トーマス・ウィルマー・デューイング(1851-1938)、アメリカ。
テーブルの上に箱が置かれている。それでこの女性像をパンドラに見立てたものだろう。
箱と一緒にならんだ陶器の壺は子宮を隠喩しているかのようにも見える。
イヴとパンドラは冤罪だという説は正しい。
男が女性に自分の罪を押し付けてきたのである。女性が真っ白だと言うわけではないが、すべてが女性のせいだというのはおかしい。
戦争も殺戮も、男がやってきたことだからだ。
人物は背景の色と響きあい、壁に埋もれていくかのようである。
あるいは画家の罪の意識が、何かをもみ消そうとしているのかもしれない。
玉くしげあけて世に吹く風を聞き罪のありかを影に落としき 揺之