難病ものである。日本では吉永小百合、浜田光夫主演の『愛と死をみつめて』以来、幾度となく観てきた難病ものの映画。あの映画での吉永小百合は軟骨肉腫という病気で、手術をすると顔の左半分がつぶれてなくなってしまうというものだった。決して美しい顔のまま死ぬのではなく、患部は人に見せられないほど酷くなるものだったのです。もちろん小百合さんは包帯をぐるぐる巻きにしていたので、想像するしかありませんでした・・・
韓国映画もかつての日本映画の純愛ものを参考にしているのでしょうか、泣き所は日本人の心をがっちり掴むかのように上手く料理してありますね。まず可愛い女の子を用意して、その子に惚れてしまう男の子を用意します。この映画では修行中のカメラマンという設定なので、女の子が生きているあいだに素敵な写真を撮りまくり、クラッシックバレエ、カメ、ハワイ、雨の日の交通整理員“旗手”という男を前菜として揃えています。あとはジッポや空を描いた傘という調味料を振りかけるだけです。
美しい映像にうっとりし、主人公ミナ(イム・スジョン)の魅惑の唇に惚れ惚れし、母と娘の親友のような構図にほのぼのさせられます。『子猫をお願い』の助監督を務めたという27歳の新人女流監督らしい映像なのですが、不安定な心理描写をするために固定カメラよりもハンディカメラのほうが説得力があったのではないかと感じました。やはり良かったシーンはバレエ教室でしょう。人生のほとんどを病室で過ごしたミナの心が好奇心とともに世界に広がった一瞬だったように感じました。
【ネタバレ注意】
主人公ミナの左手はずっと手袋をしたまま。病院をはじめ、あちこちで気味悪がられたという事実。序盤で一瞬見えたときには灰色に変色しているように思えたので、たいしたことないだろうと思っていたのに、左手の指が3本しかない奇形だったことがラストにわかります。ホラー映画でもないのに、この事実をなぜラストにまで引っ張ったのか?監督の意図が理解できません。奇形や障害に偏見を持つ人なんて少ないでしょうから、途中でこの事実がわかれば、もっと感情移入できただろうに・・・このラストのショッキングな写真により、いいイメージだったものが全て吹っ飛んでしまいました。母親との会話で「あなたは宇宙人の子なのよ」という台詞も思い出し、こんなことまでジョークとして扱っていいのかと考えさせられます。また、母はカメラマンの男に金まで渡していたこともわかるのですが、どの時点で渡したのかが謎のままです(想像力不足)。
色んな意味で記憶に残りそうな映画となりました・・・
★★★・・
韓国映画もかつての日本映画の純愛ものを参考にしているのでしょうか、泣き所は日本人の心をがっちり掴むかのように上手く料理してありますね。まず可愛い女の子を用意して、その子に惚れてしまう男の子を用意します。この映画では修行中のカメラマンという設定なので、女の子が生きているあいだに素敵な写真を撮りまくり、クラッシックバレエ、カメ、ハワイ、雨の日の交通整理員“旗手”という男を前菜として揃えています。あとはジッポや空を描いた傘という調味料を振りかけるだけです。
美しい映像にうっとりし、主人公ミナ(イム・スジョン)の魅惑の唇に惚れ惚れし、母と娘の親友のような構図にほのぼのさせられます。『子猫をお願い』の助監督を務めたという27歳の新人女流監督らしい映像なのですが、不安定な心理描写をするために固定カメラよりもハンディカメラのほうが説得力があったのではないかと感じました。やはり良かったシーンはバレエ教室でしょう。人生のほとんどを病室で過ごしたミナの心が好奇心とともに世界に広がった一瞬だったように感じました。
【ネタバレ注意】
主人公ミナの左手はずっと手袋をしたまま。病院をはじめ、あちこちで気味悪がられたという事実。序盤で一瞬見えたときには灰色に変色しているように思えたので、たいしたことないだろうと思っていたのに、左手の指が3本しかない奇形だったことがラストにわかります。ホラー映画でもないのに、この事実をなぜラストにまで引っ張ったのか?監督の意図が理解できません。奇形や障害に偏見を持つ人なんて少ないでしょうから、途中でこの事実がわかれば、もっと感情移入できただろうに・・・このラストのショッキングな写真により、いいイメージだったものが全て吹っ飛んでしまいました。母親との会話で「あなたは宇宙人の子なのよ」という台詞も思い出し、こんなことまでジョークとして扱っていいのかと考えさせられます。また、母はカメラマンの男に金まで渡していたこともわかるのですが、どの時点で渡したのかが謎のままです(想像力不足)。
色んな意味で記憶に残りそうな映画となりました・・・
★★★・・
日本が進んでいるのは、映画やテレビのおかげかもしれませんね。海外では『トニー』という映画もありましたよね。
レスありがとうございます。
「観客を試してるんじゃないかと感じてしまったため・・・」
そういう考え方もあるかもしれませんね。
韓国での障害者差別ですが、私と親しい韓国の留学生、泣きながら言ってたことがあります。
「韓国ではまだまだ、障害者差別が強い」と。
彼自身は障害者ではなく、家庭環境も恵まれていて、高学歴で武道が強く、何ら差別される立場ではなかったのですが。
彼みたいな考えを持つ人が映画界にもたくさんいれば、『オアシス』などのようなメッセージ性の強い作品を生み出し、国民を啓蒙するかもしれませんね。
>祐さん
はじめまして。
「もしあなたなら~6つの視線」、私のブログに記事がありますので、もし良かったら読んでみてください(「マ行の映画」にあります)。
障害者差別について目に蓋をしている傾向、私はどちらかというと、ハリウッド映画により多く見られる気がします(もっとも、ライオン病という難病患者を描いた「マスク」という秀作はありましたが。ジム・キャリーのとは違います)。
映画に詳しい人に聞いた話で、どこまで信憑性があるのかわかりませんが、「ハリウッドでは同性愛者差別や障害者差別を助長するような内容でなくても、すぐ人権団体(?)がクレームをつける。なので、差別する者を客観的に描くことで、差別の愚かしさを描く作品も、うかつに作れない」と。
日本の映画やドラマで障害者差別をテーマにするとき、私が個人的に不満に思うのは、障害者役の人に美形役者を使いすぎること。
「障害者差別の本質的な問題から、観客の目がそれてしまうじゃないか」と思います。
再び
>kossyさん
長いコメント、大変失礼いたしました。
「典子は今」、子供の頃に見ましたが、感動したことを覚えてます。
そうですよね。
障害者に対する意識がまだまだ低いから、真剣に取り組んでる姿勢がうかがえます。
日本ではミニシアター向けの映画では多いテーマですけど、メジャーではまだまだ弱いです。文化庁支援とかいう映画も増えてきましたけど、良心的な映画にもっと支援すればいいのにね。
オアシス、マラソンは障害者も普通の人格を持った人だよということを啓蒙しているし、「もしあなたなら~6つの視線」は映画というより啓蒙的な部分があります。
感心するのは、テーマを決めるのは国ではなく、監督かもしれないです。
日本で障害者をメインで商業ベースで作られることはほとんど無いです。韓国の映画産業の懐の広さにいつも ビックリしてしまいます。事実を蓋して、目に付かないようなところにおいているのは日本ではないのかな。。
韓国映画からいつも思うことですが、障害者に対する世間一般の人の気持ちがまだまだ未熟であること。ラストの写真展も、バスの中のおばちゃんもそうした人間描写を感じました。
ちょっとだけ評価が落ちてしまったのは、ラストに手の写真を持ってきたことで、観客を試してるんじゃないかと感じてしまったため・・・
ラストシーンを見てから、あらためて前半部分を思い起こしてしまい、1回観ただけではよくわからなかったです。カメラマンの男に感情移入するためには、観客もミナの全て(手のこと)を受け入れるべきだったんじゃないかと・・・これは俺だけの意見かもしれません。
いつもTB返しありがとうございます!
さて、左手が最後に写真として登場するシーンですが、私の解釈としては、
あの写真を見て、「何これ、人間の手? 気持悪い」と暴言を吐く女性が2人登場しましたね。
そんなことを言われてしまう左手をも、ヨンジェはミナの一部として、あるがままに愛していた。
それを強調するために、ラストシーンで初めて見せたのでは? と私は解釈を。
また、ヨンジェのカメラ越しに映るミナは、難病を患っているとは思えないほど生き生きとしている写真ばかり。
彼の視点から、ミナは本当に美しい存在だったのでしょう。
彼の肉眼の視線ではなく、写真として見せたことでも、ヨンジェがミナの左手をあるがままに、あるいは「美しい」存在であったことが強調されてたような気がします。
以上、私の勝手な解釈なので、的外れかもしれません。
また、多くの観客がその意図を理解できないのであれば、商業映画のワンシーンとしては、成功しているとは言えないのかもしれませんが・・・
母親の日記に娘が追記するシーンが キーワードだと思います。
ミナは携帯にかかってきたのは、何で番号を知っているというより、電話だから 掛かってきても仕方がないと思っていたかも。見ていて気になったけど、純粋な娘役だからまあいいかなと思っていくす。
原作読んでる人に聞いたほうが早いですね(笑)
なんとなくスッキリしました。
ケータイのエピソードも不自然だったし、そういうことだったのかぁ・・・あの場面、ミナとしても薄々気づいていたのかなぁ・・・逆に気になってきました。
ストーリーを分析するにつれ、母と娘の関係のほうが重要に思えてくる不思議な物語ですね。
ミナを落としてやる・・・という印象だったので
彼女目的でここに来たんだなというのは
わかったんですが、
それがお母さんから、
しかも金もらって依頼をうけていたというくだりは
ショックでしたね~。
ただ、お母さんのいっぱいいっぱいなき持ちは
友達との会話、
それから日記の描写で十分伝わりますし、
小説ではバレエ教室で倒れたあと、
「そんな話は聞いてない(命の期限)」と
お金をつきかえすことで、
コレをもっていると自分のミナへの愛情が
ウソになってしまうとお母さんにちゃんと
伝えるシーンがあります。
結果オーライ。
・・・う~んでもラブストーリーとしてはちょっと。
母と娘の関係は最高だったんですけどね。
なるほど・・・小説はまったく違っていそうですね~
お母さん、映画では結構存在感があったのですけど、どうもラブストーリーにしたいらしく、しばらくするとお母さんのこと忘れちゃいました・・・
やっぱり左手のことは念頭においておかなくては良さが伝わらないようですね。
俺の想像力不足というか、最後には忘れてしまっていたから、イメージを覆されてしまいました。
8クリは公式サイトだったかにガンと書いてあったけど、あれは日本版だけかなぁ・・・よくわかりません。他では『永遠の片想い』でも病名はわからなかったです。
ストーリーをだいたい知っていればOKだと思いますよ♪
スクリーンで見たくなりました。
ラブストーリーというよりは
お母さんと娘のほのぼのしたお話という印象。
あくまで小説版ですが。
kossyさんの疑問符の部分は
祐さんの解釈とまったく同意見です。
ラストシーンがどんな風に出ていたかはわからないですが
左手が美しく見えるようなラストであってほしいです。
しっかし「8クリ」といい、コレといい、
病気をモチーフにするくせに
何の病気なのかは絶対出さないのね。
難病で余命いくばくもない・・だけでもかわいそうなのに、
さらに彼女がどうしても人と触れ合う事においてワンクッションおいてしまう原因の左手。
・・その扱い方が未見の自分には
すごく気になるところです。
今やってるシネコンの映画は全部観てきました!
これで心置きなくリピートできます。
といっても万年金欠病ですから、どれか1本くらいに絞りたいのですが、う~む、迷ってしまう・・・
疑問点
引越しの前というのは正解かもしれませんね。
倒れたのはどちらが最初でしたっけ?
多分2度目のときですよね・・・
実際に見たのはレウォン君もそうですよね。
もう奇形だということはわかっているので、リピートしたらかなり感想も変わりそうです・・・
kossyさんの疑問ですが自分なりの解釈では・・
1.写真を頼んだ時期
写真を撮るために引越ししてきた。
2.お金が要らないと思ったとき
バレーレッスンで倒れて病院に運んだときに彼女が難病と分ったため。
3.彼女を見た人の反応
実際に見た人は、バレーを教えた人のみ。
バスの中のシーンは、服の下に手を隠していたので、バカップルと思っていたと思った。ただ、ソフトクリームを服に掛けられた人は、彼女がふき取る感触で違和感を感じていたかも。
展示会の写真は、手の奇形を表現するのではなく、親子の愛情や絆を写していたと感じました。だから、つないだ手で 何を語っているのだろうと言う事ばかり考えていて、手の奇形については見落としていました。
もう一度見てみたい作品です。全国でも数少ない上映なので金沢で見れたことが幸せです。富山の方、残念でした。上映予定の映画館が閉鎖してしまいました。とても残念です。
サリドマイド児を扱ったといえば、日本でも『典子は今』とか映画になっていますし、精神障害をもった子供の映画なんてすごく多いですよね・・・
「難病の度合いによって」なんてそんなに関係ないですよね。白血病なのか何の病気もよくわからなかったし、韓国映画は病名を明言してないものがほとんどだし。だからこそ、最後の左手も想像するところに置いてほしかったような・・・
俺も2回目を観たいんですけど、写真を撮るように頼んだのがいつ頃だったのか、お金は要らないと思うように心が変わったのがいつ頃だったのか、そして彼女の左手を見た人たちの反応、この3点を注意したいと思ってます。
韓国から個人輸入をする方もいるとの事ですので、最後のシーンは警鐘の意味もあったのかもしれません。
でも、この映画 難病度合いによって感動が変るとは思いませんでした。
母の日記を見て、自分はもう時期死ぬんだと知ったのではないかと思います。写真を撮った男性は、「娘の写真」を撮って欲しいと単純に依頼されただけだと思いました。
お金を返すシーンでは「写真を撮るにしては大金」と言ってました。もう一度見たい映画です。
日記を覗き見するシーンと、最後に娘から母親へのメッセージはキーワードです。
俺もそんなにたいした障害じゃないと思ってたんですよ。それなのにずっと平静を装って明るく振舞う姿。これは2回目を観ないと素直に感動できないのかも・・・などと感じました。
次のファーストデイでもう一度観ようかなぁ・・・
手袋の中の障害がどの程度なのかなあ?
というのは、途中で何度か気になりました。
思春期だし、大したことないけど、コンプレックス
的な感じなのかなあ?とか・・・。
でも、ラスト、思った以上に程度の重い障害だという
ことがわかって、私は逆に、ジョークで明るく切り返したお母さんの懐の大きさ
みたいなものや、おにーさんがバスの中で自分の
Tシャツの中に彼女の手を隠すシーンの重みみたい
なのがラストにジワっときました。
それから、「私が生まれる前からわかってたのにどうして生んだの?」
とか、手袋の中を見た人が一瞬「ハッ」とするけど、さりげなく振舞うシーンが
結構多かったので、一時のサリドマイドみたいに、
韓国ではわりと認知度の高い障害なのかな?などとも思ったりしました。
左手のエピソード自体、なくてもいいと思いましたよ。
たしかにこの左手のおかげで普通の難病ものとは違った作品となったと思うのですが、俺のようにびっくりした人もいるはず・・・
写真はよかったですよね~俺もカメラマンになりたいです!
>かのん様
絶賛のようですね~
俺はそれほど絶賛できなかったので、かのん様に対して申し訳なく感じております。
でも、2回目を観ると多分印象が変わるような気がするんです。左手を見てからのキム・レウォンの心理変化とか、かなり楽しめそうですよね。
左手・・・やっぱり見せる必要あったのかな?
充分想像できたけど・・・。
カメラマンがステキな写真を残してくれるっていうのはベタだけど、ステキな表情ばかりだったのでオッケーです。
スジョンちゃんの唇ってやっぱり魅惑的なのかな(笑)
左手の秘密・・・かなーりビックリしてしまいました。なんというか、悲しい思いをした直後だっただけに・・・
女流監督らしさもあって、女の子の心理がよく伝わってきました。逆に男のほうはよくわかりませんでしたけど。
>sakurai様
ありゃ~そんな予告があったですか・・・
まったく予告を見なかったのでびっくりしました。
もしかして【ネタバレ注意】なんてものは不要かもしれませんね・・・
その辺の秘密も予告でいっちゃうんだもん。少々、良識を疑ってしまった映画でした。
難病ものの恋愛映画なので、恋人?の強引な号泣展開かとおもったら、意外とあっさりしていました。でも、母親の日記に書かれた、娘からのメッセージの深さにじわじわと心に染み込んでいく愛情表現が素晴らしいなぁと思いました。展開に斬新さを感じました。