あまつそらとどかぬ夢に手をのべて土にすはるる我が身の重さ

あまつそらとどかぬ夢に手をのべて土にすはるる我が身の重さ　　　　揺之

はまなすのすき実をかみて思ひ知るかなはぬこひに落ちぶれし身を

はまなすのすき実をかみて思ひ知るかなはぬこひに落ちぶれし身を　　　　揺之

忘れたきかなはぬこひのかたしろとゆふべの星をとらむとぞする

忘れたきかなはぬこひのかたしろとゆふべの星をとらむとぞする　　　　揺之

こひわびて人をうらむと名は立ちて憂世をうらむ我が身なるかな

こひわびて人をうらむと名は立ちて憂世をうらむ我が身なるかな　　　　揺之

ゆふまぐれ風にこずゑのささめきて人にきこゆる我が身をぞ知る

ゆふまぐれ風にこずゑのささめきて人にきこゆる我が身をぞ知る　　　　揺之

窓の外午後の光は降り注ぎ時計の音がしづかにひびく

窓の外午後の光は降り注ぎ時計の音がしづかにひびく　　　　揺之

こひやぶれうらみにぬるるわが身をぞあらはむとしてあふぎ見る空

こひやぶれうらみにぬるるわが身をぞあらはむとしてあふぎ見る空　　　　揺之

光散る夏の木立をひとりゆきかひなき恋を捨てむとぞする

光散る夏の木立をひとりゆきかひなき恋を捨てむとぞする　　　　揺之

ゆふぞらの色こき紅をかきとりてわぎもをつつむ衣を染めたき

ゆふぞらの色こき紅をかきとりてわぎもをつつむ衣を染めたき　　　　揺之

たよりなきちひさきものとわれをせめ何もせぬ身の苦しかりけれ

たよりなきちひさきものとわれをせめ何もせぬ身の苦しかりけれ　　　　揺之