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34年目の湘南ライナーと特急化による大規模再編を考える


前回の記事で251系のホームライナー小田原号の乗車記を書きました。
ここで東海道線湘南ライナー号で近々に予想される特急化をともなう大規模再編に関して纏めたいと思います。
(なお特記する場合を除き新宿発着ライナー号も含みます)



湘南ライナー号の主力185系
踊り子号よりも湘南ライナー用車両としての方が存在感がありそう??

湘南ライナー号は現在、東京発着で下り9本、上り6本、新宿発着が上り3本、下り2本の上下合計20本が運転されています。(全て平日のみ)
JR東日本の東京圏他路線の通勤ライナー号が特急化もしくは廃止が進んだ今となっては、最後の聖域のような存在となっています。

一方でこの湘南ライナー号、近々の特急列車への格上という大幅な再編が予想されています。これは記事執筆時点ではJR東日本から正式に発表されたものではないのは留意願います。

再編の可能性の根拠として
近年のJR東日本の東京地区では、高崎線・中央線・総武線など通勤ライナーの廃止や特急列車との統合を進めていること。
JR東日本が「特急おだわら」の商標を申請したこと。
特急踊り子号のE257系(2000番台)への置換えが決まっていること

などの「状況証拠」によるものですが下馬評レベルではない「ほぼほぼ既定路線」といえる現実味のあるものです。
実施時期は当初2020年3月と予測されていましたが、E257系の中央線からの転用準備が遅れていることで、2020年3月は見送り(E257系の一部の踊り子号への投入に留まる)となり、2020年度下半期、恐らくは2020年10月もしくは12月頃が濃厚であると考えます。



普通列車グリーン料金で乗れるライナー号のグリーン車は乗り得??
ライナー号での運用を主目的として導入されたオール2階建て電車こと215系
普通車の座席は不評の声をよく聞くものの10両で定員1010人の輸送力は着席通勤列車特化

☆全車指定席特急列車のスワローシステム
近年の東京圏のJR東日本では高崎線・常磐線・中央線では特急列車の全車指定席(スワローシステム)化+ライナー号の特急列車への統合が進められています。
これにより特急料金(事前料金)は50kmまで760円、100kmまで1020円という指定席とはいえ特に50km以下では1.5倍近い値上げ、51~100㎞では+70円の値上げとなりました。(従来の自由席特急料金は50kmまで520円、100kmまで950円、ライナー号料金は520円)

この背景として普通列車グリーン料金の50km770円(平日)にあわせる形での増収策と速達効果のある特急列車よりも普通列車の特別席の方が高いという逆転の解消。というのが主たる理由でしょう。
この全車指定席化はスワローシステムと呼ばれ、東海道線向けE257系2000番台を含め新型特急車では、座席上のランプにより発売済み席・空席を判別し、車掌の車内改札を簡素化し短時間に多くの車両を確認出来るようにしています。

よって湘南ライナー号が特急化された場合、このスワローシステムが導入が穏当でしょう。距離として東京から大船までがギリギリ50km、新宿発では藤沢の時点で51km超であることを踏まえると、現在の520円が最低760円、殆どの区間で1020円への大幅な値上げ。またグリーン車は普通列車グリーン料金から特急グリーン料金となりこれまた大幅な値上げが推測されます。

実際にはネット予約での割引やセット券(料金回数券)割引、特例的な料金設定(例えば新宿~藤沢で50km料金とする)なども十分あり得ますが、それでも特に頻繁に利用する人にとっては、無視できない値上げ幅による利用減となることは容易に想像できます。

一方で使用車両が現在の215系10両・185系10両・15両編成から、E257系の9両・14両編成に変更になることで座席定員もかなり減少。需要減に供給減で縮小均衡化ですね。



かっては発売直後に瞬殺、前夜から行列。と言われていたライナーセット券事情も今は昔(一番人気のライナー2号以外はかなり余裕があるという噂)
2018年3月30日藤沢駅にて


★下り列車の大船・藤沢以西の慣例乗車
上りのライナー号及び下りのライナー号に東京・新宿等から乗車する場合はライナー券の購入が必要で原則として乗車口で券を確認します。一方で下り列車に関しては都心側の駅を出て最初の停車駅(大船・藤沢)から先では、湘南ライナー号運転開始当初から慣例的にライナー券なしでの乗車が可能でした。2014年3月ダイヤ改正で実情を追認する形で大船・藤沢以遠が快速化され正式にライナー券なしでの乗車が認められることになりました。この快速化以前の時代を便宜上「慣例乗車」と表現します。

私も慣例乗車を利用して大船や藤沢からよく乗ったものですが、ライナー号の乗車料金が310円の時代は車内放送・ホームの案内放送等で「大船からは普通乗車券のみで乗車出来ます」「平塚・小田原方面お急ぎの方はご利用ください」のような積極的に乗車を勧める案内を結構聞きましたが、500円になって以降は積極的に乗車を勧める案内を聞かなくなった印象です。

「慣例乗車」の後年には平塚駅で
「小田原まで行くのにライナー号に乗っていいのか?」
とホーム係員に聞いたお客さんに
「ライナー券が必要だが駅では買えない。車内で車掌さんが来たら払って。車掌が来なかったらいい」
実際には車掌が回ってくることはほぼないのですが、かなり苦心した?案内をしているのを聞いたことはあります。

恐らく「慣例乗車」の後期の時代は「大船・藤沢以遠からの乗車は原則不可だが、お客さんが勝手に乗ってしまう分には咎めない。ライナー料金の徴収は行わない」という形で運用されていたのではないかと推測します。
東海道線の場合、特に大船・藤沢から下り方面への需要が多く、前後の列車の混雑緩和の為などで「慣例乗車」な扱いを行っていたと推測します。この長年の慣例的な扱いを2014年に正式化したわけですが、これは「曖昧な扱いを廃し白黒つけた」というのは表向きとしてやはり将来的な特急化(スワロー化)の布石であると見ています。

特急化した際にこの大船・藤沢駅からの下り列車の乗車扱いがどうなるかは不明ですが、やはり先に述べたように51km超の大幅な値上げを避ける面でも快速化を継続する可能性は大きいと考えます。一方で上り列車は座席確保の面からも快速化は難しいと考えます。かといって平塚や藤沢→東京で1020円は割高も過ぎるので、何らかの緩衝策は取られる可能性は高いと思います。


☆横浜停車と踊り子ライナー号の可能性
湘南ライナー号では運転開始から一貫して主要駅である横浜駅を通過してきました。しかし特急化のスワローシステムにより現在のような乗車口でのライナー券の確認が不要になること。料金値上げによる需要減を補う意味でも、横浜停車の可能性があり得ると考えます。横浜に停車することで小田原方面~横浜・横浜~東京と一つの席で2回稼げるチャンスが出ます。
一方で特に上りライナー号の多くは貨物線経由。貨物線経由では横浜駅に停車できないことを考えるとどうでしょうか?停車が実現しても本数は僅かとなりそうです。また下りの横浜停車の場合は大船以遠の快速化は行わないのでは?とも考えます。

現在、特急踊り子号は夕方の下り列車の設定はありませんが、訪日外国人の需要増、また横浜から小田原(箱根)・熱海は小田急ロマンスカー・新幹線ともに利用できず、「追加料金を出しても早く快適に行きたい」という需要に十分に対応できていません。
夕方からの小田原(箱根)・熱海への宿泊旅行の需要を吸収する面で東京18時~18時30分頃に横浜停車で熱海行というライナー号と踊り子号を統合したような列車が設定される可能性も想像します。

☆新宿発着ライナー号の去就
前回の記事で「新宿発着ライナー号の利用が減っているようだ」という話を書きましたが、最盛期4往復から2.5往復まで減少した新宿発着ライナー号。特急化以降も存続するでしょうか?
新宿発着ライナー号の経路の特に武蔵小杉~(旧蛇窪信号所)~大崎~新宿間は、相鉄JR直通列車の開業で更に過密化しています。近年では武蔵小杉駅の大幅な利用増による混雑も問題化しています。特急化で需要減が予想される新宿発着ライナー号を廃止し空いた分に、武蔵小杉対策を兼ねて相鉄直通列車や横須賀線列車の増発に充てるという可能性ありそうです。
一方で相鉄直通列車の利用が想定の半数と低調なこと。藤沢・茅ヶ崎駅のライナー号専用となっている貨物線ホームは自治体の補助金で作っていることなどから、自治体・乗客からの反発も予想されるなどこれまた不透明です。



相鉄JR直通列車開業を控えた2019年11月30日ダイヤ改正。
直通列車にスジを譲る形で上り1本減便されました。

☆特急ひらつか号と小田原外し
最後に「特急ひらつか」号に関して触れておきます。
先日TwitterでE257系が側面行先表示機に「特急ひらつか」を表示していた画像付目撃報告が投稿されました。(詳細は不明)
現在ライナー号は全列車小田原始終着で運転されていますが、特急ひらつか号の予見により一部列車の平塚~小田原間の短縮(特に夜の現17・19号)が予想されます。

小田急の下北沢複々線化完成による2018年3月ダイヤ改正で小田原発着のロマンスカーが通勤時間帯を中心に大幅に削減され秦野始終着に短縮。急行・快速急行の小田原~新松田間の減便など「小田原外し」が鮮明となりました。
小田原は神奈川県西の中心都市である一方、箱根や小田原城という観光需要で持っている部分が大きいこと。実際の列車を見れば「削減もやむなし」と思える乗車率であることを思えば、今までこの本数を小田原発着で運転したことが凄いのかもしれませんが、小田急に続き東海道線も小田原外しに動くとなれば淋しいですね。

★まとめ
近年、大手私鉄各社ではJRのライナー号に追従したかのように、別途料金を取る通勤着席列車の運転がブームです。特に東急大井町線のように今まで着席列車の運転が考えられなかったような路線まで着席車両が登場しています。

1986年に登場し通勤着席列車の先輩格であり、現在もまとまった本数が運転されている東海道線ライナー号が今後「車両置き換えによる座席数の減少」「特急化による料金の値上げ」「場合によっては一部列車の削減」という大規模な再編となれば「通勤着席列車」の転換点と言えるかもしれません。
今後、私鉄の特に4ドアロング・クロスシート転換車による着席列車は同様に特急列車への格上げという形で追従の可能性はあるのか?などにも注目したいところです。

2020/3/13 9:18(JST)

追記
続編はこちら(2020年11月) 

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