越前海岸の国道305号線沿いの山肌や断崖に越前水仙が群生する場所がある。
越廼村「水仙の里公園」から越前岬「水仙ランド」の山肌、きりだった断崖がその場所である。
冷たい風にさらされながら、じっと耐えて咲く真っ白な雪中花は人の心をくすぐる。
「平安の末、越廼村居倉浦の山本五郎左衛門は長男一郎太と共に源平の戦いに加わっていました。 留守を守っていた次男の二郎太は、ある日海岸で一人の美しい娘を助け上げ二人はしだいに親しくなりました。 夏も終りに近づいたある日、戦いで傷ついた一郎太が父の戦死の報とともに帰ってきました。
娘を見た一郎太は日ごとに娘に心を奪われてゆきます。その冬、兄弟は娘をめぐり決闘をする事になります。
対決する二人の姿に苦しんだ娘は荒れ狂う海に身を投げてしまいます。
翌年の春、刀上の浜に見たことのない美しい花が流れ着きました。 村人たちは、この花こそあの清楚で可憐な娘の化身に違いないと丘の上に植えていつくしみました。 その冬、水仙の花が咲きました」
『越前水仙発祥伝説』より