鈴木サエは誰が殺したんだ?
10数年前に父親を殺して失踪したという過去を持っていたが、整形をしてすっかり別人になり、新谷弘一(玉木宏)という名前を手に入れた久喜文宏。まずは父親にも何かを頼まれていた探偵・榊原(光石研)を使って、久喜香織(新木優子)に近づく者を調べさせる。クラブでホステスとして働いていた香織は久喜家に養女として迎え入れられ、中学生時代の文宏とは恋仲だったのだ。彼女を守るために生きていく目的を見出して、文宏は陰ながら悪者をやっつけようとするためだ。
金もいっぱい持ってるし、頼もしい騎士のような存在ではあるのだが、父親からは“邪”を植え付けられようとし、自ら殺害という悪事を働いた過去。そんな自分だから香織と再び恋仲になるのは諦めているような雰囲気。最初にヤクの売人を殺したが、久喜と関りのある男・伊藤(吉沢亮)が文宏に近づいてくる。彼は“JL”という小さなテログループの一員でもあり、久喜の財産を資金源にしようと企んでいた。そして、文宏の実兄・幹彦(中村達也)に拉致され、恐怖を味わうことになる。また、鈴木サエの事件を追っていた刑事・会田(柄本明)も証拠も無いのに彼を執念深く追っていたのだ。
整形しても刑事や幹彦には簡単に見破られていることも痛いところだが、映画では少年時代の文宏しか描かれてないので、どのくらい変貌を遂げたのかもわからない。整形して、もらった身分証はブルーの免許証。有効期限が平成30年となっていたから、新谷として鈴木サエと付き合っていた頃には元の顔だったのだろう。ただ、この8年間の空白は海外逃亡やら、整形やら、相当慌ただしい人生を送っていたのだと推測できる。ただし、香織と鉢合わせする可能性もあるし、罪悪感という心理状態なども加味すると、辻褄合わせが厳しいストーリーだ。
JLの「髪の毛が薄い政治家から順に殺す」という犯行声明文には笑ってしまったが、まだ人を殺してないと言う伊藤とか、同じくJLの佐藤(尾上寛之)爆弾だけは正確に作ってるのに何もせずに警察に追われているのもおかしい。もっと凄いのはサイコパスっぽい久喜幹彦だ。平気で顔を切り刻んで人を殺すのに、結局は自殺気味に時限爆弾で吹っ飛んでしまう。この中村達也の怪演によって面白さは増すものの、そもそも何故香織が狙われなきゃいけないのかという動機づけが圧倒的に不足しているため、物語に集中できない・・・大財閥にしては3千万円という遺産も不思議。主人公の文宏にしてもなぜ5千万円持ってるのかも・・・
不思議なことだらけの人間関係だったが、最後には文宏と香織が近づいているのに本人だとは名乗れないという泣かせるシーン。2人は一緒に涙で顔をぐしゃぐしゃにしていたのも印象に残る。わずかながら軍需産業批判も台詞にあるので加点。
★★・・・
人間関係が入り乱れるけれど、
結局はひとりの女性を守る物語でしたね。
久喜家の長男のことが気にもなりました^^;
全く語られませんでしたよねぇ…。
さすがに車の中の2人のやりとりは感動的でした。
見終わってから改めて整理してみると、
なぜだかよく分かんなくなったりしましたw
たしか、兄弟とは思えるものの、
そうした呼称が一切なかったんですよね。
わかりづらかったです