『一言寺
高台にある一言寺は、四季折々の花に彩られた静かな寺である。
この緑に覆れた寺は、高倉天皇の中宮・建礼門院徳子に仕え、「大原女」のモデルとも言われる阿波内侍(後白河天皇の側近である藤原信西の娘)によって創建された。
本尊の千手観音は、「ただたのめ 仏にうそは なきものぞ 二言といわぬ 一言寺かな」という御詠歌で歌われるように、一心に祈れば、一言だけなら願い事が叶う、ということで、多くの信仰を集めている。
現在の本堂は、江戸時代の再建で、「一言観音」と呼ばれる千手観音菩薩像や不動明王像等の他、元禄七年( 一六九四)に造られた阿波内侍像が安置されている。
山門の近くにある大きなヤマモモの木は、樹齢四〇〇年以上と言われ、京都市の天然記念物に指定されている。幹の内部が大きく空洞になっているが、今でも樹勢は衰えることなく、毎年六月頃には多くの赤い実を付ける。
京都市』 (駒札より)
『一言寺
真言宗醍醐派のお寺で金剛王院、通称一言寺と言います。一八七四年(明治七年)金剛王院の祖聖賢を開山とする醍醐三流の一つ金剛王院と合併しました。ご本尊の千手観音さんに一心に祈れば言下に願いがかなうことから、一言寺の名がおこったと伝えられています。
「ただたのめ、仏にうそはなきものぞ、二言といわぬ、一言寺かな」の御詠歌の額が本堂の軒下にあります。
寺伝によれば、 高倉天皇の中宮「建礼門院」に仕えた少納言藤原通憲(信西)の娘「阿波内侍」が出家して「真阿」(しんな)と名乗リ、清水寺の観音さんの霊告によって、一言寺を建立したと伝えます。
仁平年中珍海はここに住み、密教の仏画を多く残し、阿波内侍座像は、元禄七年画像を基に造られたと記録に残されています。
本堂は、一八一〇年(文化七年)の再建で、江戸時代を代表する建築の一つです。内陣の中にさらに土蔵造りの奥内陣がある珍しいものです。一言観音と呼ばれる秘仏千手観世音菩薩像は、この中に安置されています。』
(説明書きより)
一言寺。このブログでも7月に紹介している。その時はたまたま護摩業の日で、大勢の人達が来ていた。老婦人に勧められて一緒に参加することにした。
住職が前に座ってお経を唱え始めると、参加者も声を揃えてお経を唱える。自分もお経の冊子を借してもらって、声を出して読むものの、余りものスピードの速さについていけず、今いったいどこ唱えているのか全く分からなくなってしまった。しかも周りの様子を見ていると、大半の人がお経を見ていない。つまり皆さん既に暗記しているのだ。これが約30分続く。門外漢の自分はどうにも居心地がよくないが、一応経験の一つとしてこの護摩業に付き合うことにした。
そして今回は紅葉撮りに訪れる。7月の時点で境内にもみじの木が多いのがわかっていたので、きっと素晴らしい紅葉が広がっているだろうと思っていた。到着してみると門前の石段の段階から、真っ赤な紅葉が広がっているのが見える。期待通りだった。残念なのはそれまでの青空が急激に雲が広がってしまって、写真写りに大きな影響を与えてしまったことだ。その場で設定を変えたりすればよかったのだが、とにかく撮ることに気持ちが行ってしまって、境内のあちこちを撮りまくる。
平日だったので来ている人は少なかったものの、自分と同じような爺いさんがカメラぶら下げて紅葉を撮っていた。やはりこれだけの比較的狭い境内に、多数の紅葉が広がっているとその密集が、圧倒的な迫力を生み出す。一言寺の紅葉は特に名所扱いはされていないが、十分名所の一つとして数えてもいいのではないかと思える。京都には結構そのようなお寺がたくさんある。
夏の終わり頃になると書店には一斉に、各出版社から京都の紅葉名所の見事なカラー写真が掲載された特集号が出版されて並べられている。そういったものを見ても大半が有名どころであって、それはそれで確かに見事な紅葉と言うべきなのだが、神社仏閣の規模は小さいとしても見事な紅葉を見せてくれるところは、実は思いのほかたくさんある。主だったところはここ数年でほぼ回ってしまったので、今現在は発掘するつもりで、名所としては取り上げられていないようなところを回っている。
実は今日もそういうお寺を2か所回ってきた。今日のお寺も、名所として紹介されても十分すぎるほどの見事なものだった。このお寺については後日紹介する。
連日2~3箇所ずつ回っているので、紅葉撮りが溜まってしまって、ブログにアップし終えるまでにはかなり日数がかかりそうだ。できるだけ年内に終えたいとは思うものの、他のテーマもあるし、晴れていれば撮影に出かけるので、ひょっとして年を越すかもしれない。
それでも紅葉は自分一人で楽しむだけではなく、多くの人に見てもらう価値が十二分にある。今のところ京都中心だが、できれば隣の滋賀県にも名所がたくさんあり、大阪にもある。また京都の北部の方にも多くの名所があり、そちらの方にも行きたいところだが、なかなか時間が取れないという現実。まぁしばらくは紅葉撮り特集をアップするので、見ていただければ嬉しく思います。