小関順二公式ブログ

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大学選手権でキラッと光った無名の選手 第2回

2011-06-17 15:04:11 | 2011大学選手権
●6月8日(水曜日)神宮球場

 期待した中根佑二(東北福祉大・投手)、浦野博司(愛知学院大・投手)が、144キロ、146キロというスピードを出したが物足りなく、第1試合は眞砂将広(東北福祉大・捕手)、生多良介(東北福祉大・二塁手)の両野手に注目して終わった。第2試合は慶大の2人の本格派右腕の登板に胸が沸き立った。

◇白村明弘(慶応大2年・右左・187/80)投手
 少し右腕が背中のほうへ入るため、腕を振って右打者の内角にストレートを投げ込むことができない。また、下半身で上体を引っ張る感じがないので、2A、3Aによくいる外国人のような上体投げを強いられている。力強さだけなら、慶応高時代のほうがはるかに勝っていた。
 確認できたストレートの最速は神宮球場のガン表示で145キロ。高校時代を知っているだけに相当物足りない。このストレートが抜けたり引っ掛かったり、高低にばらついていた。さらに変化球は117、8キロのカーブがキレず、物足りないストレートに頼らざるを得ないという悪循環。あと2年あるので大化けする可能性はあるが、危機感を持たず流されるままにしておくと、ズルズルいく危険性がある。そうなってほしくない大器だ。

◇山形晃平(慶応大2年・右左・176/77)投手
 上背はないが、真っ向からのオーバースローに特徴がある。山形を見て思い出したのが往年のリリーフ投手、山口高志(元阪急)。スピードガンをテレビ中継に導入した80年前後、鈴木孝政、小松辰雄(ともに中日)、江川卓(巨人)などとともに「150キロ」の魅力を、テレビを通じて全国に知らしめた剛腕である。左肩上がり、真上からの腕の振り、高めストレートの伸び、そして上背のなさ(山口は170センチ前後)など、山形と山口の共通点は多い。
 東京農業大生物産業学部戦で記録したストレートの最速は149キロ。変化球は130キロのスライダー、105キロの落差十分のカーブに140キロ前後のシュートが確認でき、どれもキレ味がいい。一塁に走者を置いたときのクイックは1.09~1.22秒と速く、スキがありそうでない不思議な剛腕である。

◇真島健(東京国際大2年・右右・178/78)投手
 スカウトは「東京国際大の2番手は素質ならエースを上回る」と口を揃える。真島のことだ。浦和学院時代も控え投手、大学でも2番手投手。20年以上前の石井丈裕を思い出してしまった。早実時代は荒木大輔(元ヤクルトなど)、法大時代は猪俣隆(元阪神など)の控えだったが、プロ通算68勝52敗を挙げ、92年にはパ・リーグ、日本シリーズのMVP、沢村賞、最高勝率、ベストナインなどを獲得、荒木、猪俣をプロでごぼう抜きにした。
 藤川球児(阪神)のように勢いをつけてバックスイングに入るが、これを後ろへ流れる動きにせず、腕の前振りに転化できるところが非凡。確認できたストレートの最速は神宮のガン表示で146キロ。スライダー、シンカーという左右対の変化球を持ち、スライダーは斜めと横の2種類を操る。

◇伊藤和雄(東京国際大4年・右右・184/82)投手
 東京情報大戦は9回1死二塁の場面で真島のリリーフに立って後続を断ち、タイブレーク(1死満塁、3番打者からスタート)の10回裏は3、4番をいずれもストレートで見逃し、空振りの三振に斬って取った。確認できた最速は147キロ。いわゆる「質の高いストレート」と呼ばれる球質で、空振りを取れるのが最大の長所である。
 変化球は準決勝の慶大戦(1回3分の2を投げ、失点2で降板)から見てみよう。スライダー。フォークボールと100キロそこそこのカーブがあり、よかったのはフォークボール。ただ、あまり投げないところが古風。低めストレートがいいので、同じ軌道からボールゾーンに落とすフォークボールは威力を発揮すると思う。



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