スマホ、タブレット、パソコン。
お子さまは一日何時間くらい、これらを見ているでしょうか?
最近よく売れている本に「スマホ脳」というのがあります。作者はスウェーデンの精神科医。心の不調で受診する人がここ10年、著しく増加したことの一因として、一気にデジタル化したライフスタイルを上げています。人間の脳はデジタル社会に適応するようにはできていない、とも。
「ここ数年、複数のことを同時にやろうとしている自分に気づいたことはないだろうか。集中して家で映画を見ることが難しくなった。つい手元にあるスマホを見てしまう。」
「現代のデジタルライフでは、複数のことを同時にしがち(マルチタスク)である。しかし、私たちは実は一度に一つのことしか集中できない。メールを読みながら、講義も聞ける自分はすごいと思うかもしれないが、二つの作業の間を行ったり来たりしているに過ぎない。しかも、脳はさっきまでの作業の方に意識を残している(注意残余)。集中する先を切り替えた後、再び100%集中できるまでには何分も時間がかかるという。」
「マルチタスクは記憶力にも影響を与える。」
「10代は体内時計の遅延が起きる時期で、夜型になりやすい。さらに睡眠時間の減少がものすごい勢いで起きている。つまり、朝起きられない。睡眠障害で受診した人の数がぐっと増えた時期と、インターネットにつながるスマホが本格的に普及した時期はぴったり一致している。(夜、スマホやパソコンを見ると、その光に含まれるブルーライトが睡眠を抑制してしまう)」
スマホ依存症、というのは日本でも受診外来が出来るほどで、お酒やタバコと同じくらい依存性があるのではないかと私自身は思っています。
スマホを持たせざるを得ないのなら、その前によく話し合って、約束をしておきましょう。
それから、小さな子。おとなしくさせるために気軽にYou Tubeを見せる前に、他のことで気を紛らわせられないかをちょっとだけ考えてください。絶対に使うな、とは申しませんが、柔らかなみずみずしい脳に、何を注ぐかは周りの大人次第ということをわかっておきましょう。
「デジタル化が進む今、人間は自らをどんな危険にさらしているんだろうか。大人だけでなく子供まで巻き込んで、まるで壮大な実験をしているみたいだ。」と作者は書いています。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズは「自分の子にはiPadはそばに置かないし、スクリーンタイムを厳しく制限している。」とあるインタビューで言っています。製品発表会ではiPadに最大級の賛辞を浴びせているのに、です。
ビル・ゲイツは自分の子供には14歳になるまでスマホは持たせなかった、と言っています。それは決して、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが金銭的に余裕がなかったためでないことは明らかです。