東京都現代美術館へ。
MTOアニュアル2024「こうふくのしま」開催中。
会期は2024年12月14日~2025年3月30日。
「MOTアニュアル」は、1990年に始まり、若手作家の作品を中心に現代美術の一側面をとらえ、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズ。
20回目の今回は「こうふくのしま」。
足元に広がる汲みつくせない世界を個々の視点から見つめ、形を与えようとする4名の作家の試みを紹介する。
「しま」は、4名の作家が拠点を置く「日本列島」の地理的条件に対する再定義を含むという。
「しま」を、海に浮かぶ閉じられた地形ではなく、海底では他の大陸や島とつながっている開かれた地形としてとらえ、目に見える世界とその背後にある見えざるつながりを意識させるという。
清水裕貴。
清水裕貴(1984~)は千葉県生まれの写真家・小説家。武蔵野美術大学映像学科卒業。
水にまつわる土地の過去や伝説をリサーチして物語を立ち上げ、写真と文章で表現する。
今回は最新作「星の回廊」。
中国・大連の星海湾と日本の東京湾を舞台に、星海湾という地名の由来とされる隕石落下伝承から構想を得て、架空の貝の一族の歴史を創造し、短編小説にした。
「星の回廊」の朗読が流れ、風景写真、潮による腐食のイメージが、架空の種族の興亡がその地の領有と開発の歴史を来場者に想起させる。
「星の回廊」の朗読は、「私は海蜷の一族の末裔で、東京湾が見えるマンションの一室で暮らしている。」から始まり「鮫の精霊は楽しげにくるりくるりと回って、小魚は溺れ、貝は窒息する。」で結ばれる。
波打ち際のように刻一刻と変化する場の瞬間を捉え、「星の回廊」によって日本の輪郭が浮かび上がってくる。