時々、何年もの教室だよりを読み返したりすることがあります。今も教室に通ってくれている子たちの、幼稚園時代の様子が見えてきます。当時頑張っていた子の懐かしい名前を見つけることもあります。
先日見つけた記事で、こんなのがありました。
「教育に手遅れということはありません」というタイトルです。
落語のこばなしに「手おくれ医者」というのがあります。その医者は、患者が来ると、まず「これは手おくれだな」ということにしています。そういっておけば、下手な治療で患者が亡くなっても「手おくれだったから」といういいわけもできるし、病気がなおったら「あの先生はえらい」ということになって、どちらにころんでも損にはならないからです。ところがある日のこと、運ばれてきた患者を診て、「これは手おくれだな」といつものようにいったところ、患者を運んできた人が、「いや、この男はたった今、となりの屋根から落ちたばかりで」というのです。そこで、その医者は、「それなら屋根から落ちる前につれてこなくてはいかん」と言うのがオチです。
親や教育者が、こんな目で子どもを見ていると、子どもは伸びません。私は、教室に来てくれた時が最適の時期だった、と思うようにしています。早くから始めた方が楽に伸びることも多いけれど、年を取った老人でも新しいことを学んで成長していけるのだから、子どもたちには、大人が思ってもみない伸びしろがあるはず。実際、素敵な奇跡のような瞬間を(いつもではないけれど)子どもたちは見せてくれるのです。親や教育者は、子どもの成長に対して、「欲張り」でなくてはいけません。