ミロワール〜心の鏡〜

趣味、仕事、心の鏡に映る風景を綴ります。

父と暮せば

2019-01-15 22:13:31 | 観劇
1月10日(木)西城総合文化会館 19時開演
上演 劇団P.sみそ汁定食

何年か前、偶然TV放送された映画を見てから、ずっと舞台を見るチャンスを
待っていました。

今回、近隣で上演されることを知り、出かけてみました。

キャストは愛媛のTV番組でも「まっすん」として活躍されている枡形浩人さんと岩本莉歩さん。

原爆で生き残った娘と、死んでしまった父親の幽霊。
二人だけの会話で、原爆の残酷さをあぶりだしていきます。

岩本さん演じる美津枝の所作が美しく、生真面目に自分を律して精いっぱい生きている様子がわかります。
枡形さん演じる父竹造の幽霊が、いつも明るく時にはおどけて美津枝を励まし、
生きる力を与えようとします。

場面は一場面、ずっと美津枝のバラックの部屋の中だけ。
二人の会話だけ。

なのに、なぜか突然何の罪もない市井の人たちが原爆の惨禍に巻き込まれ、
苦しんで死んでいき、生き残ったものもまた死ぬのと同等の苦しみを背負い、
生きていかなければならなかった。

一瞬まばゆい光が広がり、そのあとの惨劇。
その有様が二人の会話によって見る者の心に広がっていきます。

これほどのことが、あって良いわけはありません。

戦後も時がたち、今年で平成も終わります。

私たちが子供のころは戦争を体験した方がまだたくさんおられ、直接話を聞く機会もありました。
何より自分の身近な祖父・祖母たちが体験者だった。

今、もう高齢になった体験者の多くがこの世を去り、直接話してくれる人も減りました。

そんな時代にこそ、変わらずずっと上演し続けてほしい作品でした。