2012年版『プロ野球 問題だらけの12球団』が3/24に発売されます。本書のすべての執筆作業、校正作業が終了した2日後の3/7に脳梗塞が再発し、8日間入院しました。左手から力が脱け、左足を今も引きずって歩いていますが、原稿を書いている途中で発症したら本書は出版されなかったでしょう。そういうことをラッキーだと思っている私は、脳梗塞以前にどこかおかしいのだと思います。
今年の『問題だらけ~』は初心に戻って批評精神全開で執筆しようと、最初から考えていました。そんなときに清武英利・巨人球団代表と渡邉恒雄・巨人会長の確執が明らかになり、清武氏の解任へと発展しました。この騒動を見て、フロントの「玄人度、素人度」という視点で12球団を評価しようと思い立ちました。評価の目安にしたのはドラフトに立ち向かうときの姿勢。つまり、3球団以上の重複があった大物に何回アタックしたか、を主要な基準にして、12球団フロントの<玄人度・素人度>を判断しました。
<巨人はスター選手が大好き、と巷で言われている。本当だろうか。過去47年間、3球団以上競合した大物(つまり人気選手)にアタックしたのは12人にすぎない。楽天6人、ロッテ9人、ソフトバンク11人に次いで、西武、広島と並ぶ少なさだ。
「予備抽選時代」の67年に高田繁、「逆指名・自由枠・希望枠」時代に高橋由伸、上原浩治など大物を6人獲得しているので、大物・人気者が嫌いなわけではない。嫌いなのは競合して、抽選で負けること、つまりリスクを負うことである。>
(2012年版『プロ野球 問題だらけの12球団』より)
このリスク回避の姿勢がどういう結果をもたらしたのか。逆指名導入後の94年から昨年までの18年間に及ぶチーム成績も本書では紹介しています。
◇94~11年までの通算成績
1位巨人 1341勝1118敗42分け、勝率・545
2位中日 1309勝1151敗42分け、勝率・532
3位ヤクルト 1259勝1197敗47分け、勝率・513
4位阪神 1204勝1256敗42分け、勝率・489
5位広島 1150勝1306敗46分け、勝率・468
6位横浜 1087勝1374敗41分け、勝率・442
何と2位中日と勝率で1分3厘の差しかありません。巨人だけを殊更攻撃しているようですが、5パーセントの綻びがあればそれを指摘するのがジャーナリズムの責務だと私は信じているので、他の多くの球団も批評の対象にしました。
今年の本書は色々なことが重なかったこともあり、思い入れの強い1冊になりました。興味のある方は是非手にとって読んでいただきたいと思い、ブログで長々と紹介しました。