未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第21章 同じ時を生きる君に ⑰

2021-01-28 15:16:20 | 未来記

2021-09-28 22:49:00 | 未来記

 

17.夢での出会い

 

 

『キラシャ…

 

キラシャ…

 

オレだよ! タケルだよ… 』

 

『…えっ? タケル…?

 

ナンでココにいるの…? 』

 

空中に、ボンヤリとタケルの顔だけが見えた。

 

『オマエに会いたくて…

 

キララが…、こんな風だけど、会わせてくれンだ…

 

あっ、キララって…その…

 

オレらと同じ人間じゃないンだ。

 

キラシャと似てるンだけど… 』

 

 

「タケル… 」

 

キラシャは、思わず声を出しかけたが、周りの子が寝ていることに気づいて、心の中でタケルに話しかけた。

 

『もういいよ!

 

あたし、タケルのこと忘れることにしたンだ。

 

タケルがどんな子と、仲良くなっても気にしない!

 

ケンの方が、本気であたしのこと思って、そばにいて助けてくれたンだ。

 

タケルより、ずっと強い気持ちでね… 』

 

 

『そうか。キラシャ、ごめんな!

 

オレのせいで、オマエやケンまで危険なことに巻き込むなんて…

 

ヒロのヤツが、大丈夫だって、そそのかすからさ…

 

オレって、やっぱりバカだな…

 

もう、オレのことキライだよな… 』

 

『ホントに、ダイッキライだよ!

 

ヒロが、タケルが戦ってるとこ見せたいって、言ってたって!

 

でも、タケルの戦ってる姿なンて、ちっともあたしには見えなかった…

 

 

ケンは、アフカが危険なトコだってわかってても、一緒に来てくれたンだよ!

ここに来るまで、危険なこと何度もあったけど、あたしを引っ張ってくれた。 

 

タケルのことも、必死であたしに見せようとしてくれたンだよ!

 

あたしが、タケルのこと好きだから…

 

ケンがあたしのこと好きでも…

 

自分が損だってわかってても、見せようとしてくれたンだよ!

 

わかる? ケンの気持ち

 

タケルにあたしの気持ち、わかる…? 』

 

『…本当に、ごめんよ…

 

もう、キラシャの邪魔はしないよ…

 

たぶん、もうずっと、会えない…

 

だけど、これだけは言っておきたかったンだ…

 

キラシャのこと、誰よりも好きだったよ…

 

 

ただね、キラシャ。

 

宇宙で出会ったキララのおかげで、耳が聞こえなくても生きてゆける気がしたンだ。

 

アイツのそばでないと、オレは…

 

キラシャのそばにいたら、いい迷惑だろ? 耳の聞こえないヤツなンて…

 

キラシャには、ケンがいる。

 

あいつなら、キラシャのことまかしておけるよ!

 

だから、キラシャはオレのこと忘れていいよ!

 

でも…。

 

いつか会える日が来たら、イヤがらずに会って欲しい…

 

キラシャ、ずっと元気でいてくれよな… 』

 

そう言い終わると、空中のタケルの顔が、スーッと消えて行った。

 

キラシャは、しばらくそのあとをボーっと見つめた。

 

ナンでなの? タケル…

 

もっと言いたいことがあったのに…

 

ナンで勝手に消えちゃうの?

 

自分だけとっととしゃべってさ、もう…

 

そうなンだ。きっとこれも夢なンだ…

 

と…、キラシャは割り切るしかなかった。

 

キラシャは寝返りを打って、スヤスヤと眠っているパールの肩に頭を押し付けた。

 

『相手の気持ちもわからないヤツなンかより、

 

気持ちのわかる子の方がいいよねっ、パール!

 

ホントに大っっっきらいだよ。

 

タケルなンて…

 

もう絶対、会ってやンないンだから… 』

 

キラシャとパールを真ん中にして、2人を守るために両端に寝ていたマイクとケン。

 

キラシャのそばで寝ていたケンは、キラシャが黙って肩を震わせながら泣いているのに気がついた。

 

ケンは、キラシャの背中をさすって、気持ちを楽にさせてやりたいと思ったが、負けん気なキラシャは、かえってイヤがるかも…とあきらめた。

 

『キラシャ…。オマエがだれを選ぼうと、オレ、全力でオマエを守るからな…』

 

ケンは、そう決心した。

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