悲しみの傷にちひさき夢をこめ日々を重ねてよき珠なさむ

悲しみの傷にちひさき夢をこめ日々を重ねてよき珠なさむ　　　　揺之

蝉の羽の薄き情けをたよりつつ君のさばきを待つ我が身かな

蝉の羽の薄き情けをたよりつつ君のさばきを待つ我が身かな　　　　揺之

ゆふばえの野にたたずみて草をかみこひにやぶれし身をぞあはれむ

ゆふばえの野にたたずみて草をかみこひにやぶれし身をぞあはれむ　　　　揺之

月光る空の真下に身をおきて清きもの知る人のうれしさ

月光る空の真下に身をおきて清きもの知る人のうれしさ　　　　揺之

日を浴びてひとり野をゆく君の背にたれにもいはぬ悲しみを見る

日を浴びてひとり野をゆく君の背にたれにもいはぬ悲しみを見る　　　　揺之

過ぎゆきてかへりみもせずみちのべにけふさく花をうしなひにけり

過ぎゆきてかへりみもせずみちのべにけふさく花をうしなひにけり　　　　揺之

悲しみの石をまろめてかひのごと玉とせむとて胸に秘めにき

悲しみの石をまろめてかひのごと玉とせむとて胸に秘めにき　　　　揺之

闇夜には心の星を目印として進みゆく人生の道

闇夜には心の星を目印として進みゆく人生の道　　　　揺之

白百合の身を傾けて迷ひおほきわれにささやく強くあれとぞ

白百合の身を傾けて迷ひおほきわれにささやく強くあれとぞ　　　　揺之

うすあをき薔薇の吐息を聞きとめてありてなき身のうれひをぞ知る

うすあをき薔薇の吐息を聞きとめてありてなき身のうれひをぞ知る　　　　揺之