<前回から続く>
さて予約している13時0分からのガイドツアー、ファームトラクターライドに参加するためにインフォメーションセンターに戻ってきました。
自動販売機でキリンの小岩井ミルクココアのホットが売っていたので、飲んで温まります。寒くて寒くて・・トラクターに乗る前に温まろうかと。
やっぱり小岩井農場ではキリンの小岩井ブランドの飲み物売ってるんですね
入場口横の小さい建物にアメリカのファモールのクラシックトラクターが展示
されていました。なんでも大正時代に製造されたものが輸入されて小岩井農場に来た貴重なもののようで。静態保存されていたのが岩手県産業技術短期大学校の協力でレストアされて可動出来るようになったそうで・・。
今回乗車するファームトラクターライドの車両はこちら。
アメリカのマッセイファーガソン社製の77馬力トラクターに100年の森号という客車がけん引されています。トラクター用の客車は売っていないので手作りしたそうです。
私は早く申し込んだからか一番前の席でした。
客車に同乗したガイドさんの案内でスタート、小岩井農場の通常非公開のエリアを回るそうです。
客車をけん引しているからか、カーブを曲がる際にかなり大回りで回っているのが印象的です。
雨が降りそうな天候ということで先に広い場所で下車してSL D51を背景に記念撮影。
2008年まではSLホテルとして後ろの20系客車に泊れたのですが老朽化や空調の故障などで閉鎖されてしまいました。客車はどうなったのか気になっていたものの、まだ残ってるようですね。
私も小学生の頃に泊った覚えがあって、当時は20系そのままの開放寝台で5両ぐらいいた覚えがありますが、今は2~3両しか残っていないようで(3号車と4号車の間は非常通路を確保するために間隔が開いていた覚えが・・)
食事やお風呂は併設のクラブハウスを利用して、結構いい食事だったのを覚えていますね。バイク旅行をしている若いあんちゃんと話して面白かった覚えが・・。
今思えばカプセルホテルのようなものだから、宿泊料金そのものは割安だったと思うのでツーリング旅行をする人には良かったのかも・・。
(後年は20系の内装を生かしたままで個室化された模様で「銀河鉄道の夜」の雰囲気を楽しめると人気だったそうで営業中止は残念ですね)
さて話が余談にそれましたが再び乗車して森林エリアに入ります。
この100年森林道がこのファームトラクターガイドの見せ場。ここでも下車して記念撮影。
この空がV字にひろがるのがこの林道の見せ場だそう。
この場所は2012年公開の水谷豊主演映画「HOME 愛しの座敷わらし」のロケ地にもなったそう。
元々小岩井農場のある場所は不毛な荒地だったのが植林して今のような森を作り2000ha分の森(農場の敷地全体は3000ha)がある。また法正林として毎年の木々の成長量にあわせて伐採・植林を行い持続可能な林業をおこなっているとのこと。また木は光の当たる方向に枝が伸びるので枝打ちをしなくてもいいとか・・
伐採した木の利用できない細かい部分はパルプ、更に細かい部分はバイオマス発電所で利用するなどして余すことなく利用しているといった説明が・・
林業部門は17人で行っているそうで、参加者に「何人でしょう?」とクイズを行うと少なくて驚かれるそうで・・。30人とか100人と答える人もいるとか
下に小川が流れている場所も・・。
上流は岩手山、下流は雫石川から北上川を経て太平洋に至るそうで。
絶滅危惧種の生き物も生息している自然あふれる森になっているそう。
小岩井農場に来る人はまきば園だけ見て「広い!」と驚かれるが、まきば園は小岩井農場の敷地のごくごく一部。街の明かりが森に隔てられているので星がよく見えて天の川も見える。
小岩井農場にいる動物は牛・羊の他に鶏もいて、種鶏(卵をとるための親鳥)の出荷数も全国有数で北海道・東北から関東の東日本各地に供給している。
といった話も・・。
あれこれな説明の中で小岩井農場は「生産農場」であることが強調されていましたね。
まきば園近くに戻ってきて、イルミネーションの準備作業をやっている横を通過。小岩井農場の冬のイルミネーションイベントは東北最大級でSLのイルミネーションは見どころの一つだそう。
45分ほどの行程が終わり出発地点の入場口近くのインフォメーション前に戻ってきたのですが、いよいよ雨が降ってきてまずい状態。傘持ってきてないのに・・
とりあえず土産物ショップとレストランがある山麓館まで行って400円のビニール傘を買って土産物を3000円分ぐらい買います。後回しにすると時間なくなりそうなので・・
次は傘をさしながら牛舎のある上丸地区に行くとします。まきば園から上丸地区は間に県道が通っているので一方通行の回転ゲートから外に出て県道を渡って専用ゲートから入る形になります。
まきば園入場者は園内で配布している日付指定の上丸地区見学専用チケットのQRコードを改札機で認証して入場出来る形になっています。私は山麓館のエントランスでもらいました。
上丸地区は牛舎を見学できるほかに重要文化財の施設が今でも現役で使用されていて、外観を見学できる他に資料館もあるので外せないですね。
重要文化財の一号牛舎。
文化財の中では比較的新しい昭和9年築だそうで、当時の農場主の岩崎久彌 が「30年後でも恥ずかしくない牛舎を」と命じて建てたそうで・・。30年後を見越して建てられた牛舎が90年後も現役なのも凄いですね。
牧草のロールを2階に直接入れられるようになっていて、1階に落とせる構造も特徴の一つだとか。それにしても、冬の積雪とか地震とか大丈夫なのか心配になりそうですが、90年間大丈夫だったのも凄い
「牡牛舎見学所」の看板が出ていて少し中に入って見学できます。この看板そのものが年季ものですね。
牛さんたちが沢山。ガイドツアーの説明によれば早い時間に来れば放牧されているところを見れるとか・・
中には突然排泄を始める牛もいたり。まぁ距離があるので臭いは分からないですね。
こちらも重要文化財の明治40~41年築のサイロ。現存日本最古のサイロだそうです
併設されている小岩井農場資料館を見学します。この建物も歴史ありそうですが文化財指定の一覧には出ていないです。
明治37年から昭和33年まで活躍した農場内の馬車鉄道ことトロ馬車に関する展示。
展示されていた昭和12年の小岩井農場全図の部分。
下の左右に伸びる線路は橋場線(現在の田沢湖線)
中央の本部のところにループ線が描かれています。こういうのが気になりますね。後でお父さんに聞いたら昭和20年代頃にも上丸から来て本部で折り返す定期運用が日中にあったそうで。
元々は南側(地図下側)は本部のところが終点だったのが、橋場線の開業で小岩井駅まで延伸されたようで、小岩井駅前はループ線はなく機回し(馬回し)をしていたそうです。
宮沢賢治と小岩井農場のかかわりに関する展示
宮沢賢治は小岩井農場が好きで中学2年の遠足の際の初訪問から花巻農学校の教師時代には学生を連れてくるなど、何度も訪問していくつもの作品で小岩井農場を舞台にしているそうです。
私の祖父が関わっていたという育馬事業に関する展示。
戦前期には多くのレースで活躍した競走馬を産出するもGHQの方針で育馬事業は終了。解説には種馬たちの他に当時のスタッフも各地の牧場にちりじりに分かれていったとあります。
他に特筆する点としては敷地内にあるバイオマス発電所の紹介と簡単な模型が展示されていました。
資料館の手作り感のあるパネル展示も歴史を感じられて味がありますね。
雨とはいえここまで来たら見ておかないと・・奥まった場所にある宮沢賢治の詩碑も訪れます。
碑には詩集「春と修羅」に掲載された「小岩井農場パート1」の一節が刻まれています。天気が良ければここで当時の風景に思いを馳せ・・るのも良いのかもですが、如何せん結構な雨。サメは雨に弱いので写真を撮って早々に戻ります。
戻る途中でお父さんから電話があり、雨で会合が早めに終わったので山麓館で土産を買うとのことで山麓館で合流することに。
帰りは入場口まで歩いてそこからまきば園に再入場する形になります。山麓館まで少し遠回りになるのがこの雨の中は厳しい・・。
この時点で14時40分ぐらい。帰りは15時30分発のバスなので残り時間が短くなってきました。
注意:本記事執筆時点の2023年10月31日時点、10月23日付けで上丸牛舎付近で熊の目撃情報があったとのことで、上丸地区の一般見学やガイドツアーは休止中になっているようです
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<次回に続く>
2023/10/31 16:54(JST)