梅雨空蒸し暑い上野は不忍池。
ハスの花が咲き始めていた。
東京国立博物館へ。
特別展「聖林寺十一面観音-三輪山信仰のみほとけ-」。
会期は6月22日~9月12日。
事前予約制。
会期は9月までだけど、この調子ではオリンピック後がどうなっているかわからない。行ける時にさっさと。
事前予約制でもその入館時間ぴったりは並ぶから、法隆寺宝物館へふらりと時間調整。
館を出たところでヘビちゃんに遭遇!
柱の向こうからこちらの様子をうかがっている。
むふ。可愛い。
三輪山信仰の起源は初期ヤマト王権と関りがあるともその前からともいわれる。
古事記には、少毘古名命を失い愁嘆する大国主命の前に一人の神が現れ、国造りを達成したければ私を祀れと要求してきた。それが三輪山の主・大物主大神。しかし大物主は疫病を引き起こす恐ろしい神でもあり、その正体は大蛇とされる。
この展覧会初日にヘビちゃんが出てくるのは実に縁起が良いではないか。
崇神朝に疫病が流行り国中が疲弊した時に大物主が現れ、自分を自分の子の大直禰子に祀らせることを要求し、大直禰子に大物主を祀らせたところ疫病は終息したという。大直禰子が大神氏の祖とされる。
その後、7世紀~8世紀あたりに神宮寺が営まれ、現在は聖林寺に安置され国宝となっている十一面観音菩薩立像が安置された。
三輪山は三ッ鳥居を通して山そのものを拝する。
本殿すら排してる祈りの場に寺院が建立され偶像である仏像が安置されたのは神仏接近。そして明治の廃仏毀釈でまた神仏分離。
そこのところを突き詰め始めるときりがない。
この度の特別展は混乱極まる首都を照らすかのように奈良から初めて出てこられた国宝・十一面観音さまに会いに行くが吉なりよ。
ヘビちゃんは囁いて池の中にスルスルと。
そうだねと私は本館へ。
撮影禁止だから画像は無いけど、それはそれはこの上もなく美しい仏像だった。
撮影禁止というのも良いものだ。
入館者はそれなりにいるけど、展示室が静謐な祈りの空間となったような気がした。実際に思わず祈っている人もいた。
特別展展示室を出て、本館をゆっくりと歩く。
トーハクの庭の池にもハスが咲き始めていた。
この黒電話を見るたびに受話器をとりたくなる。
過去からの声が聞こえてくるんじゃないかと。未来からの声が聞こえてくるんじゃないかと。
国が迷走するようになると、確かに祈るしかなくなるものだなぁ。
ま。
平成館のハニーにご挨拶してトーハクを出た。