
昨日ノーベル医学生理学賞を受賞された大村智先生に続き、物理学賞も梶田先生が受賞。まったくすごい週になった
(産経新聞):スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2015年のノーベル物理学賞を、東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授(56)とカナダ・クイーンズ大のアーサー・マクドナルド名誉教授(72)に授与すると発表した。素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、物質や宇宙の謎に迫る素粒子研究を発展させた功績が評価された。(続きを読む)
今日は仕事を30分ほど早く終え、Nobelprize.orgのサイトのウェブキャストから発表が始まる夕方6時45分には自宅のPCの前でスタンバイしていた。この決定的瞬間を見逃した方は、次の動画でご覧いただきたい。
Announcement of the Nobel Prize in Physics 2015
2015年ノーベル物理学賞の詳細(英語)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2015/index.html
梶田先生、マクドナルド先生、物理学賞の受賞おめでとうございます!
先生方のご研究はいわゆる素粒子物理学。現在実験で検出されている素粒子の中でニュートリノは次のような位置づけにある。

2015年ノーベル物理学賞発表!「ニュートリノ振動の発見」で梶田隆章博士ら(日本科学未来館)
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/201510062015-14.html
ニュートリノ振動で宇宙がわかるわけ(日本科学未来館)
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20110715post-39.html
T2K実験(スーパーカミオカンデのHP)
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/physics/t2k.html
ニュートリノとニュートリノ振動(ハイパーカミオカンデのHP)
http://www.hyper-k.org/neutrino.html
ニュートリノ振動(EMANの物理学)
http://eman-physics.net/elementary/neutrino_osc.html
梶田先生の業績やニュートリノ、ニュートリノ振動についての解説はご専門の先生方のブログやツイッターにお任せすることにして、僕は一般の方がお読みいただける本を紹介するにとどめておこう。ニュートリノのことだけでなく、今回の受賞の意義がよく理解できるようになるはずだ。
いくつか探したところ、次の2冊がよさそうだ。Kindle版もあるので品切れになることがない。
「ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎」(Kindle版)
「はたして神は左利きか? ニュートリノの質量と「弱い力」の謎:山田克哉」(Kindle版)

忘れてはならないのは2008年に癌で亡くなられた戸塚洋二先生のことだ。もしご存命ならばきっと今回の受賞者に含まれていたはず。NHK NEWSWEBでは今回の物理学賞の空席は戸塚先生のために残したノーベル財団の粋な計らいかもしれないと言っていた。戸塚先生も1998年、スーパーカミオカンデでニュートリノ振動を確認しニュートリノの質量がゼロでないことを世界で初めて示した物理学者である。

戸塚先生は生前、実名を明かさない形で「落ちこぼれ研究者の年金生活」というタイトルのブログをお書きになっていた。僕も当時からこのブログに気付いて読ませていただいていたのだが、たしか途中から癌の闘病記になったのだと思う。ご自身の癌検査の結果など詳細に記録されていた。
先生の訃報を聞いたとき「落ちこぼれ」ではなく「ノーベル賞候補の研究者」だったことを知り、なんということだと落ち込んだことを今でも忘れていない。。。ブログはすでに閉鎖されて先生の闘病記は書籍化されている。戸塚先生の著書とともに、こちらに紹介しておこう。今回受賞された梶田先生は戸塚先生から指導を受けていただけに、まず小柴先生と戸塚先生に報告したいと思っていらっしゃるはずだ。
「戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい!:戸塚洋二」
「がんと闘った科学者の記録:戸塚洋二、立花隆」

必見:
NHK BSプレミアム
10月12日(月) 午後3時~4時30分(2009年7月7日の番組の再放送)
ハイビジョン特集「物理学者 がんを見つめる 戸塚洋二 最後の挑戦」
番組内容:「ノーベル物理学賞に決まった梶田隆章さんの恩師が、7年前にがんで亡くなった戸塚洋二さん。死の直前まで宇宙の誕生と自らの病を分析し続けた戸塚さんの半生を描く。」
関連記事:
2008年ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d7bfaa2f112a267aa1da4ecfa2a6c8f7
2013年ノーベル物理学賞はヒッグス博士とアングレール博士に決定!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e
2014年ノーベル物理学賞は赤崎勇先生、天野浩先生、中村修二先生に決定!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2172a44a53c933389fcb8dc1acbfd97e
応援クリックをお願いします!

(産経新聞):スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2015年のノーベル物理学賞を、東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授(56)とカナダ・クイーンズ大のアーサー・マクドナルド名誉教授(72)に授与すると発表した。素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、物質や宇宙の謎に迫る素粒子研究を発展させた功績が評価された。(続きを読む)
今日は仕事を30分ほど早く終え、Nobelprize.orgのサイトのウェブキャストから発表が始まる夕方6時45分には自宅のPCの前でスタンバイしていた。この決定的瞬間を見逃した方は、次の動画でご覧いただきたい。
Announcement of the Nobel Prize in Physics 2015
2015年ノーベル物理学賞の詳細(英語)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2015/index.html
梶田先生、マクドナルド先生、物理学賞の受賞おめでとうございます!
先生方のご研究はいわゆる素粒子物理学。現在実験で検出されている素粒子の中でニュートリノは次のような位置づけにある。

2015年ノーベル物理学賞発表!「ニュートリノ振動の発見」で梶田隆章博士ら(日本科学未来館)
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/201510062015-14.html
ニュートリノ振動で宇宙がわかるわけ(日本科学未来館)
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20110715post-39.html
T2K実験(スーパーカミオカンデのHP)
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/physics/t2k.html
ニュートリノとニュートリノ振動(ハイパーカミオカンデのHP)
http://www.hyper-k.org/neutrino.html
ニュートリノ振動(EMANの物理学)
http://eman-physics.net/elementary/neutrino_osc.html
梶田先生の業績やニュートリノ、ニュートリノ振動についての解説はご専門の先生方のブログやツイッターにお任せすることにして、僕は一般の方がお読みいただける本を紹介するにとどめておこう。ニュートリノのことだけでなく、今回の受賞の意義がよく理解できるようになるはずだ。
いくつか探したところ、次の2冊がよさそうだ。Kindle版もあるので品切れになることがない。
「ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎」(Kindle版)
「はたして神は左利きか? ニュートリノの質量と「弱い力」の謎:山田克哉」(Kindle版)


忘れてはならないのは2008年に癌で亡くなられた戸塚洋二先生のことだ。もしご存命ならばきっと今回の受賞者に含まれていたはず。NHK NEWSWEBでは今回の物理学賞の空席は戸塚先生のために残したノーベル財団の粋な計らいかもしれないと言っていた。戸塚先生も1998年、スーパーカミオカンデでニュートリノ振動を確認しニュートリノの質量がゼロでないことを世界で初めて示した物理学者である。

戸塚先生は生前、実名を明かさない形で「落ちこぼれ研究者の年金生活」というタイトルのブログをお書きになっていた。僕も当時からこのブログに気付いて読ませていただいていたのだが、たしか途中から癌の闘病記になったのだと思う。ご自身の癌検査の結果など詳細に記録されていた。
先生の訃報を聞いたとき「落ちこぼれ」ではなく「ノーベル賞候補の研究者」だったことを知り、なんということだと落ち込んだことを今でも忘れていない。。。ブログはすでに閉鎖されて先生の闘病記は書籍化されている。戸塚先生の著書とともに、こちらに紹介しておこう。今回受賞された梶田先生は戸塚先生から指導を受けていただけに、まず小柴先生と戸塚先生に報告したいと思っていらっしゃるはずだ。
「戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい!:戸塚洋二」
「がんと闘った科学者の記録:戸塚洋二、立花隆」


必見:
NHK BSプレミアム
10月12日(月) 午後3時~4時30分(2009年7月7日の番組の再放送)
ハイビジョン特集「物理学者 がんを見つめる 戸塚洋二 最後の挑戦」
番組内容:「ノーベル物理学賞に決まった梶田隆章さんの恩師が、7年前にがんで亡くなった戸塚洋二さん。死の直前まで宇宙の誕生と自らの病を分析し続けた戸塚さんの半生を描く。」
関連記事:
2008年ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d7bfaa2f112a267aa1da4ecfa2a6c8f7
2013年ノーベル物理学賞はヒッグス博士とアングレール博士に決定!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e
2014年ノーベル物理学賞は赤崎勇先生、天野浩先生、中村修二先生に決定!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2172a44a53c933389fcb8dc1acbfd97e
応援クリックをお願いします!







受賞内容の重要性がある程度わかりました
二名受賞で一名空席が戸塚博士の分というお話
泣けますね
そうですよね。一般向けに報道される内容だと、素粒子物理学はどうしても「粒」を扱うだけになってしまますから、吉田先生の本は理解を助ける上でとても助かります。
さて、今夜の化学賞はどうなりますでしょうか?楽しみです。
吉田先生は超弦理論に懐疑的じゃないですか
とねさんの目標はたしか超弦理論を理解することでは?
あの吉田先生の意見はとねさん心穏やかではないのでは?
ご質問ありがとうございます。
はい、吉田先生は超弦理論に懐疑的ですし、僕の目標のひとつは超弦理論を理解することです。
でも心穏やかではないというのは違うのです。
それは僕のスタンスがとりあえず現在の段階で「仮説として有力視されている超弦理論を理解したい」ということだからです。理論が正しいかどうかにはこだわっていませんし、そもそも実験で検証されなければ正しいかどうかも確認できません。僕がこだわっているとしたらその理論が「尤もらしく思えるどうか」です。
また吉田先生がお書きになった量子重力理論の本では超弦理論以外の量子重力理論が解説されていますね。超弦理論をある段階まで理解できたら、その他の量子重力理論も学んでみたいです。けれども今は吉田先生の本以外に専門的に学べる日本語の本がほとんどないのが実情です。
仮説としていくつかある量子重力理論のひとつとして超弦理論を学んでいるので、他の理論があったとしても僕にとっては勉強の材料が増えるだけのことです。
やはりとねさん数学科出身だけに
理論の枠組みとか形式に惹かれているのかなと感じました
いろんな数学を自分はどう感じるか
面白いです
> 理論の枠組みとか形式に惹かれているのかなと感じました
はい、おっしゃるとおりだと思います。物理と数学の境界領域、数理物理あたりが好きですね。「理論が尤もらしい」かどうかを測る尺度になっています。本でいえば新井朝雄先生、荒木不二洋先生の教科書、ゲージ理論と微分幾何学、超弦理論と複素トポロジーあたりですね。
NHK BSプレミアム
10月12日(月) 午後3時~4時30分
番組内容:「ノーベル物理学賞に決まった梶田隆章さんの恩師が、7年前にがんで亡くなった戸塚洋二さん。死の直前まで宇宙の誕生と自らの病を分析し続けた戸塚さんの半生を描く。」
NHKといえば、昨夜放映された「コズミックフロントNEXT」はご覧になられたでしょうか? 反物質について取り上げていて、大変面白かったです。主なあらすじは、
1. 反物質は、ポール・ディラックが予言した。
2. その後、多くの科学者が反物質を宇宙に見つけようとするが、発見できなかった。
3. サハロフが60年代、「反物質についての完璧な鏡像はない(つまり、対消滅のあと、僅かな量の物質または反物質が残る)」との仮説を打ち立て、現在の宇宙に物質しか見当たらない現象の説明を試みた。
4. 現在、日本の研究チームが、東海村からカミオカンデまでニュートリノと反ニュートリノを飛ばす実験を行っている。実験では、ニュートリノ振動と反ニュートリノ振動の確率をみることで、サハロフの仮説を実証しようとしている。
です。この実験が成功してサハロフの仮説が実証できれば、これもノーベル賞級ですね。
もしご覧になられていなければ、再放送をどうぞ。
NHK BSプレミアム
10月15日(木) (水曜深夜) 午前0時~1時
番組内容:「今年のノーベル物理学賞の受賞理由となった『ニュートリノ振動』を用いた地下実験に密着。私たちはなぜ存在するのか?宇宙究極の謎のカギを握る反物質に迫る。」
http://www.nhk.or.jp/space/cfn/151008.html
では。
クリントン大統領がマサチューセッツ工科大の卒業式で
絶賛しているんですね
日本の研究で日本で発表して果たして日本の総理は
国会で話して…ないだろうな
クリントン大統領尊敬
アメリカ恐るべし
人類の知の地平線を切り開いてきた欧米の伝統 自負
恐るべしと思いました
ご連絡ありがとうございます。これらの番組まったくチェック漏れでした。
この記事に追記するとともに、ツイートや告知記事を書かせていただきます。
たしかに日本の総理大臣が物理学に限らず、科学上の功績を公の席で称えたシーンは見たことがありませんね。