「シルバーなんだからあまり期待しない方がいいんでしょうね。…でも、専門業者より安いだろうから」と、ある主婦から事務所に電話があったという。これが一般的な受け止め方のようだ。
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(脚立に上って剪定する)
東京時代にお世話になった70代のある女性社長に、シルバー人材センターに登録して剪定の仕事を始めた旨を伝えたら、返信には、慣れない仕事、大丈夫?とのお決まりのコメントの後に「シルバー剪定って、安かろう悪かろうってよく聞くわよね。どうなの?」と記されていた。
「安かろう悪かろう」とは久しぶりに聞く言葉だった。
戦後しばらくの間、日本製品はこのように呼ばれていた。産業史にそこそこ詳しい人によると、“MADE IN JAPAN”と胸を張って言えるようになったのは1970(昭和45)年の大阪万博後ころからという。
シルバー剪定に対し、「安かろう-」の評価が付いたのは、素人の集まりとみられているからだろう。確かに筆者みたいなど素人もいるのだから、ある意味で的を射ているのだが、単純にくくれないのことも確かだ。何事もそうだが。
当班のメンバー9人をまとめる親方(班長ともいう)は、自治体主宰の剪定教室の講師を長年務めていることからもうかがえるように、剪定技術には相当の自信を持っている。クライアント(シルバーではそう言わず「発注者」)などから植物の名前を尋ねられて、これまで答えられないことはまずなかったとか。
その親方によると、当シルバーへの剪定依頼は、緩やかながらも右肩上がりに増えているのだという。ということは、シルバー剪定にそれなりの評価が与えられているということでもある。最近も、新しい依頼が女性(70代)から来た。
その彼女、シルバーの事務所に電話をかけてきて、「シルバーなんだからあまり期待しない方がいいんでしょうね。…でも、専門業者より安いだろうから、まあいいわ」と言ったとのこと。初剪定終、その彼女から事務所への電話内容は「まあまあ期待以上だったわ。来年もお願いしたい」と。
期待が高くない分、アウトプットがさほどでなくても、高めの評価をもらえることはよくあることだ。
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