この話に登場するきれい好きのおばあさんを見て、「ああ、たまに(あるいは時々)いるよなあ、ああいう人が」と、笑いながら観ていた。
ある村に、非常に……というか、異常にきれい好きなおばあさんがいた。
そのおばあさん、きれい好きで自分の家をいつも掃除しているのはいいとしても、他人が少しでも散らかしたり、汚したりするのまでも我慢が出来ず、他人の家にまで上がり込んで掃除をしだす。そこで家人が迷惑がっているにも関わらず、家財道具や仕事の道具までも片づけ、処分してしまう。そこまでくれば病的であるが、村の人たちはそのおばあさんがいつ来るかと恐れ、仕事や家事すら手に着かないありさま。
ある時、村はずれに祀ってある「第六天さま」という神様の前で、子供たちが遊んでいると、そのおばあさんがやってきた。そして「散らかしてはいかん」と言って、子供たちが大事にしていた玩具をとりあげてしまう。
ところが玩具を焼こうとしたとたん、原因不明の激痛に見まわれる。その夜、おばあさんの枕元にみすぼらしい身なりをした神様が現れ、「ワシは村はずれの第六天だ」と名乗る。そして「ワシは散らかしている方が落ち着く」「きれい好きはいいが、それを他人に押しつけるのはいかん」と、玩具を元に戻すように言う。翌朝、村はずれで子供たちに玩具を返すと、激痛は嘘のように治ってしまった。
その後、おばあさんはきれい好きは変わらなかったが、村人の家に上がり込んで掃除をすることはなくなったという。
村人たちは、第六天さまを「ちらかしさま」と呼んで慕ったという話だ。
しかし、この話を観て思ったのだが、このおばあさんのような人、たまに……いや、実は結構いるんじゃないかな。
自分だけが絶対に正しいと思いこみ、それを他人にまで押しつけてくるという。押しつけられた方の迷惑など全く考えない。正論をタテにしている分、反論がしにくく、始末が悪い。
私も自称政経オタクでると同時に、ゲームオタク、ファンタジーオタクであり、ややアニメオタクの気もある。しばしば世の大人たちの偏見に満ちたバッシングにさらされてきた一人でもある。何年か前の、『ゲーム脳』(科学的な根拠や論理的整合性もないトンデモ本!)による、ゲーム愛好者への偏見に満ちた「ゲーム叩き」を苦々しく思っていた一人でもある。十五、六年ほど前の宮崎勤事件(有名な連続幼女誘拐殺人事件だ)の際、犯人が美少女アニメオタクであったことから起こった、偏見に満ちたアニメバッシングを苦々しく思っていた一人でもある。
最近では、雇用システムの問題であるにも関わらず、「できない奴、怠ける若者が悪い」と言わんばかりのニート・フリーター叩きを非常に苦々しく思っていた。
私自身も漫画好き、ゲーム好き、アニメ好きである。そういった世の大人たちの批判や偏見を受けやすい趣味を持っている。また、フリーターや失業者だった時期もあるため、そこでも世の大人たちの批判にさらされることになってしまった(そりゃあ確かに、私自身の努力不足である部分もあったのだろうが)。彼らに「正論」を押しつけられ、自分のアイディンティの一部となっているものを否定され、踏みつけられて嫌な思いをした経験は、私も一度や二度ではない。
同時に、私自身も「正論を押しつける自称大人」の一人にならないように気をつけなければ、とも思うのだ。
このブログを読んで下さっている読者の皆さんならご存知だろうが、私は「政経オタク」でもあるため、しばしば政治的な話もする。というか、このところほとんど政治経済の話ばかりしている。
その手の政治経済の話や、思想などの論議をしている人たちがしばしば陥る問題であるが、自分の主義主張(の正しさ)にこだわりすぎて、それを相手の都合を無視して一方的に押しつけてしまうことが、時々ある。
もちろん、私自身もそうなりやすい危うさを常にはらんでいる。いや、思い返してみれば、過去にも相手の都合を無視して、一方的に自分の都合や主義主張を押しつけてしまったことがあったのではないか。「あの時は悪いことをしてしまったなあ」と今更ながらに思うこともある。
「本当の意味での“大人”とは何か?」
その問いに対する答えは、人それぞれだろう。
「人間は正論だでは生きられない」ことと、「他人を完全に自分の思うとおりにすることなどできない」という2つのことを理解できる人、それが本当の意味での“大人”ではないか。最近では、私はそのように思うのだが。
日本だけでなく、世界各地で、様々な形で「正論の形をした不寛容」が横行する現在、私自身には「そういう大人であるべき」という思いがある。
また、「ちらかしさま」のような大人の神様が現れてくれないか、とも密かに思う。
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