2012-09-23
4.どうなるンだ…?
宇宙船の乗組員達と話しているアニキの後ろに、タケルと少年達が現れた。
タケルは気が付かなかったが、アニキはそのまま宇宙船に残っていたようだ。
アニキは乗組員と話していたが、先ほどの少年達の態度が好ましいものでなかったせいか、乗組員の方は疑い深い顔をして聞き流している風だった。
そのせいか、再び現れた少年達に気がつくと、ひとりが大声で叫んだ。
「こいつら、また戻ってきたぞ!
また何か、たくらんでるんじゃないのか?
おい、鎖を持ってこい!
手分けして、全員鎖につなぐんだ!! 」
その声とともに、何人かの乗組員が集まってきて、少年達の有無を言わさず、周りを取り囲み、ひとりひとり鎖につなげていった。
少年達のほとんどは、元の宇宙ステーションに戻りたいという一心だったので、抵抗する気持ちもなく、素直に鎖に縛られていった。
それでも、男達の乱暴な縛り方に、少年達は口々に文句を言った。
「オレ、まだアンタを殴ってないんだけど、これ以上痛い目に遭ったら、アンタを蹴るかもね!」
「オレ達、なんで縛らなきゃなンないのさ!」
「宇宙船を乗っ取って、なにするっていうンだ。
それより、オレ達を元の所に返してくれよ!」
「オレ達は被害者なンだ。
家族の所に返してくれよ!」
「頼むから誰か、オレ達の話、聞いてくれないかなぁ!」
少年達の叫び声を、うるさそうに聞き流し、男達は部屋を出て行き、鍵をかけた。
そこへ、キララの声が聞こえてきた。
「こんなことになるって、わかってたよ。
自分らの都合ばっかり考えたって、周りはハイそうですかって聞いちゃくれないよ!
アタシが言っても、たぶん聞いちゃくれないと思ったから、黙ってたけどね…」
この言葉に、少年達の怒りが爆発した。
「わかってるなら、なんで戻ったンだ!」
「そうだよ、戻らない方が自由に動けたし、こんな痛い思いして縛られなくても…」
「早く、オレ達を自由にしてくれよ!」
しかし、キララは少年達を怒鳴りつけた。
「アンタ達のいけないとこは、人の話を聞かないとこなンだ。
そんなことじゃ、人もアンタ達の言うこと聞いてくれないよ!
いいかい!
今まで、ひとりひとり、アンタ達の未来を見せてやったことがあるだろ?
覚えてるかい?
ニックだって、今のままじゃ、将来は監獄行きなンだ。
ここにいるみんなも、そう違いやしないンだ。
そりゃ、自分の将来を聞いて、自分でそうならないようにすりゃ、アタシの言ったことなンて忘れていいさ。
でも、今ンとこ、アンタ達の未来は、変わってないよ!
特に、タケル!
まだアンタの未来を見せてなかったけど、ホントはここの誰より悲惨な運命?
ってのが、待ってるンだ。
しかも、もうすぐそれが始まるンだよ… 」
タケルは、今までキララが言ったことが、本当に起こることを思い出した。
「アンタの大切な子がいるだろ?
アノ子がこれからどうなるか
知りたいかい…?」
タケルは、キララをにらみつけながら、…キラシャに何が起きるのだろうと、不安な気持ちを押しこらえた。