これは珍しい! 貴重な作品です あるお寺さんで見せて頂き、紹介する許可を得ました。
M画伯は長い間パリにお住まいの高名な方ですが、パリの酒場でワイン片手にして生活感溢れる油彩画などはお馴染みでいらっしゃいます。
かなり前になりますが、M画伯が晩年 富士吉田に逗留されて墨彩画を描かれていたお話は伺った覚えがありました おそらくその時の一枚なのでしょう。
牛の背に乗っている二人は寒山 拾得なのかな・・・?
唐代の多くの方々に親しまれていたとされる
「風狂の寒山」「顛狂の捨得」
(よく経典の巻物を抱えているのが寒山 箒をもっているのが捨得でお馴染み)
M画伯の絵に寒鷗先生が筆を執り、下記の 寒山五言律詩の讃 を自然に組しています。
画伯と書家 お互いを尊敬して静かに響き合っている・・・
今となっては 数少ない一枚の尊い作品です。
寒山詩
自楽平生道
烟蘿石洞間
野情多放曠
長伴白雲閑
有路不通世
無心孰可攀
石牀孤夜坐
圓月上寒山
自ら平生の道を 楽しみ
烟蘿 と 石洞の間にあり
野情には 放曠多く
長(つね)に 白雲を伴いて閑なり
路有れども 世に通ぜず
心無ければ だれか攀ずるべけんや
石牀に 孤り夜坐すれば
圓月 寒山に上りぬ
烟蘿石洞:もやや蘿(つた)のからまる岩窟のところ
放曠:物事にこだわらず、心の赴くままにふるまうこと
〇 三百ほどの寒山の詩には、一つも題がつけられていない
この寒山詩の讃が入っているので牛に乗って楽しそうに笛を吹いている少年が寒山捨得なのか、決めてしまいそうですが
十牛図の中の 第六図 騎牛帰家(きぎゅうきか)のことも気になっていました。
安らかな境地の中、牛の背中に乗って、ゆらりゆらりとゆられ、笛を吹いたり、歌いながら家に帰る様子。
心の平安が得られれば、
鞭も縄も不要で、もはや一念の邪心も無く
牛飼いと牛は一体となり、牛を御する必要もない
こちらの 十牛図のつもりで笛を吹く少年を書いたのでしょうか?
今となってはおふたりの先生にお尋ねする術が・・・ございません♪
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