ファインマン物理学
■構成 全3冊(英語版)、全5冊(日本語版)
ファインマン、レイトン、サンズ
物理学の素晴しさを伝えることを目的になされたカリフォルニア工科大学1,2年生向けの物理学入門講義。読者に対する話しかけがあり、リズムと流れがある大変個性的な教科書である。物理学徒必読の名著。
ときどきコメントをくださるYoshYさんから教えていただいたのが「ファインマン物理学」英語版の「New M . . . 本文を読む
ファインマン物理学 I: 第18章、第19章、第20章は「剛体の回転」についての講義だ。
第18章:平面内の回転
第19章:質量の中心;慣性モーメント
第20章:3次元空間における回転
回転運動についても「角運動量」や「回転のエネルギー」という量があり、それらはニュートンの運動方程式 F=ma から導くことができる。
そして「質量」に相当するのは「慣性モーメント」と呼ばれるスカラー量であり . . . 本文を読む
第17章:時空の世界
第15章で紹介した4次元時空の考え方を幾何学的に考察するのがこの章の導入部分である。
静止している観測者の4次元時空での位置 (x,y,z,t)と速度 u で運動している観測者の位置 (x',y',z',t') の関係を示すローレンツ変換は次の式であらわされる。
これは3次元空間での回転を示す次の関係式によく似ている。
3次元空間での関係式が示すようにX座標 . . . 本文を読む
第16章:相対論的エネルギーと運動量
この章の冒頭3ページでファインマン先生は哲学者を皮肉たっぷり馬鹿にしまくっている。その言いっぷりからみて先生みずからの体験なのだろう。
哲学者の言う「相対的」とは一般常識で言う相対的であって、アインシュタインの理論で使われている相対的とは似ていて全く異なるものであること、いくら説明しても哲学者は理解しないことを具体例で述べている。
けれどもそのように不 . . . 本文を読む
第15章~第17章はアインシュタインの特殊相対性理論についての講義だ。
数式で相対性理論を理解するなんて難しいと思っている人も多いだろうが、これは半分本当で半分ウソである。難しいのは1916年に発表された一般相対性理論のほうであって、1905年発表の特殊相対性理論ならば高校レベルの数学知識さえあればなんとかなるのだ。でも実はこれも半分本当で半分ウソである。特殊相対性理論は「力学」の部分と「電磁 . . . 本文を読む
第13章:仕事と位置のエネルギー
運動エネルギーと位置エネルギーの和が常に一定だということを数式を使った具体例を学ぶのがこの章だ。エネルギーの変化量が仕事の量に一致しているということを述べ、力学法則と仕事や仕事率の数量的関係も明らかにしている。日常的によく耳にするワット(W)とジュール(J)も例題の中で紹介される。「ジュール」は物理学で使う熱量の単位で簡単に「カロリー」としての値を求めることが . . . 本文を読む
第10章:運動量の保存
「運動の勢い」を数量的にどのように表したらよいか考えてみると「質量 m」や「速度 v」についての増加関数になっているべきだとするのは「実感的に」正しそうだ。運動エネルギーというものは 1/2*mv^2 で既に紹介しているが、この章で導入するのは「質量 m」と「速度 v」の積 mv で計算される「運動量 p」というものである。
高校の物理で学習したようにこの運動量は保存 . . . 本文を読む
第8章:運動
次の章でニュートンの運動方程式 F=ma を導入する前に、速度や加速度という量について明確にしておこうというのがこの章だ。
既に学んだ者にとって冒頭部分での説明はくどいかもしれない。スピード違反した女性と白バイ警官とのやりとりの部分。こういう屁理屈を言って抵抗する違反者は現実にもいることだろうけれど。
無限小時間あたりに変化する無限小距離というのが「速さ」の定義だ。それに方向 . . . 本文を読む
第6章:確率
古典力学の導入部分にあたるこの章でファインマン先生はなぜ確率を取り上げたのか。むしろそのほうに関心が向いた。統計力学や量子力学で確率論ということなら合点がいくのだが。
第5章「時間と距離」の章の最後で先生はごく短い長さの世界ではハイゼンベルクの不確定性原理を紹介している。有名大学であるカルテクの1年生にとって古典力学は易しすぎて興味を持ってもらえないかもしれない。
不思議な量 . . . 本文を読む
「第3章:エネルギーの保存」からようやく物理学らしい解説がはじまる。
この世界を作っているすべてのモノやコトについて研究するのが物理学だ。モノとは目に見える物質や光、目に見えない電磁波や圧力、温度、熱そして空間や時間も含まれる。コトとは速度や加速度などの運動のほか物体に力を作用させるなどのことである。この意味ではエネルギーはモノに分類されるのかもしれない。またそれらのモノやコトがどのような数量 . . . 本文を読む
この章でファインマン先生は物理学と他の学問との関係について解説する。他の学問とは化学、生物学、天文学、地学、心理学のことである。数学については自然を扱うものではないから(自然)科学ではない、と述べて締めくくっている。数学を語り出すとそれだけで1章になってしまうからだろう。
化学、生物学、天文学、地学、心理学の基礎として物理学がある。
化学:
化学も物理学も原子や分子を研究対象としていること . . . 本文を読む
「ファインマン物理学」をカテゴリーとして独立させた。
このシリーズ全5巻は前に読んだことがある。けれども先日原書版を買って少しずつ読んでいるのと、この本を読んでみたいというパートナーが現れたので一緒に読み進んでいくことにしたのだ。精読しなおすことで今まで見落としていた発見があるかもしれない。(以前読んだときのレビュー記事はこちらの記事内に書いたリンクからたどれるようにしてある。)
もちろんこ . . . 本文を読む