「何か、お手伝いしたほうがいいですか?」
この言葉は、今年いちばん、私の中に残った言葉です。
8月にリレーのトライアスロンに、スイム担当で出場することになり、
練習していた時のこと。
溺れて死ぬことだけは避けたいと、
本番前にウェットスーツを着て泳げるプールや、
その他もろもろの情報を探していたとき、
「ママ友」つながりで、
バリバリのトライアスリート女性に巡り会いました。
その方が毎朝泳いでいるというスイミングスクールに
連れて行ってくださいました。
そこでは、主にトライアスロンをされる男女が、
6:30~8:30まで、毎朝(毎朝)、
練習しているのでした。
2時間で、皆さんは3~4キロ泳ぎます。
ところが、何しろビギナーの私は、
クロールで長い距離を泳ぐことが、そもそもできませんでした。
でも、本番で溺れて死にたくはない!
とにかく、皆さんに混じって、必死に泳ぎました。
が。
足の攣りやすい私は、何度も何度も、足が攣り、
とうとう最後はプールサイドに上がりました。
ひどい攣り方だったので、15分以上、収まりません。
普通のプールであれば、
プールサイドで攣った足を伸ばしている人がいると、
たいていの場合、係の人が
「大丈夫ですか~」とか言って、近寄ってきてくれます。
そして、足を曲げたり伸ばしたりして、親切に見てくれます。
でも、ここでは、そう言って近づいてくる人もいませんでした。
自分で足をストレッチしながら、ふと、プールに目をやると
皆さん、黙々と泳いでいました。
早朝のプールには、ばしゃばしゃと、水をかく音だけが
リズミカルに響いていました。
泳いでいる方々の中には、誰一人、
それが仕事の人はいません。
それが義務の人もいなければ、
それをすることで、何か得になることがある人も
おそらくいません。
それなのに、黙々と、
ハードな練習にいそしんでいるのでした。
白髪頭の方も、何人もいらっしゃいました。
多くの方は、このあと、出勤です。
単に泳ぐことすら満足にできない自分を情けなく思いながら、
呆然とそれを見ていると、
私の中に
「私って、なんて言い訳ばかりなんだろう」
そんな思いが降ってきました。
人生、考え直さなくちゃ、と、真面目にそう思った一瞬でした。
しばらくすると、さすがに
インストラクターの方がやってきました。
その方は、指導中のプールの中から私のそばに寄ってきて、
こう言ったのです。
それが、
「何か、お手伝いしたほうがいいですか?」
でした。
この言葉を聞いて、「おお!」と思った私でした。
はなから、何かしてもらおうとは思っていませんでしたし、
「いえ、大丈夫です」
と言いましたが、
この聞き方に、すべてがこもっている、と思ったのです。
トライアスロンは、どんなに過酷な状況でも、
すべてを自分で選択し、判断し、実行していくのは自分ひとり、
というスポーツです。
誰も、ああしろ、こうしろとは言いませんし、
誰も「どうしたらいい?」なんて、聞きません。
すべて「自己責任」なのです。
そう聞いていましたが、なるほど~、と思ったのでありました。
※写真はトライアスロンとは関係ありません。
さて、場面変わって今朝のわが家でのこと。
このところ、お金がなくて、一人暮らしのアパートではなく、
実家のわが家に戻っている大学生の息子と、
毎日、わが家で出会っています。
その息子が、何かを探してキッチンをうろうろしていました。
何かあっても、あまり言葉にしない彼。
きょうだいの中でいちばんその傾向が強い彼に、
これまでは、しびれを切らし、
「どうしたの? 何が欲しいの? ~? ・・・?」
なんて、先回りするうるさい母親をやってきましたが、
もう20歳にもなったし、
今年の夏は、インドでまさにサバイバルの旅をしてきた人です。
もういっか・・・
彼が大学へ行こうと行くまいと、
単位を取ろうと取るまいと、
もういっか・・・
学費は4年分しか出ないことは、お互い了承済みのはず。
そんなことを思っていたら、
あ、そうだ、とこんな言葉が降りてきました。
「何か、お手伝いしたほうがいいですか?」
それに対して、彼は、
「いや、別に」
と答えました。
彼、たぶん1限には間に合ってないよなあ、と思いますが
大学に出かけて行きました。
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そこにまず共感してしまいました。
私もよく足がつるんですよ。
一人う~んと足を伸ばして、いつも恥ずかしいです。
題名を見て、(そりゃちょっと冷たいんじゃないか?)と思ってしまったのですが。
言葉をかけるひとの状態が分かって、確かに、と思いました。
我が家も、すでに結婚して何年も経つ私にいまだに母がいろいろ言ってきます。
母が存命していることはとってもありがたいことですが、しんどくなることも。
私の場合、逆に、大丈夫か心配になった知らない人に、大丈夫ですか?と一声かけるのが自分の思った以上にためらいがあることにダメだなぁと感じることがあります。
もうちょっと心に余裕と勇気をもたなくちゃ!ですね。
お母様のアドバイス、しんどくなる時もありますよね。私も、ジョギングの格好で母に会うと、いつも「身体が心配」と心配されます(苦笑)。「身体を気遣うから走ってるんだよ・・・」と思いつつ「大丈夫」と答える私です。
「大丈夫ですか?」は知らない人に言う時には、確かに勇気が要りますよね。私も、頭の中だけで言って終わることが多くあります。
最近は、言ってみてその後どうそれを受け止めるかというのは、もう相手の方の自由で、その答えは自分の責任ではない、自分は自分がすることをした、と思うようにしています。