武蔵野美術大学美術館。
建物の設計は武蔵野美術大学建築学科初代主任教授・芦原義信。1967年に竣工し、その後の増築・改修を経て今現在のかたちとなる。
「若林奮 森のはずれ」。
会期は6月1日~8月13日。
一部撮影可。
彫刻家・若林奮(1936年~2003年)は、1960年代に鉄の彫刻作品によって頭角を現し、二度のベネチア・ビエンナーレへの出品や国内外の美術館での展覧会を通して高い評価を受け、第二次世界大戦後の日本の彫刻界を牽引した。
没後20年を経た今でも氏の彫刻観は鮮烈な印象を残す。
若林は1973年~74年にかけて文化庁芸術家在外研修員としてパリを拠点にエジプトやイギリスに赴き、フランスやスペインの旧石器時代の洞窟遺跡を調査し思考を重ねた。
ー以前から私は自分が自然の一部であることを確実に知りたいと考えていた。その確認のために様々なものを観察し、彫刻や絵をつくることが必要であったー
若林は武蔵野美術大学で教鞭をとっていた時に、学内の工房に鉄板をたて10畳ほどの空間を作った。その小部屋の周囲を鉛で覆い、周辺に植物や大気を表す鉛の板やキューブを配し、《所有・雰囲気・振動ー森のはずれ》として発表した。
今回の展覧会では完全予約制でその作品内に入ることができる。
その作品を見終えて出る。
ヒトは自然の一部なのにあたかも特別な存在のように尊大に振る舞う。
やがて錆びて朽ちて地へと還る鉄の作品。
ん・・・
もうひとつの展覧会は「三浦明範 vanitas vanitatum」。
会期は7月15日~8月13日。
撮影禁止。
三浦明範の画業50年をたどる展覧会。
29点にも及ぶ大型の油彩とテンペラによる彩色作品とシルバーポイントによるモノクローム作品と三浦の言葉が壁に散りばめられる。
写真と見紛うほどに緻密に丹念に描き込まれた、宗教画を思わせるような静謐と威厳に満ち満ちた作品の数々に圧倒される。
ー生ある限り死は潜在し生命と物質との連続性を感じてしまうのだー
ー色気は生命感に繋がり生命は死を内包しているー
外に出れば梅雨明け夏雲サルスベリ。