とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

理系バカと文系バカ: 竹内薫著

2009年03月17日 12時26分26秒 | 理科復活プロジェクト
理系バカと文系バカ」(Kindle版


「たけしのコマ大数学科」で解説を担当している竹内薫先生の「理系バカと文系バカ」(Kindle版)が発売された。サイエンスライターと猫好き作家の両方の顔を持ち、文系理系を問わずさまざまな分野のプロフェッショナルと親交のある竹内先生ならではの本だ。

文系タイプのと理系タイプの比較は日常的によく話題に上ると思うのだが、両者を比較した本というのは案外少ない。「文系」と「理系」の両方のキーワードをタイトルまたはサブタイトルに含んでいる本を検索したところ、学習参考書以外では本書を除いて4冊しか見つからなかった。(何でもネット検索で済ませるというのも本書によれば「理系バカ」なのだそうだ。)

一般書なので手軽に読める楽しい本だ。何より本書の134ページからこのブログの「日本の「理科離れ」、「科学離れ」を分析してみた。」という記事で使った検索手法を紹介していただいている。僕の名前も136ページに載せていただいている!

本の帯には次のような例が紹介してある。

文系バカの事例:
- 血液型診断や占いが気になって仕方ない
- 取扱説明書は困った時にしか読まない
- ダイエットのためにカロリーオフ飲料をガブ飲みする
- 何でも平均値で物事を判断してしまう

理系バカの事例:
- できれば他人とは深く関わらないで生きてゆきたい
- 新型商品を買うために徹夜して並ぶ
- 意外とオカルトにハマりやすい
- 文系よりも理系のほうが「上」だと信じている

事例をこのように箇条書きにしただけでは著者の固定観念とも受け取られかねないが、中身を読むと面白い具体例になるほどと納得させられる。特に地球温暖化対策やエコ対策の本当の原因についてよく考えずに突っ走ってしまっている昨今の世相を批判している箇所に僕は感心した。

要するにこれからの時代は理系の素養と文系の素養の両方が大切なので、「文理融合型」の思考パターンを持つことの必要性を著者は主張している。

とかいう著者本人は文理融合型であるにも関わらず、本質は理系であるため、本書全体から受ける印象はどうしても理系に軍配が上がっているように僕は思った。(笑)

楽しい本なので、是非お読みください!(定価720円 - 税別)

内容紹介(アマゾンより抜粋)
自分の好きな世界に没頭しすぎて、極端な行動に走りやすい「理系バカ」。
一方で、他人の情報を鵜呑みにして、その場の空気に流されやすい「文系バカ」。
彼らの行動パターンから見えてくる思考の偏りとは?
本書では「文系」「理系」という垣根をとっぱらった、バランスのとれた知性のあり方を考える。
前半では「理系バカ」「文系バカ」の事例を、ユーモアを交えて紹介。
後半は、特に理科離れが著しい日本の現状を警告。
教育、政治、メディアにおける科学の啓蒙について具体策を提案する。
二つの世界を渡り歩く著者だからこそ知っている「文理融合センス」の磨き方。

理系バカと文系バカ」(Kindle版)の目次:

序章:「理系」「文系」って、そもそも何だ?
第1章:こんなタイプが「理系バカ」「文系バカ」!?
- 「文系バカ」と呼ばれる10の事例
- 「理系バカ」と呼ばれる10の事例
第2章:理系と文系、どっちがトク?
第3章:日本は理系人間が育ちにくいのか?
第4章:「理系センス」がある人はどこが違うのか?
第5章:文理融合センスを磨く5カ条

おわりに
理系ワールドを楽しむオススメの10冊


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14 コメント

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Re: 大貫義郎先生の本 (とね)
2011-03-01 23:57:40
kafukaさん
「演習場の量子論―基礎から学びたい人のために」は持っていませんが、評判の良い本ですね。読める時間が限られているのに僕は本を買い過ぎていますので、自制しているところです。

> 今は、妹のような、同居関係です。
そういう意味でしたか。
仲良く暮らせるのでしたら、それでよいのだと僕は思います。

余談:今は「4次元のトポロジー:松本幸夫」を読んでいます。このところ数学に傾いていまして、その次は「数学ガール」4冊に取り組もうと思います。物理本に戻るのはその後にするつもりです。
返信する
大貫義郎先生の本 (kafuka)
2011-03-01 23:38:19
一昨年、母校の科目履修生の時、大貫義郎「解析力学」が教科書でした。
この本自体は、非常に難しく、先生は、
プリントと板書を主に授業をされました。
そんなわけで、大貫義郎先生の本は避けたいと思います。
「演習場の量子論―基礎から学びたい人のために」
副題が僕にぴったしです。
これで、方程式を解く力もつけられれば、
両得ですし、、、

>内縁の妹
まぁ、内縁の妻に近いですw
一度、破綻してしまいましたが、
今は、妹のような、同居関係です。
返信する
Re: お誉め頂き恐縮です (とね)
2011-03-01 22:32:39
kafukaさん

> なにしろ、高校の数学+線形代数の知識しかない僕

謙遜し過ぎだと思いますよ。(笑)kafukaさんの書かれた記事を読むと大学の学部3、4年レベルに十分達していると僕は思います。

> 「場の理論」の教科書で、
> 多粒子系のことが多く書かれている本、

「場の理論」の本は5冊ほど持っていますが、まだ真面目に読んでいません。今、それらを確認したところ僕の手持ちの本では多粒子系のことは「さらっと」書かれているものばかりでした。僕の手持ちの本はブログサイドバーのところの「とねの本棚」からチェックできますよ。でも「場の理論」だったらもともと多粒子系が前提なのではないでしょうか。

僕は持っていませんが、こういう本がありますね。中古で6千円もしますけど。。。
「多量子問題から場の量子論へ(高橋康著)」

> 2~3千円だったらありがたいです ^^;

おお!それはキツイ制限ですね!!

「場の理論」の本でこの条件を満たすのは、「岩波講座 現代の物理学〈5〉場の量子論:大貫義郎」、「演習場の量子論―基礎から学びたい人のため:柏太郎」、「場の量子論:坂井典佑」あたりでしょうか。「岩波講座 現代の物理学〈5〉場の量子論:大貫義郎」は安すぎるので要注意だと思います。


> 内縁の妹を説得するのが難で、、、

「内縁の妹」というのは「義理の妹」のような理解で正しいでしょうか?「内縁の妻」というのはときどき聞きますが「妹」というのはkafukaさんから聞いたのが初めてです。

ググってみたところ、このようなページを見つけました。
http://blog.goo.ne.jp/ariari_1946/e/d7d25e5727cb90c1f672f34c2e29b5bc

ともかく、書籍代頑張って獲得してください!陰ながら応援しています!
返信する
お誉め頂き恐縮です (kafuka)
2011-03-01 21:53:00
なにしろ、高校の数学+線形代数の知識しかない僕が理解しながら書いていますから。
この調子で「場の理論」も書きたいなぁって思っています。
「場の理論」の教科書で、
多粒子系のことが多く書かれている本、ご存じないですか
(さらっと流す本が多いので)
2~3千円だったらありがたいです ^^; 
内縁の妹を説得するのが難で、、、
返信する
Re: ご回答、ありがとうございます。 (とね)
2011-03-01 21:00:09
kafukaさん

少しはお役に立ててよかったです。kafukaさんの一連の記事は充実していますね。教科書を持っていない読者でも経路積分をちゃんと理解できるようにお書きになっていますし。

> ところで、Gooブログは、半角の<や>が
> でないし、^で切れるのですね

そうなんです。Gooブログはいろいろ制限がきついです。今さらながら「はてなダイアリー」でブログ始めればよかったなと思っています。あちらのほうがテンプレートが豊富ですし、いろいろカスタマイズできます。

返信する
ご回答、ありがとうございます。 (kafuka)
2011-03-01 20:50:53
なるほど、
|Φk> の完備性(完全性)関係で展開、、、
|Φk> をHの固有状態にとる
とありますね。
やっと、文意がつながりました。
記事を直します。
ありがとうございます。

ところで、Gooブログは、半角の<や>が
でないし、^で切れるのですね
以後、気をつけます。
返信する
Re: ちょっと教えて下さい (とね)
2011-03-01 20:36:16
kafukaさんへ

ご質問いただき、ありがとうございます。
kafukaさんが「わからない」とおっしゃっている部分の説明はお持ちの「量子波のダイナミクス」の27ページから28ページに書かれていることではないでしょうか?特に28ページの上半分に書かれている部分がその説明だと思います。

返信する
ちょっと教えて下さい (kafuka)
2011-03-01 20:01:40
経路積分(11) 2準位系
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/64204481.html
なんですが、、、
U(t、t0)= の
http://cgi.geocities.jp/rhcpf907/fml2tex/?%BC%B0U%28t%A1%A2t0%A1%CB%A1%E1U%A1%EFmatrix%A1%CAe^{-iE_1%20t/\hbar}%A1%F50;0%A1%F5e^{-iE_2%20t/\hbar}%A1%CBU^%A2%F7
の右辺のUが、何故、
H= ( <η1|H|η1>, <η1|H|η2> )
   ( <η2|H|η1>, <η2|H|η2> ) 
に対応するのかわかりません。
おっきな勘違いかも知れません。
ちょっと見て頂ければ幸いです。
Hに対応するのさえわかれば、
A=U B U-1 のUが固有ベクトルの列になるというのは理解しています。
返信する
Re: そういえば、、 (とね)
2011-02-25 10:36:40
kafukaさん

お久しぶりです!
「経路積分」のシリーズ記事も(10)まで書き上げられたようですし、WolframAlpha全角変換サービスもリリースされて、kafukaさんのものすごいパワーを感じます。

> 「専門バカでないバカは、只のバカだ」

学長のほうが一枚上手でしたね。(笑)

価値観が今のように多様化していない時代だったからこそパンチの効いた切り返し方だと思いました。

小学校3年生のころ、お世話になった大学生のお兄さんがいたのですが、ちょうど彼が大学紛争の世代です。

先日ふとそのお兄さんのことを思い出して検索してみたら何と見つかりました。連絡はとっていませんが40年経っているので、あらためてインターネットの力に驚いた次第です。今ではその方も65歳になっていらっしゃいます。
返信する
そういえば、、、 (kafuka)
2011-02-25 08:46:01
大学紛争たけなわの頃、
学生が学長か誰かに、
「あなたらは、専門バカだ!!」と
わめいたら、
学長、答えて、
「専門バカでないバカは、只のバカだ」
と返した っていう話を思い出しました。
返信する
Re: 僕は余事象!? (とね)
2011-02-21 20:09:32
nockerさん
コメントいただき、ありがとうございます。

> って感じで、理系にも当てはまりそうに無いんです…ww

そのように自分を分析しようとする時点で、十分理系っぽいと思いますよ。(笑)

「理系バカと文系バカ」の本も文系の人はほとんど購入しないのではないかなと思っています。僕はとても面白く読みましたけど。
返信する
僕は余事象!? (nocker)
2011-02-21 19:33:40
過去記事に失礼します、紹介していただいた記事、全て読ませて頂きました!

この記事に箇条書きされている条件に自分がどれほど当てはまるか見てみました…。


・血液型や占い…基本的に全く信じない。

・説明書…買ってすぐにも、困ったときにも読まない。暇でどうしようもないときに思い出したように熟読。

(・ダイエット…そもそもダイエットをしたことがないが、「カロリーオフ」⇒アスパルテームかアセスルファムKを使ってるな…。とか考える。)

・平均値…分子とかならまだしも、大抵の場合、平均値近傍は空洞化すると考えている。


…とここまで見ると自分は理系よりなのかなぁ…と思ったんですが、


・他人と深くかかわらないで~…そうは思わない

・徹夜して並ぶ…そもそも新商品に興味がない。行列に並ぶのが大嫌い。

・オカルト…オカルトの定義は!?

・理系のほうが「上」…これも良く分からない…「上」とは一体!?


って感じで、理系にも当てはまりそうに無いんです…ww

確認のためと、この本が面白そうだということも合わせて、是非読んでみたいと思うようになりました☆
返信する
アマサイさんへ (とね)
2009-03-18 20:32:51
コメントありがとうございます。

> 136頁のとねさんへの謝辞を確認しましたぞい。
重ね重ねありがとうございます!

確かにどれだけの人が関心をもつか不安がありますね。文系にとっても理系にとってもチクリとさせられる部分がありますし。僕も自分にあてはまる「おバカさん」なところを見つけてヒヤリとしました。(笑)

> 理系の自画自賛とも読めなくはないです。
タイトルは理系と文系について「対称」ですが、中身には「対称性の破れ」がありますね。

本のおわりの「オススメの10冊」は理系の僕でも知らない本がありましたので、チェックしてみることにします。

ちなみに、この本は僕の地元の紀伊国屋書店にはまだ入荷していませんでした。
返信する
バカの意は「空手バカ一代」と同じ (アマサイ)
2009-03-18 16:59:22
このブログを読んで早速昨日買ってきました。レジにならびならがら136頁のとねさんへの謝辞を確認しましたぞい
私は楽しく読んでいます。だがしかし、本書に興味を持って手に取る人はどのくらいいるかしらねえ、と思うと不安ですね。双方「バカ」を付けてちゃかしている感じですが、理系の自画自賛とも読めなくはないです。世相を批判しているようで、実は読後に、少しばかり理系の知識がつきおりこうさんになっている本、おそらくそれが本書の主旨、と認識してもらえればいいですね
返信する

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