暮らしのヒント館

身近な生活

「成年後見の信頼揺るがす」…弁護士に懲役5年

2013年10月30日 | 成年後見

2013年10月30日18時25分 読売新聞

 成年後見人として管理していた女性の預金4244万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた東京弁護士会元副会長の弁護士・松原厚被告(76)に対し、東京地裁は30日、懲役5年(求刑・懲役7年)の判決を言い渡した。

 井下田英樹裁判長は「犯行の発覚を防ぐため、家裁に虚偽報告をするなど、成年後見制度そのものの信頼を揺るがした」と被告を非難した。

 判決は、千葉家裁から2007年に精神障害のある女性の後見人に選任された松原被告が、2年半の間に8回にわたり、女性の定期預金を解約して自分の口座に移し、不動産投資の失敗で抱えた借金の返済や事務所経費に流用したと認定。「被害女性の将来の生活費などが大幅に減少する結果になったが、被害弁償は今後も期待できず、被告の刑事責任は重い」とした。

 傍聴に訪れた被害女性の親戚にあたる男性(46)は判決後、「弁護士に対する信頼を裏切った犯罪で、実刑判決は当然。ただ、弁償の見込みはなく、やりきれない気持ちもある」と釈然としない様子で話した。


市民後見人養成(読売新聞記事)

2013年10月22日 | 成年後見

市民後見人 養成急げ=秋田

2013年10月17日5時0分 読売新聞

 認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人に代わって預貯金や不動産の管理、契約行為などを行う成年後見制度。2000年の開始時は親族が担うのが一般的だったが、核家族化と高齢化で、弁護士や司法書士など専門家が担うケースが増えている。ただ、今後、専門家の不足も懸念されることから、県内では、横手市と湯沢市が「市民後見人」を養成しているが、法律知識が備わっていないため、後見できる対象者が限られるなど課題もある。

 横手市駅前町の市交流センター「わいわいぷらざ」。9日、ここで開かれた市民後見人の養成講座には約20人が参加した。講師の司法書士、藪本孝一さん(39)が成年後見の申し立て書類の書き方や財産調査の仕方を説明すると、受講者は熱心にメモ。同市上内町で福祉協力員を務める小松詳恵さん(73)は「町内にも一人暮らしの高齢者がいる。自分にできることがあればと参加した」と話した。

 秋田家裁によると、県内の昨年の成年後見の申し立て件数は149件で、このうち親族以外の第三者が後見人を務めたのは54件で全体の36%だった。年によって変動はあるものの、08年が113件のうち17件で15%だったのに比べると、大幅に増加した。

 県内の高齢化率は年々上昇、一人暮らしの高齢者世帯も増えており、30年には、高齢化率が全国で唯一40%を上回るとの試算もある。藪本さんは「“後見爆発”になれば専門家だけでは足りない」と話す。

 厚生労働省は11年度、市民後見人を増やそうと、養成モデル事業を全国の20以上の自治体で開始。県内では、横手市と湯沢市が参加し、昨年度、横手市で6人、湯沢市で19人が養成講座を修了して市民後見人の候補者となった。しかし、これまでに家庭裁判所から市に推薦の依頼がなく、実際の活動例はまだないという。藪本さんは「自治体がバックアップ態勢を整え、市民後見人の信用度を上げることが重要」と指摘する。

 専門的な法律の知識や経験を持ち合わせていないことも市民後見人の弱点。後見できる対象が遺産相続で紛争になる可能性の低い人に限られ、両市の担当者は「マッチングできる相手が少ない」と頭を悩ます。「制度自体の認知度が低い」のも広がりを欠く一因だ。

 横手市では今年度、20人が講座を受講しているが、湯沢市では希望者が少なく、開講できなかった。湯沢市の担当者は「単独の自治体で養成やサポートをするのは難しい」と話し、今後、両市で連携できる部分がないか検討する方針だ。


成年被後見人 選挙権の迅速な回復は当然だ(5月30日付・読売社説)

2013年05月30日 | 成年後見

 精神疾患や知的障害で成年後見人を付けた人に選挙権を認める改正公職選挙法が成立した。

 7月の参院選から、約13万6000人に投票の道が開かれることになった。多くの人が投票所に足を運び、1票を投じてほしい。

 公選法は、判断能力に欠けるといった理由から、成年後見人の付いた人の選挙権を認めていなかった。この規定について、東京地裁は3月、「法の下の平等に反する」として違憲判決を出した。

 判決を受け、自民、公明両党は問題の規定を削除する改正案を国会に提出した。野党も同調し、衆参両院とも全会一致で可決した意義は大きい。判決から2か月余という迅速な対応も評価したい。

 成年後見人を付けた人の障害の程度には個人差がある。原告の女性は簡単な読み書きができ、意思表示も可能だ。そもそも一律に選挙権を奪う規定自体に無理があったと言えよう。

 今後の運用にあたっては、不正投票に障害者を巻き込まない対策が重要だ。改正法には、特定候補者に投票を誘導するような不正の防止策が盛り込まれた。

 自力で投票用紙に記入できない人を助ける代理投票では、代筆役とチェック役の補助者を付け、この2人については、市町村職員に限定するという規定だ。

 家族など付き添い人が投票に手を貸すことはできない。参院選は目前に迫るが、各選挙管理委員会は、投票所で適切なサポートができるよう、人員確保などに万全を期してもらいたい。

 病院や介護施設などで行われる不在者投票についても、「選管が選んだ立会人を付ける」との努力規定が設けられた。施設職員が入所者に無断で、特定候補に投票する行為を防ぐのが目的だ。

 努力規定にとどまり、義務付けが見送られたのは、自治体の体制が整わないとみられるためだ。

 だが、東京都のように約1200施設に立会人を派遣する方針の自治体もある。各選管には積極的な対応が求められる。

 それにしても、違憲判決に対する控訴をいまだ取り下げていない政府の姿勢は不可解である。

 新藤総務相は控訴した際、記者会見で「立法措置がされた場合、訴えの意味は失われる」と述べ、原告側が訴えを取り下げるとの見方を示していた。

 原告はやむなく司法に訴え、主張が認められた。政府の対応は不誠実と言うほかない。政府が控訴を取り下げるのが道理である。

2013年5月30日02時06分  読売新聞)

成年被後見人13万人に選挙権

2013年05月28日 | 成年後見

成年後見人が付いた人に選挙権を認める改正公職選挙法は27日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。夏の参院選から成年後見人が付いた全国の約13万6400人に投票の道が開かれることになった。

 

 改正法は、成年後見人が付いた人は選挙権を失うとした公選法11条の規定を削除し、成年被後見人に一律に選挙権を認めた。一方、不正投票防止のため、文字が書けない人に代わって候補者名を記入できる補助者を、投票所にいる市区町村職員らに限定することを義務づけた。また、病院などで行われる不在者投票の際には、市区町村選管が選定した立会人を付けることなど、公正確保のための努力規定も盛り込んだ。

 憲法改正のための国民投票についても同様に投票権を認めるため、国民投票法の規定を見直すことも明記された。

 成年被後見人の選挙権を巡っては、東京地裁が3月、公選法11条の規定を「違憲・無効」とする判決を出し、各党が規定の見直しを進めていた。

2013年5月27日22時41分  読売新聞)

東京地裁  違憲判決

2013年03月14日 | 成年後見

成年後見制度で選挙権制限は違憲…東京地裁

 「成年後見人が付くと選挙権を失う」とした公職選挙法の規定は参政権を保障した憲法に違反するとして、知的障害がある茨城県の女性が国に選挙権の確認を求めた訴訟で、東京地裁(定塚(じょうづか)誠裁判長)は14日、規定を違憲、無効とした上で、女性の選挙権を認める判決を言い渡した。

 この規定の合憲性を巡る初の司法判断。今回の判決は、札幌、さいたま、京都の各地裁で起きている同種訴訟にも影響を与えそうだ。国側は控訴を検討する。

 提訴していたのは、ダウン症がある同県牛久市の名児耶(なごや)匠さん(50)。匠さんの財産管理を心配した父親が2007年に成年後見人に付いたため、選挙権を失った。

 選挙権を制限する規定はもともと、判断力が欠如した「禁治産制度」の利用者を対象とし、同制度を改正して00年に始まった成年後見制度の下でも引き継がれた。原告側は「選挙権を奪うのは、障害者らの決定権を尊重した成年後見制度の理念に反する」と指摘。「選挙権は平等に保障されており、障害の有無などを理由に制限するのは許されない」と主張していた。

 これに対し、国側は「障害者らが、第三者の言うがまま投票するなどの不正を防ぐには制限が必要」と反論していた。

(2013年3月14日13時43分 読売新聞)