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胡同(フートン)のひまわり

2006-10-15 20:06:32 | 映画2006
 胡同(フートン)が吹っ飛んだ。枕が真っ暗・・・

 なぜかウンコネタが多いアジア映画。そういえば、かつては中国旅行に行った日本人の土産話はトイレネタばかりだったことを思い出します。胡同(フートン)とは北京の町でも路地裏のようなところ。中庭があり東西南北を棟が取り囲むという伝統的な家屋スタイル四合院。小さな共同体といったこの長屋はイラン映画で見る雰囲気にも似ていました。2008年の北京オリンピックに向けて、取り壊しが進んでいるらしいので、チャン・ヤン監督もこの北京の文化遺産が消え去る光景が名残惜しかったのであろうか、父親がそこに佇む姿によって愛惜の念を投影しているかのようでした。

 向陽(シャンヤン)と名付けられた9歳の少年は、文革によって画家の道を閉ざされた父親が突然帰ってくることに戸惑う。いたずらっ子のシャンヤンは今までの気ままな遊びも許されなく、父親によってひたすら絵を描くように強制されるのです。幼き頃は反発といっても可愛いものでしたが、青年期になってからはその英才教育が原因で父と息子の確執が決定的となってしまう。家族の心はバラバラになってしまったのか・・・といった展開。

 いくつもの印象的なシーンがあるのですが、その中でも少年期の爆竹騒ぎや大地震、水浴びのシーンが心に響きます。そして父親が帰ってきた夜の夫婦の営みに猫を投げ入れるシーンやウンコちびりのシーン。パラパラ漫画よりも残ってしまうのです。6年間もの強制労働があったために幼いシャンヤンを知らない父親は育て方、接し方が下手。決定的な確執の原因が青年期にやってくるのですが、ここと結婚後の堕胎に関するエピソードが納得できないまま過ぎていきました。

 映像だけで判断すると、時代時代の北京は日本から10年は遅れているように感じましたが、北京オリンピックによって近代化が加速して日本と似たような景色に変貌を遂げるのでしょう。だけど、映画の文化やウンコ文化だけは日本が上になることでしょう。

★★★・・

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9 コメント

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血のつながり (kossy)
2006-10-20 22:15:23
>やまたく様

時代の変化についていけない頑固な父親。

たしかにそういう見方だと、かなりいい映画だったかもしれません。みなさんと同じで息子のほうにばかり感情移入してしまったため、大切なところを見落としていたかもしれません・・・

ふだんはアメリカ映画ばかりが中心となっているので、早い年齢からの独立を中心にすることが美徳というイメージを植え付けられているのかなぁ・・・



リンクありがとうございます。

こちらのほうからは数に限りがあるので、申し訳なく思ってます。。。
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血のつながりについて… (やまたく)
2006-10-20 10:16:57
…考えさせられましたね。

それと、時代の変化についていけない頑固者の悲哀。

シャンヤンの、親父を突き放すほどの自立心を

もっと見たかった気もしますが、

それができない歯がゆさに、

この映画の奥深さがあるのかもしれませんね。



ブログにリンクを張らしてもらいましたので、

ご連絡させていただきました。

(ご迷惑じゃありませんでしょうか?)
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うんこ (kossy)
2006-10-17 18:26:33
>sakurai様

2回観ると・・・ですか。

俺は父親になったことがないので、わからないのかもしれませんが、父親の立場からすると理解しやすいのかも。

うんこシーンもそうですが、中国映画での子供のいたずらぶりはすごいですよね。

壁なし便所・・・俺には無理・・・
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やっぱきましたか (sakurai)
2006-10-17 11:55:07
ウンコ!

話をしなければならなかったので、先にビデオで見たのですが、そのときの映像がはっきりせんで、よく見えなかったのですよ。でっかいスクリーンで、しっかと見ました。ははは。

これ2回見ると、やけに感動します。親父の頑固さとあまりの融通のきかなさにむっとするのですが、先がわかってみると、親父の気持ちがわかってしまうのでした。

胡同が壁なし便所のあったところということで、感慨もひとしおでございます。
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なるほど (kossy)
2006-10-16 21:04:17
>かのん様

そう考えると納得です。

父親には絶対服従かぁ~

戦前の日本もそんなところだったでしょうか。



前半のお父さんは良かったですよね。

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お父さん (かのん)
2006-10-16 10:43:03
親子の物語にしてはお父さんの行動があまりに理不尽過ぎて観ているのがちょっと辛いシーンもありました。でも今思うときっとあれは中国的な古き良き?父親像の1つなのかなという気がしてます。監督はこの父親像も消えていく文化の1つとして捉えていたのでしょうか。
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堕胎 (kossy)
2006-10-16 01:09:50
>kisen様

こんばんは。

俺も似たような感想かもしれません。

絵画を野球に置き換えれば「巨人の星」なのでしょうけど、どうもしっくりきません。

それでも父親に従っていくしかないというバックボーンが見えないため、スケートの女の子なんて可哀想なだけというエピソードに思えたし・・・

文革を批判しているようであり、全くしてないようであり、結局訴えたいところは全く別のことだったんでしょうね。



>ミチ様

こんばんは。

俺が観たのは13:30の回でしたが、その前のお客さんは泣いてでてきた女性が多かったようです。孫がいてそうなお母さんたちじゃないと良さがわからないのかもしれません。

それでも俺は前半あたり(堕胎の件の前)まではかなり良かった思うのですが・・・ブルース・リーのポスターにも感動しちゃいましたし・・・

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見ました~ (ミチ)
2006-10-16 00:21:05
こんばんは♪

あの父親の頑固さが観客の反感も呼んでいるみたいですね~。

堕胎の強要はアリなのか?と信じられませんでした。

最後に自分のための人生を生きようとするなんてちょっと中国映画にしては新しいものを感じてしまいました。

同監督作品では「こころの湯」の方が何倍も好きです。
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文化の違いかな・・・ (kisen)
2006-10-15 22:44:42
kossyさん、こんばんは。



私、この映画好きになれませんでした。ちょっとおとうさんの我が強すぎるように思いました。いくら自分の息子とはいえ、あんなに自分の思い通りにしていいものでしょうか。息子も息子です。なんでもっと突っぱねないのかと、ちょっとふがいなさを感じてしまいました。



息子の人生についても、なんだかむりやりハッピーエンドでお父さんとつなげたような印象を持ちました。

まぁ、親子関係というのはお国の文化によっても違うのでしょうが・・・。
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