◇11月2日(水曜日)曇りのち晴れ
桐蔭横浜大2-1東海大
横浜市長杯争奪(明治神宮大会出場決定戦)/横浜スタジアム
この試合に勝てば11月23日からスタートする第42回明治神宮大会への出場が決まるという一戦、東海大は菅野智之(今季5勝0敗、防御率0.57)、桐蔭横浜大は東明大貴(7勝1敗、防御率0.66)両エースを先発に押し立て、まさに必勝態勢で臨んできた。
東明の失点は3回、外野守備のもたつき(記録は二塁打)で許した1点だけ。ヒットさえ3、6回に打たれた2本だけだから完璧と言ってもいい内容である。名簿には177センチ、76キロと紹介されているが、182センチくらいに見える。マウンド上の堂々とした態度が体を大きく見せているのだ。
どういう投手か簡単に紹介すると、河原純一(前中日)をサイドスローにしたような投手、とフェイスブックには書いた。腕の振りがしなやかで、サイドスローにありがちな左肩の早い開きがない。ストレートはこの日の最速が144キロだから特別速くないが、打者近くでの伸びが非凡で、変化球は横変化のスライダー(125、6キロ)、チェンジアップ(130キロ前後)が主体。ちなみに、この東海大戦で6個の三振を奪っているが、結果球はすべて変化球である。カウントはストレート主体で整えて、打ち取るのは変化球、そういうピッチングだった。
ディフェンス面に注目すると、一塁けん制が速い。小さいボディターンから矢のような球が一塁に送られる。一塁に走者を置いたときのクイックは1.15秒が3本あり、その速さとともに、同じタイムを量産する投球フォームの正確さにもさすがと思わされた。
対する菅野も圧巻のピッチングを見せた。自慢のストレートは最速148キロに抑え、130キロ前後の横スライダーに大、小のアクセントをつけ、130キロ台後半のカットボールに115キロ程度の縦割れカーブがともに抜群のキレ味で、118キロ程度のフォークボールも交えて打者を翻弄した。
フォームに注目すると、春までの菅野はバックスイングが直線的で、トップ時にヒジが上がらないきらいがあった。しかし、この日のバックスイングは内回旋でヒジから上げていき、自然とヒジの位置が上がるフォームになっていた。実は菅野のライバル・野村祐輔(明大)も秋は、この投げ方に改められていた。仲のいい2人が示し合わせて切磋琢磨し合っているのだとしたら素晴らしいことではないか。2人に取材するチェンスがあれば是非聞いてみたいと思った。