『2012年 プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)を書いていて(とくにソフトバンク、中日、広島を書いていて)、プロ野球チームにとって“地元”がいかに重要か、再認識した。それをテーマに今日、有料サイト「BASEBALL FAN」に原稿も書いた。
難しかったのが“地元”の定義である。さまざまな媒体が選手の出身を規定する場合、出生地を指すが、私は高校にしている。プロまで含む野球人にとって高校の3年間が最も重要な時期だと信じているからである。
たとえば、ダルビッシュ有は大阪羽曳野ではなく、東北高校のある宮城県出身者として紹介する。実際、大阪人の奔放さより、東北人の生真面目さ内向性のほうがダルビッシュの現在の性格に反映されているように思える。そういう「地元」の定義づけをさまざまな面から考慮して、プロ野球12球団の“地元”を次のように定義した。
ソフトバンク……九州の高校生、大学生、社会人、独立リーグ
中日……東海4県の高校生、大学生、社会人
日本ハム……北海道の高校生、大学生、社会人
ヤクルト……東京六大学リーグ、東都大学リーグの選手
西武……埼玉の高校生、大学生
巨人……東京の高校生
オリックス……近畿の高校生、大学生、社会人、独立リーグ
阪神……近畿の高校生、大学生、社会人、独立リーグ
楽天……東北の高校生、大学生、社会人、独立リーグ
広島……中国地方の高校生、大学生、社会人、独立リーグ
ロッテ……千葉の高校生、大学生
横浜……神奈川の高校生、大学生
12球団は04年(楽天がドラフトに参画した年)以降の過去8年間、地元の選手を何人獲得したのだろうか。多い順に紹介する。
中日19人、阪神17人、ソフトバンク16人、オリックス15人、横浜11人、ヤクルト10人、楽天8人、広島8人、日本ハム4人、ロッテ3人、巨人1人
こういう作業をこの冬ずっとやっていて、「どうして?」と思ったのが、巨人がドラフトで獲得した「東京の高校出身者」の少なさだった(育成ドラフトを除く)。過去8年のドラフトで、巨人が東京の高校を卒業した選手を指名したのは06年の上野貴久(帝京→東洋大→NTT東日本)1人だけである。
巨人は球界の盟主だから、地方出身者を手広く指名・獲得しなければならない、という使命感があったのだろう。今季も主催ゲームを秋田、盛岡、郡山、宇都宮、長野、岐阜、熊本、鹿児島で行うが、そういう感覚がドラフトでもあるようだ。それがどうこうではなく、面白いと思い、ここで紹介した。