とほやまのあをきかげをぞ眺めつつひとり野を行く胸の寂しさ

とほやまのあをきかげをぞ眺めつつひとり野を行く胸の寂しさ　　　　揺之

さざなみのよする岸辺をひとりゆきしづかにうたふ君への思ひ

さざなみのよする岸辺をひとりゆきしづかにうたふ君への思ひ　　　　揺之

荒れ野ゆきまどふ我が身のちひさくてたよりなきをぞ夢に悲しむ

荒れ野ゆきまどふ我が身のちひさくてたよりなきをぞ夢に悲しむ　　　　揺之

ひとり野をまよひつつ見る高空に人のうれひをうたへてもみる

ひとり野をまよひつつ見る高空に人のうれひをうたへてもみる　　　　揺之

春あさき風をかぶりて思ひ出の岸辺に探す君の幻

春あさき風をかぶりて思ひ出の岸辺に探す君の幻　　　　揺之

君が家をとふいひわけを探しつつ細き道ゆく春の寂しさ

君が家をとふいひわけを探しつつ細き道ゆく春の寂しさ　　　　揺之

ぬばたまの闇夜の底にうずくまる君の心のあかつきを待つ

ぬばたまの闇夜の底にうずくまる君の心のあかつきを待つ　　　　揺之

鳥が飛ぶ空に心を投げ入れてとほきに去りし人をぞ思ふ

鳥が飛ぶ空に心を投げ入れてとほきに去りし人をぞ思ふ　　　　揺之

早春の野に花は咲き風にゆれわれにものとふ何をなすやと

早春の野に花は咲き風にゆれわれにものとふ何をなすやと　　　　揺之

白雲のわきてながるる空見れば風のごとくに心は走る

白雲のわきてながるる空見れば風のごとくに心は走る　　　　揺之