食道ガンの手術前の中村勘三郎への最後のインタビューの他、生い立ちや中村勘九郎時代、平成中村座、中村勘三郎襲名披露、コクーン歌舞伎、ニューヨーク公演の様子などのドキュメンタリー。
歌舞伎俳優の中村勘三郎死去のニュースを読んだ時は、この上なく驚愕し、その日は一日中、頭から離れなかった。初期の食道ガンで療養中とニュース・サイトで読んだりして知っていたが、初期なのだから完治して復帰できると思っていた。中村勘三郎の熱烈なファンというわけではなく、公演もそう観ていないけれど、57歳の死はあまりにも早過ぎて信じ難い気がした。この番組のインタビューでも語られているように、これから、やりたいことがたくさんあって歌舞伎に情熱を持っていたのに、どれほど口惜しく心残りだったことかと思うと、涙があふれそうになった。
どうして初期なのに治らなかったのか、不思議な気がした。けれど、12時間に及ぶ手術と知って、痛ましいというより、何故そのような手術を受けることになったのか、わからなかった。頭に浮かんだのは、『ガンは切れば治るのか』という近藤誠医師の著書だった。もし、手術をしていなかったら、まだ生きていて、ほかの治療法が見つかるということはなかったのだろうか。最後のインタビューの中で、「10時間かかる手術と聞いて迷った」というようなことを中村勘三郎は語っている。病気や手術について語る中村勘三郎の表情は、他のどの映像にも見られないほど不安げであり神様に救いを求めているとでも想像されるような表情で、見ていてたまらない気持ちにさせられる。長時間の手術がすべて悪いということはないのかもしれないが、よく聞く『手術は成功した。だが、患者は死んだ』という言葉を思い出させられずにいられなくて可哀相でたまらなくなる。
NHK大河ドラマに主演の『元禄繚乱』は本当に面白かったし、中村勘九郎時代の中村勘三郎を歌舞伎座の公演で観た時は、立役も女形も、息を呑むような美しさとりりしさに陶然となってしまい深く魅了されたことを思い出す。

歌舞伎俳優の中村勘三郎死去のニュースを読んだ時は、この上なく驚愕し、その日は一日中、頭から離れなかった。初期の食道ガンで療養中とニュース・サイトで読んだりして知っていたが、初期なのだから完治して復帰できると思っていた。中村勘三郎の熱烈なファンというわけではなく、公演もそう観ていないけれど、57歳の死はあまりにも早過ぎて信じ難い気がした。この番組のインタビューでも語られているように、これから、やりたいことがたくさんあって歌舞伎に情熱を持っていたのに、どれほど口惜しく心残りだったことかと思うと、涙があふれそうになった。
どうして初期なのに治らなかったのか、不思議な気がした。けれど、12時間に及ぶ手術と知って、痛ましいというより、何故そのような手術を受けることになったのか、わからなかった。頭に浮かんだのは、『ガンは切れば治るのか』という近藤誠医師の著書だった。もし、手術をしていなかったら、まだ生きていて、ほかの治療法が見つかるということはなかったのだろうか。最後のインタビューの中で、「10時間かかる手術と聞いて迷った」というようなことを中村勘三郎は語っている。病気や手術について語る中村勘三郎の表情は、他のどの映像にも見られないほど不安げであり神様に救いを求めているとでも想像されるような表情で、見ていてたまらない気持ちにさせられる。長時間の手術がすべて悪いということはないのかもしれないが、よく聞く『手術は成功した。だが、患者は死んだ』という言葉を思い出させられずにいられなくて可哀相でたまらなくなる。
NHK大河ドラマに主演の『元禄繚乱』は本当に面白かったし、中村勘九郎時代の中村勘三郎を歌舞伎座の公演で観た時は、立役も女形も、息を呑むような美しさとりりしさに陶然となってしまい深く魅了されたことを思い出す。
