読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

第294号 『食料植民地ニッポン』

2008年06月15日 | メルマガお奨め本
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週刊 お奨め本
2008年6月15日発行 第294号
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『食料植民地ニッポン』 青沼陽一郎
¥1,500+税 小学館 2008/3/5発行
ISBN978-4-09-389708-2
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戦後、工業輸出を促進し、食糧を輸入する道を選んだ日本は、その後の経済の発
展を生んだ。しかしそれは、食料自給率の低下を呼び、米国型食生活を招き入れ、
肥満への道を進むことでもあった。
食料は“第三の武器”。広大な国土を持つアメリカは、余剰農産物を国家戦略の
武器として使用した。「米国政府は食料を求める人々に対し、生殺与奪の力を
持つ」ことになる。
食料を求める人々、即ち、日本。

日本は食料植民地となっている。

第一部 メタボリックシンドロームは米国の侵略だった
日本人の多くは「倹約遺伝子」を持っている。少量の油で体が維持できるように
進化・順応した結果である。
ゆえに、欧米人が身体に油をどんどん溜めていけるのに対し、日本人は、壊れる。
欧米においても肥満は社会問題だが、日本ではより重大な危機なのはその為だ。
すぐさま命に関わるのだ。
働き盛りの男性が次々と生活習慣病に倒れる。
倹約遺伝子を持つ人種が減っていく。
遺伝子による人種の淘汰が始まっている。

第二部 日本に食の安全なんてありえない
クロルプロファムという農薬がある。日本では除草剤として認められている。
アメリカではこの薬品は、ジャガイモの発芽抑止剤として使われている。フライ
ドポテトなどの加工食材にポストハーベスト使用されるので、洗って落とすこと
もできない。
このクロルプロファムの残留基準値を食品衛生法が定めている。青果も果物も
一律0.05ppmと定められている中、ジャガイモだけはなんと、50ppm。
1000倍である。
この差は、アメリカからの輸入のため。フライドポテトはこれくらい甘くしない
と合格しないわけだ。合格させるために、値が定められている。国民の健康のた
めでなく。

第三部 世界に広がる日本の食糧基地
第四部 中国“毒”食品騒動の真相
中国の工場でアジフライを上げる。機械で衣をつけると尻尾にも当然ついてしま
うので、それを指で摘まんでひとつひとつ落とす。日本人は、尻尾に衣がついて
いるのを嫌がるから。だったら尻尾まるごと切り落とせばいいかというと、それ
もダメ。日本人は尻尾がないのも嫌がるから。
白身魚の切り身の、小骨をひたすらピンセットで取り除く。最後は手で触って確
認する。一本でも残っていたらクレームになる。
エビのフリッターについている数粒のゴマに、色の悪いもの、形の悪いものが
一粒混ざっていてもいけない。ひたすら肉眼でゴマを一粒一粒分別する。
日本人のわがままのために。

第五部 植民地が宗主国に捨てられる日
日本はアメリカを宗主国として認識しているのではないだろうか。そして中国に
対しては、植民地仲間とでも思っている節がある。だから、アメリカからの輸入
食材に対しては、安全基準値を異常に引き上げてまで「輸入させて頂く」のに、
中国に対しては、残留農薬だなんだと過剰に騒ぐのだ(餃子問題はちょっと別次元)。
けれど現実には、アメリカからよりも中国からのほうが圧倒的に輸入量は多いの
だ。そりゃそうだ、近いんだもん。
なのに、仲間に対する甘えで文句ばかりを言い募っていたら。
見捨てられるよ。

> 「21世紀は、石油に代わって、水と食料の争奪戦が始まる」(121頁)

> 「もう日本のコンビニ弁当の惣菜の下請け加工は受けたくありません。うるさ
> く注文をつける上に、とにかく安く買い叩く。こんなの商売になりませんよ」
> 「買い負け」にますます拍車がかかるわけだ。(261頁)

この本、かなり攻撃的です。
でも、基本、間違ったことは言ってない。たぶん。
「食」について、考え直すべきときなんだと思う。
必要なのは、安全? 安さ? 簡便性?
どれも、なんて答えはもう無理。

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『食料植民地ニッポン』 青沼陽一郎
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