小関順二公式ブログ

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大学選手権でキラッと光った無名の選手 第1回

2011-06-17 11:34:18 | 2011大学選手権
 東洋大の2年連続、4回目の優勝で幕を閉じた全日本大学野球選手権のベストナインを、雑誌『ナンバー』のWebコラム「詳説日本野球研究」に書いた(じき公開予定)。そのメンバーは次の通りである(プロが食指を伸ばしそうな選手をピックアップした)。
(8)加藤 翔平(上武大3年・右投両打・181/81)
(7)手銭 竜汰(九州共立大1年・右投両打・172/70)
(6)鈴木 大地(東洋大4年・右投左打・176/74)
(9)伊藤 隼太(慶応大4年・右投左打・178/84)
(5)古川 貴広(富士大4年・右投右打・179/87)
(3)戸田 大貴(東洋大3年・右投左打・180/82)
(D)山崎  錬(慶応大3年・右投左打・176/80)
(4)生多 良介(東北福祉大4年・右投左打・170/68)
(2)眞砂 将広(東北福祉大4年・右投右打・175/75)
(1)藤岡 貴裕(東洋大4年・左投左打・183/85)
   福谷 浩司(慶応大3年・右投右打・183/90)
 ここでは「詳説日本野球研究」で触れなかった、キラッと光る無名選手について書くことにする。

●6月7日(火曜日)東京ドーム

◇相本芳洋(華陵高→徳山大4年・右右・182/78)投手
 確認できた最速は141キロ。スリークォーターの腕の振りは体から離れ、左肩の開きも早い。ピッチングのばらけた印象は、大方がこの開きのせいだ。
 変化球はスライダーが主体で、125キロの小さい横変化、133キロの大きい横変化の2つがある。いいのはボールのキレ。左肩の開きを抑えられれば、もっと上のレベルのピッチングができると思った。

◇稲垣将大(米子松蔭高→京都学園大3年・右右・179/65)投手
 古い野球ファンには王貞治(元巨人)に世界記録の756本塁打を打たれた鈴木康二朗(元ヤクルト)似の投手、と言えばピンとくるかもしれない。126、7キロの小さいスライダーと逆方向のシンカーを操り、ボール球の高めストレートの使いどころも心得ているという技巧色の濃い投手である。変化球はこの他に114、5キロの斜め変化のカーブもある。確認できたストレートの最速は140キロ。技巧系の割にコントロールが一定しないのが惜しい。

◇三木亮(遊学館高→上武大2年・右右・173/72)遊撃手
 加藤翔平(3年・中堅手)とともに明日の上武大を背負う候補である。3番を打っているが1、2番のチャンスメーカータイプ。早い段階でバットを引いて備え、このとき上体が屈むのが減点材料。スイングが窮屈になる。
 よかったのは第3打席。本格派右腕、佐藤峻一の125キロ斜めスライダーの落ち際をおっつけて右中間方向への二塁打を放つのだ。次の第4打席は初球141キロを捕手寄りのポイントで捉え右中間方向へヒット。常に意識が右中間方向にあるのでフォロースルーでバットが前に伸びる。言い換えれば早い左肩の開きがない。脚力は二塁打を打ったときの二塁到達が8.18秒と上々。楽しみな選手である。

◇大畑建人(神村学園高→大阪体育大2年・右左・175/79)三塁手
 09年選抜の1回戦で中京大中京に敗れたが、好素質を全国の高校野球ファンに印象づけた。耳の位置で構えたグリップがトップで肩に下がるクセは相変わらず。この“下がり”がバットの下から出る原因になっていたが、今は浅い縦スイングに改善されている。
 第1打席は137キロストレートを投手寄りのポイントで払うように左前へ持っていき、第2打席は8球まで粘り、スライダーの落ち際を叩いて強烈な右前打。第1打席のミートポイントが投手寄りなのが気になったが、第4打席では135キロのストレートを捕手寄りで捉え、ライト前に持っていっている。心身を“練習体質”にして取り組めば、上のレベルも狙える逸材である。

◇宮川将(大体大浪商高→大阪体育大3年・右右・184/84)投手
 強烈なプロ志向の持ち主の半面、所属する大阪体育大は高校(大体大浪商)とグラウンドを共同使用するため、思うように練習時間が取れないと聞く。大畑のところで「心身を“練習体質”にして」と書いたのは、チーム練習を思うようにできないハンディは個人練習で補うしかない、という意味合いを込めた。宮川についても同じことである。
 ピッチングはよくなっている。一言で言えば剛腕タイプ。東京ドームのスピードガンで確認できた最速は145キロ。十分な速さである。この日の四国学院大戦では9つの三振を奪い、6回以降の4イニングで6個を量産しているように、後半にエンジンがかかる馬力型。9三振のうち、スライダーで打ち取ったのが7個(1個不明)。縦、斜め、横の3つのバリエーションがあり、場面に応じて使い分けている。


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