スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパス・ゼミ
これは大学の学部レベルの電磁気学を速習、復習するのに格好の本だ。電磁気学は微積分やベクトル解析などを覚えたての学生がいきなり本格的な教科書で学ぶと、数式にまどわされて本質を見失いがちだ。せっかく物理に興味を持っていても試験対策のために数式を丸暗記することになってしまう。
そのように物理学への興味を失いかけた学生にもこの本をお勧めする。さまざまな公式を導くために必要な基礎となる考え方がとてもわかりやすく簡潔に説明されているし、試験に出てきそうな例題も取り入れられている。電気と磁気がもたらす自然のからくりについても、好奇心が満たされるように配慮してある。既に電磁気学を習得した者にとっては「公式集」や「解法集」のように知識の整理に使うことができる。
僕があえてこの本を読み始めたのは「電磁気学の基礎I、II」が少し難しすぎたからだ。こちらのキャンパスゼミで全体を見据えてから再度チャレンジしてみようと思っている。
この世界の在り様を理解したいと思うとき、高校物理レベルの力学、電磁気学だけではもちろん足りず、さらなる深い思索が必要である。このキャンパスゼミのシリーズは、そのような科学的センスを磨いていきたい意欲的な高校生や大学教養課程の学生にとってはうってつけだ。
あえて難をつけるとすれば、ファインマン物理学のような自然法則の神秘を知る過程で感じるような高揚感は得られないこと、わかりやすさを重視しているので高度な内容や自然の中の電磁気現象との関係などが省略されていることだ。電磁気学の公式をたくさんマスターし問題が解けるようになったとしても、電場や磁場が本当にあるのか、電磁波の物理的な実在性を理解できないと勉強の意味が半減してしまう。つねにEMANの物理学の広江さんのようにに素朴な疑問を持ち続け、それに対して自ら探求していく心を失いたくないものだ。「公式をあてはめて解く」というのは単なるテクニックであり物理の理解ではない。公式は自然現象の理解から導かれた法則の結晶であり、それを導く過程に自然現象の深い理解と神秘が潜んでいる。
にもかかわらず僕がこの本を推すのは、電磁気学を深く理解した著者がどんな学生にも理解してもらおうという工夫と自信に満ちているからだ。この本ではニュートンの万有引力の方程式と電子のクーロンの方程式は形が同じなのに、どうして力学と電磁気学では全く異なった物理現象になるのかということについて明解に述べられている。電磁気学の法則をすべて集約したマクスウェルの4つの方程式や電磁波が何もない空間を伝わる理由がわかるようになる。
余談になるが「ニュートン別冊」のシリーズでも、相対論や量子論だけでなく電磁気学だけをグラフィカルに特集した別冊を作ればいいのにと思った。電磁気学は古典物理学で数式が幅をきかせる世界だが、きれいなイラストで表現することも可能だと僕は思うのだ。
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目次:スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパス・ゼミ
講義1:電磁気学のプロローグ
- 電磁気学のプロローグ
(高校の電磁気学とマクスウェルの方程式)
- スカラー場とベクトル場
(ベクトルの内積と外積、偏微分と全微分)
- ベクトル解析の基本(I)
(勾配ベクトル grad f、発散 div f、回転 rot f)
- ベクトル解析の基本(II)
(ガウスの発散定理、ストークスの定理)
講義2:静電場
- クーロンの法則からマクスウェルの方程式へ
- 電位と電場
(E = -gradφ)
- 導体
(導体の性質、鏡像法、静電遮蔽)
- コンデンサー
(静電エネルギー、電場のエネルギー密度)
- 誘電体
(真電荷と分極電荷、電束密度)
講義3:定常電流と磁場
- アンペールの法則
- ビオ・サバールの法則
- 磁場のベクトルポテンシャル
- アンペールの力とローレンツ力
講義4:時間変化する電磁場
- アンペール・マクスウェルの法則
- 電磁誘導の法則
- さまざまな回路
(RC回路、RL回路、LC回路、RLC回路)
講義5:マクスウェルの方程式と電磁波
- 波動方程式
- ダランベールの解
- 電磁波
関連記事:
電磁気学の基礎I、II(大田浩一著)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/348d6573b51635ac773a782061935427
趣味で物理学(EMANの物理学)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7faaca22d6b525d82e45a5724fef9811
ファインマン物理学第3巻(電磁気学)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3fc48d873ba7127fe8cf17778bfa7f90
ファインマン物理学第4巻(電磁波と物性)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/eb0f3497da15e38a1bb063bce826be0c
関連リンク:
マセマ出版社
http://www.mathema.jp/
これは大学の学部レベルの電磁気学を速習、復習するのに格好の本だ。電磁気学は微積分やベクトル解析などを覚えたての学生がいきなり本格的な教科書で学ぶと、数式にまどわされて本質を見失いがちだ。せっかく物理に興味を持っていても試験対策のために数式を丸暗記することになってしまう。
そのように物理学への興味を失いかけた学生にもこの本をお勧めする。さまざまな公式を導くために必要な基礎となる考え方がとてもわかりやすく簡潔に説明されているし、試験に出てきそうな例題も取り入れられている。電気と磁気がもたらす自然のからくりについても、好奇心が満たされるように配慮してある。既に電磁気学を習得した者にとっては「公式集」や「解法集」のように知識の整理に使うことができる。
僕があえてこの本を読み始めたのは「電磁気学の基礎I、II」が少し難しすぎたからだ。こちらのキャンパスゼミで全体を見据えてから再度チャレンジしてみようと思っている。
この世界の在り様を理解したいと思うとき、高校物理レベルの力学、電磁気学だけではもちろん足りず、さらなる深い思索が必要である。このキャンパスゼミのシリーズは、そのような科学的センスを磨いていきたい意欲的な高校生や大学教養課程の学生にとってはうってつけだ。
あえて難をつけるとすれば、ファインマン物理学のような自然法則の神秘を知る過程で感じるような高揚感は得られないこと、わかりやすさを重視しているので高度な内容や自然の中の電磁気現象との関係などが省略されていることだ。電磁気学の公式をたくさんマスターし問題が解けるようになったとしても、電場や磁場が本当にあるのか、電磁波の物理的な実在性を理解できないと勉強の意味が半減してしまう。つねにEMANの物理学の広江さんのようにに素朴な疑問を持ち続け、それに対して自ら探求していく心を失いたくないものだ。「公式をあてはめて解く」というのは単なるテクニックであり物理の理解ではない。公式は自然現象の理解から導かれた法則の結晶であり、それを導く過程に自然現象の深い理解と神秘が潜んでいる。
にもかかわらず僕がこの本を推すのは、電磁気学を深く理解した著者がどんな学生にも理解してもらおうという工夫と自信に満ちているからだ。この本ではニュートンの万有引力の方程式と電子のクーロンの方程式は形が同じなのに、どうして力学と電磁気学では全く異なった物理現象になるのかということについて明解に述べられている。電磁気学の法則をすべて集約したマクスウェルの4つの方程式や電磁波が何もない空間を伝わる理由がわかるようになる。
余談になるが「ニュートン別冊」のシリーズでも、相対論や量子論だけでなく電磁気学だけをグラフィカルに特集した別冊を作ればいいのにと思った。電磁気学は古典物理学で数式が幅をきかせる世界だが、きれいなイラストで表現することも可能だと僕は思うのだ。
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講義1:電磁気学のプロローグ
- 電磁気学のプロローグ
(高校の電磁気学とマクスウェルの方程式)
- スカラー場とベクトル場
(ベクトルの内積と外積、偏微分と全微分)
- ベクトル解析の基本(I)
(勾配ベクトル grad f、発散 div f、回転 rot f)
- ベクトル解析の基本(II)
(ガウスの発散定理、ストークスの定理)
講義2:静電場
- クーロンの法則からマクスウェルの方程式へ
- 電位と電場
(E = -gradφ)
- 導体
(導体の性質、鏡像法、静電遮蔽)
- コンデンサー
(静電エネルギー、電場のエネルギー密度)
- 誘電体
(真電荷と分極電荷、電束密度)
講義3:定常電流と磁場
- アンペールの法則
- ビオ・サバールの法則
- 磁場のベクトルポテンシャル
- アンペールの力とローレンツ力
講義4:時間変化する電磁場
- アンペール・マクスウェルの法則
- 電磁誘導の法則
- さまざまな回路
(RC回路、RL回路、LC回路、RLC回路)
講義5:マクスウェルの方程式と電磁波
- 波動方程式
- ダランベールの解
- 電磁波
関連記事:
電磁気学の基礎I、II(大田浩一著)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/348d6573b51635ac773a782061935427
趣味で物理学(EMANの物理学)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7faaca22d6b525d82e45a5724fef9811
ファインマン物理学第3巻(電磁気学)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3fc48d873ba7127fe8cf17778bfa7f90
ファインマン物理学第4巻(電磁波と物性)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/eb0f3497da15e38a1bb063bce826be0c
関連リンク:
マセマ出版社
http://www.mathema.jp/