闇空に鳴く鳥の声夢に聞きあはき憂き世のきざしに泣けり

闇空に鳴く鳥の声夢に聞きあはき憂き世のきざしに泣けり　　　　揺之

おほぞらにわく白雲の清くして胸に広がるおほいなる夢

おほぞらにわく白雲の清くして胸に広がるおほいなる夢　　　　揺之

とほき日に君とたづねし思ひ出の海を眺めて風に吹かれぬ

とほき日に君とたづねし思ひ出の海を眺めて風に吹かれぬ　　　　揺之

大空に心を投げてかへりくるかしこき神のはてなき思ひ

大空に心を投げてかへりくるかしこき神のはてなき思ひ　　　　揺之

かしのみのひとりゆく道寂しくて胸にまさぐる君への思ひ

かしのみのひとりゆく道寂しくて胸にまさぐる君への思ひ　　　　揺之

砂浜をそぞろゆきては身の内にふとよみがへる苦き思ひ出

砂浜をそぞろゆきては身の内にふとよみがへる苦き思ひ出　　　　揺之

わだつみのむかふにしづむ天つ日の影に染まりて涙にしみぬ

わだつみのむかふにしづむ天つ日の影に染まりて涙にしみぬ　　　　揺之

君が家をとほくながめて思ひ出を胸に下げつつ過ぎゆきにけり

君が家をとほくながめて思ひ出を胸に下げつつ過ぎゆきにけり　　　　揺之

かしのみのひとりまよひの森をゆきあはき日影を求めさすらふ

かしのみのひとりまよひの森をゆきあはき日影を求めさすらふ　　　　揺之

天つ日をあみて心の窓をあけ底のうれひをあたためむとす

天つ日をあみて心の窓をあけ底のうれひをあたためむとす　　　　揺之