未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第22章 新しい試練に向かって ②

2021-01-24 14:12:02 | 未来記

2021-11-21 13:38:43 | 未来記

2.MFiエリアの経緯(いきさつ)

 

<このお話はフィクションで、実際の未来ではなく、私のイメージで創作した未来です。>

 

デビッドおじさんが出て行った後も、ホテルから何の連絡もない。これからどうなるのだろうと、子供達は不安な時を過ごしていた。

 

キラシャはパパやママと電話が通じて少しホッとしたが、被害に遭った人や動物を助けるのに忙しいのか、キラシャの元気な声を聞いただけで、すぐに電話を切ってしまった。

 

パールは、自分がこれからどうすべきか、まだ迷っているようだ。キラシャもケンもマイクも、パールの気持ちを知っているだけに、無理強いはできない。

 

それに、もしパールがMFiエリアのドームに戻っても、マギィやジョディのようにイジメを次々に企てる子達がいる。自分達にパールを守ってあげられるのか、不安もあった。

 

それに、MFiエリアは、大地震でどんなことになっているのかわからない。マイクも、自分がMFiエリアに行って良いのか、迷っているようだ。

 

 

MFiエリアは、以前は細長い島と、北や南に大小の島が連なった国だった。

 

地球のプレートは、日々、動いている。MFiエリアの島々も、元々は大陸の一部だったが、大陸の端が割れて、遠く離れた位置にズレてきたのだ。

 

それに、MFiエリアは、平和的な外交を貫いているが、他のエリアからの軍事的な圧力がないわけではない。

 

近くの海域に向かって、威嚇のための爆撃を行うエリアもある。

 

MFiエリアが設立する以前に、大国が隣の国を突然砲撃し始め、戦争が始まった。

 

国民の自由を認める国と、国民を国家が支配する国との間で、戦争が2国間に留まらず、多くの国へと戦いの場が広がってしまった。

 

MFiエリアの元になった、小さな島の国にも…

 

世界を巻き込んだ戦争で、いろんな兵器が使われ、街が破壊され、危険な区域には、長いこと誰も近づくことができなかった。

 

<一刻も早く戦争が終わることで、未来が皆さんの望む平和な世界へと変わることを祈っています>

  

ようやく戦争状態が終結すると、多くの国が、新しい行政と政府の下で、破壊されてしまった街をすべて更地にし、戦争の砲撃や災害にも耐えられる、ドームを建設し始めた。

 

その後、国からエリアに継承する過程で、MFiエリアの政府は、<戦争に対して中立の立場を貫く>というルールを制定した。

 

当時の国連に、大国の始めた戦争を止める手立てがなかった反省から、あらゆるエリアの戦争を武力で止めさせる、防衛軍を有したコズミック・ユニオンが設立された。

 

地球だけではなく、宇宙に向けて、人類が生きる場所を求めるために。

 

最初は参加を見送るエリアも多かったが、広大なエリアがその主導権を競って宇宙開発を目指し始めると、他のエリアも後れを取らないように、次々に加盟を表明した。

 

その後もエリアの境界線を巡って、領地を奪い合う戦争が絶えず、防衛軍が参戦することで、安全の保障を訴えるエリアが増えて行った。

 

コズミック・ユニオンは、例え常任理事エリアでも、拒否権はなく、処罰の対象となるという法律を制定した。

 

例え、他のエリアに対して、ジェノサイド(民族への大量虐殺)を行うことで、一方的に勝利宣言をしても、多くのエリアがそれを認めなければ、無効とする。

 

さらに、ジェノサイドを行ったエリアの首長は、どこにいようと、ユニオンのルールに違反したことで逮捕され、裁判にかけられる。

 

これによって、首長が拘束された後、再び同じエリアの新しい首長が、再び戦争を繰り返すと、首長が戦争を起こすたびに逮捕の恐れがあることを示唆し、それ以上の戦争を防ぐという目的がある。

 

これは、過去の止められなかった戦争を終わらせるために、多くのエリアによって採択された、すべてのユニオンの加盟エリアが守らなくてはならない法律を遵守するためだ。

 

その一方で、戦争で街を破壊されたエリアには、ユニオン銀行を通じて、戦争で破壊されない強固なドーム建設のために融資が行われた。

 

火山の噴火が多く、地震多発地帯のMFiエリアは、災害が起こるたびに、島が変化してゆくため、海の中でも生活を営めるよう、海洋ドームの建設に対して、融資が行われた。

 

長年海の研究をしてきた科学者達を中心に、様々な施設が設置され、さまざまな海の生物との共存を体感できる海洋ドームと海洋牧場が誕生した。

 

MFiエリアは、世界的な海洋の観光ドームとして、その存在意義を他のエリアから認められ、多くの観光客を受け入れるようになった。

 

MFiエリアには、そういった過去の経緯(いきさつ)がある。

 

MFiエリアは、地震によって、将来すべての島が海底へ沈むというシミュレーションを公表する科学者もいる。

 

他のエリアに移住する人も後を絶たないが、島に残る人達が、地下ドームで安全に過ごせるように、ドームの数を増やし、その領域を広げている。

 

MFiエリアの建設する地下ドームは、他のエリアからも一定の評価を受けていて、注文に応じて、そのエリアに合った仕様にして、多くのエリアに安全な避難所を提供した。

 

ドームから出たゴミだけでなく、古くから海洋に浮かぶゴミや、地球の周りに漂う宇宙ゴミを回収して、その処理をする企業も日々活動している。

 

ゴミ処理したものを加工して、ドームの壁や設備の原料として再利用しているので、SDGs的にも評価されるだろう。

 

戦争で破壊された場所にも、MFiエリアの企業が入って、建物の残骸を片付け、ドームの土台を強固にする工事を行った。

 

これらの企業活動が、MFiエリアの経済を支えていた。

 

アフカ・エリアを始め、多くのエリアの地下ドームも、MFiエリアの建設会社が請け負い、大流星群がやって来る前に建設され、多くの人達を救ったのだ。

 

ただ、今回の大地震でどのくらい被害があったのかはまだわからないが、キラシャのパパは地中ドームへは避難していないようだ。

 

パパは自分のことより、動物園の動物を助けることに必死なのだ。

コメント
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