囲む奈良町等のまちなみや世界文化遺産の春日原生林を含む歴史的風土をもつ町や自然もイベントの舞台である。そしてイベントの運営の主体は、今そこで暮す市民である。
このイベントは一過性のものとするのではなく、奈良市のこれからのまちづくり、特に文化観光で世界から多くの来訪者を迎えるためのまちづくりにつなげるものとする必要がある。
この背景には、国際文化観光都市として奈良市の取り組むべき課題がある。
私は「文化観光集客都市づくり」と言っていますが、奈良市は観光を標榜する都市として、ハード、ソフトともに、まだまだいろいろな体系を整え、奈良市にふさわしい観光都市の姿、観光都市像を創り出すことが急務です。今私たちは、奈良市の都市の姿を文化観光で国内外からの集客に対応するデザインをしなければならない。
そして、現在幸いなことに、平城遷都1300年祭に向けて、JR奈良駅連続立体高架化事業、駅周辺整備事業、第二阪奈道路からの大宮通りや三条通りの道路整備事業、大極殿復原や唐招提寺大修理、奈良町における中心市街地活性化事業や西ノ京地区整備事業、さらにドリームランド跡地活用の検討等、今奈良が動き出している。
まずは、観光資源と都市内交通の課題を整理するなかで、都市内交通体系の基本像を設定しておかねばならない。
文化観光における交通の基本的な考え方としては、
1.車の渋滞の解消
2.歩いての観光を基本として分かりやすく選択のできる
観光ルートと観光手段の整備
3.ユニバーサルデザインで奈良を感じることのできる
環境デザインの形成
を図る事と考える。
その都市内交通システムの基本像として
1.文化観光集客拠点地区の設定
一 奈良町地区、平城宮跡地区、西ノ京地区
2.市外からの市内への主要なアクセスの設定
一 第二阪奈、京奈和、国道24号
3.パークアンドバスライドの乗り換え地区における大駐車場
の整備
ー JR奈良駅連立高架化事業の高架下用地、平城宮跡地区内、ドリー
ムランド跡地内
4.拠点地区内の新たな交通の整備
一 奈良町におけるループバスの運行、人力車やべ口タクシー等のパー
ソナル交通の整備
5.拠点地区間の循環交通の整備
一 三地区の各地区観光情報案内拠点間を結ぶ循環バスの運行、法隆寺
等他地区への連携
6.観光情報案内体系の整備
ー Iセンター、観光案内スポット、案内板、説明版の整備、ユビキタ
スの活用、観光ボランティアの整備・活用
7.奈良にふさわしい新たな交通機関の機能とデザインの整備
一 奈良を感じる、ユニバーサルデザインの、環境にやさしいデザイン
8.交通空間の環境デザインの整備
ー JR奈良、近鉄奈良、西大寺、西ノ京駅の駅前広場や三条通りシン
ボルロードの奈良を感じる環境の整備、街路樹、バス停、屋外広告
物、電柱等道路専用物、舗装、建物のファサードなど街路空間の美
化促進
その他、
文化観光集客都市づくりに向けて、大切な取り組むべき事項は
1.もてなしの心あふれるまちづくり、人づくり
一 条例化
2.食の充実
一 具体的に奈良ブランド化
3.多様な宿泊需要への対応
一 新たな需要を生み出すホテル等宿泊施設の誘致、町家活用による中
長期滞在型宿泊施設の整備、規制緩和による宿泊施設の立地推進
4.積極的なPRと実効のある誘客活動
一 奈良町等地域のブランド化、東京観光オフィス等効果的なところで
具体的な誘客活動コンベンションや大阪、京都からのエクスカーシ
ョン等の誘致、修学旅行、外国人観光客等誘客マニュアルの策定・
活用
5.市内観光・誘客連携地域との連携の強化と整備充実
一 月ケ瀬梅渓、柳生の里、田原やまざと博物館等東部山間地域、松柏
美術館、大和文華館等西部地域等
市長の考えを述べられました。時間的制約はあったものの、私は、少し首を傾げる事がありました。
遷都1300年記念事業を一過性のものにはしないという事には賛成ですが、「文化観光で世界から多くの来訪者を迎えるためのまちづくりにつなげるものとする必要がある」また、「文化観光で国内外からの集客に対応するデザインをしなければならない」と述べれおられます。
そのための対応策として示されたのは、「観光資源と都市内交通の課題を整理するなかで、都市内交通体系の基本像を設定しておかねばならない」とだけであり、住民に関係するのは、「車の渋滞の解消」だけである。
「文化観光集客都市づくり」のために、ハード、ソフトともに、まだまだいろいろな体系を整え、観光都市の姿、観光都市像を創り出すことが急務です」と述べておられますが、推進されているのは、ハードづくりしか見えてきません。
そして、「イベントの運営の主体は、今そこで暮す市民である」
とイベントでのソフトづくりは市民であると言われているが、文化観光集客都市づくりのついては市民の参画の方法には提示されていません。
私は、フォーラムに参加して以下の事を感じました。
奈良市にふさわしい観光都市の姿、観光都市像をまず、行政が示すべきではないかと思います。市長はその事を急務であると述べておられるが、その対策は見えない。
また、「ハード、ソフトともに、まだまだいろいろな体系を整え」と述べておられる中で、ハード整備は例を引いて明確に示しておられるが、ソフト部分については何も示されていません。どんなソフトがどれくらいいるのか、誰が負担・担当するのかさえ見えない。
また、観光振興によって市民の生活環境にどのように反映され、環境改善が図られるのかについては述べられていない。ただ、1300年祭については、「イベントの運営の主体は、今そこで暮す市民である。」と示しておられるが、運営主体の育成強化支援策についても、また市民からの提案を受け入れ反映させる組織や仕組みについても示す必要があるのではないかと思います。
そして今回のフォーラムは、奈良デザイン協会が主催をして行われましたが、こうした事がなぜ行政で行われないのか?
分科会では、「観光地の環境整備、奈良ブランドづくり」「観光客誘致とアクセス」「奈良の食とステーイ(泊)」「歴史遺産と観光」「外から見た奈良」のテーマで参加者が議論をしましたが、市長や、関係者は、分科会にも参加しないで、民間人の意見をどのように吸収しようと言うのか?
民間人の努力をどのように評価しているのかが気がかりになった。
市長は最後に、文化観光集客都市づくりに向けて、大切な取り組むべき事項を示されています。しかしこれらの事を具体的に担っていくのは、企業であり団体であり、そして市民です。
その市民・団体・企業のやる気を引き出す方法は?
また、これらの事項を総合的に調整する組織と人は?
具体的進め方とタイムスケジュールは?
2010年まであと3年。これらの危惧を市民・企業・団体の協力を得て、連携を図っていくのか、行政にだけ頼っていく気はないが、まず行政が示していくことが重要ではないかと思います。
とのkin1兄さんのご意見ですが、人には向き不向きが
あります。全部の事柄をハード・ソフトともに
具体的なところまで考えろという方が無理です。
自分は藤原市長はここまでのフレームを提示された
ことで十分市長としての大枠を示されたと
思っております。
少なくとも、行政の役人の方は基本的に素人
ですので、具体策を考えろといってもそれは
ようしません。できません。
だから、行政主導での意見集約はことごとく
失敗しました。民間にまかすべきです。
だから奈良市パブリックセンターだといってるのが
分かりませんか?
おとついのシンポジウムは民間だから
できたんです。市に望んでもあかんでしょう
自分の仕事とちがうからです。
自分の仕事と思えないからです。
自分の仕事がいそがしいからです。
自分の仕事を知らないからです。
私、観光振興のための全体像や取り組みを示すべき、フ
レームワークを持って実行すべき。
市長、奈良の観光については既にいろいろと言われてい
る。今は行動実践する事が重要。
民間の発想と行動力が必要との意見には賛同をします。
しかし、観光関連業者の人たちは動くのでしょうか?
また、民間の発想に行政がついて来れるのでしょうか
「金野さん、行政マンは優秀ですよ」と言った市長も今は少し違ってきた様子です。
私は、多くの観光関連業者の人とも議論をしてきました。しかし希望の光は弱いですね。
観光関連業者と行政マンの先取の心意気とチャレンジ精神の欠如をいやという程みてきました。しかし、なんとかしなければいけませんよね。
その時はまたお力をおかしください。
言い出してから1年5ヶ月経ちます。
まだ、分かってらっしゃらないようですね。
市長は観光資源と都市内交通の課題の整理
のテーマで
①車の渋滞の解消
②歩いての観光を基本として分かりやすく選択のできる観光ルートと観光手段の整備
③ユニバーサルデザインで奈良を感じることのできる環境デザインの形成を考えること
として、交通体系の課題の中でデザインが果たす役割を何点かに分けて論じています。特に
6番の観光案内体系の整備もそうですし
7番の奈良にふさわしい新たな交通機関の機能とデザインの整備
8番の交通空間の環境デザインの整備
などは、市の職員がやってもできることではありませんし、観光業者の仕事でもありません。
これはデザイナーの持分です。
ソフト面の
4番、積極的なPRと実効のある誘客活動も
デザインの持分です。ことほど左様にテーマを
考えると同時にそれに形と色とテイストを考えながら論をすすめることが大事なのです。
観光部でなくて、デザイン部を置いても当然なのが
役所の組織ではないでしょうか?
市の職員は何千人といます。民間なら大企業です
市の施策は会社なら営業方針ですから、そこには
デザインがついてまわります。
役所の中にはデザイン部なんて置けないでしょうから
外部に民間の知恵を借りるパブリックセンターを
置くべきだというのが自分が言い続けてきた
ことです。
だから、「餅は餅屋に」なのです。